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婚姻を継続しがたい重大事由-究極離婚原因1

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平成18年 2月 1日(水):初稿
○民法第770条で離婚理由として①不貞行為、②悪意の遺棄、③3年以上の生死不明、④回復見込みのない精神病の4要件を上げていますが、これらはあくまで例示であり、裁判所は、この4要件のいずれかを充たしても、「一切の事情を考慮して婚姻の継続を相当と認めるとき」は、離婚の請求を棄却することができるもので、この4要件は離婚が認められる決め手にはなりません。

○民法第770条は、離婚の5番目の要件として上記①乃至④「その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。」を上げており、この「婚姻を継続しがたい重大事由」が認められるときは、裁判所は離婚請求を棄却できませんので、これが離婚の究極の決め手になります。

○「婚姻を継続しがたい重大事由」とは、夫婦関係が修復不可能なまでに破綻し、もはや夫婦として円満な関係を維持することが困難な状態になったことです。具体的には様々なケースがありますが、離婚訴状を記載する場合、上記不貞行為等の離婚要件があることを上げ、最後に必ず「以上の結果、夫婦関係は完全に破綻して修復不可能な状況となっている。」と記載します。

○しかし、「夫婦関係が完全に破綻」したかどうかが離婚が認められるかどうかの最終的な決め手になるとは限りません。実際、「夫婦関係が完全に破綻」していると認定しても、裁判官は離婚を認めない場合も多々あります。それは「法的安定性」の要請です。

○「夫婦関係が完全に破綻」した原因を考察し、その原因を作った者が離婚請求をした場合、簡単に言えば、そんなワガママは許されないとの論理で、「夫婦関係が完全に破綻」していたとしても、「婚姻を継続しがたい重大事由」があるとは認められないとの、明らかに事実と矛盾する理由付けで離婚請求を棄却します。

○典型例は、有責配偶者からの離婚請求で、具体的には不貞行為を繰り返し或いは不貞の相手方と一緒に生活して夫婦関係を破綻させた者が離婚請求をしても長いこと離婚は認められませんでした。また相手に特に落ち度がないのに一方的に別居して夫婦関係を破綻させ離婚請求をしても別居期間が相当期間(目安は5年程度)経過していないと離婚請求は認められません。

○これらの裁判所の態度は、結婚した夫婦は、第752条で「同居し、互いに協力し扶助しなければならない。」と定められているのにこれを一方的に破って夫婦関係を破綻させた者からの離婚請求を安易に認めたのでは、民法の規定の意味が無くなり、夫婦関係の法的安定性を害することになるとの考えが基本にあります。
以上:1,037文字

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