仙台,弁護士,小松亀一,法律事務所,宮城県,交通事故,債務整理,離婚,相続

旧TOPホーム > 男女問題 > 養育費・認知 >    

認知・養育料放棄誓約の効力-殆ど効力なし

   男女問題無料相談ご希望の方は、「男女問題相談フォーム」に記入してお申込み下さい。
平成17年 1月22日(土):初稿
<事案>
公務員同士のA男とB女とはお互い独身主義者であり、単なるセックスフレンドと割り切って定期的に肉体関係を持ってきました。
ところが、ある時Bが妊娠したことが判明しました。

Aは結婚する気は全くないし、生まれた子供が不幸になるので中絶して欲しいとBに伝えたところBは自分も結婚する気はないが既に40歳となり今子供を産まないともう2度と子供を産むチャンスが無いのでどうしても産みたい、自分は公務員で収入も安定しているので、Aには子供の養育費も認知も請求しないし、絶対に子供のことで迷惑をかけないので産むと言い張ります。

そこでAはBからAに対し、「生まれてくる子供の養育費は請求せず、認知も要求しない」と言う誓約書を書かせて産むことを了解しました。

ところがBは子供が生まれるとその誓約に反して認知と養育費の支払いを請求してきました。
AはBの要求に応じなければならないでしょうか。


<回答例>
これも、実際にあったケースをアレンジしたものです。昔は、結婚しないで女性が子供を産むと言うことは、大変なことでしたが、最近、世話のかかる夫は要らないけれども可愛い子供は欲しいという女性が増え始め、実際、結婚しないで子供だけ産む女性も増え、女性の経済力向上によって、今後、益々増えてくると予想されます。

B女も、兎に角、子供が欲しくて、Aに対し、絶対に迷惑をかけないから産ませて欲しいと要請し、A男も、それならどうぞと、念のため「認知も養育費も請求しない」と言う誓約書をBに書かせて、Bが自分の子供を産むことを了解しました。

先ずここでの問題は、Bは子供を産むに当たって、Aの了解を取る必要はありません。Aが了解せずとも、Bは自由に子供を産むことが出来ます。ですから先ず妊娠の可能性のある性行為を行う場合、男性は将来否応なしに子供の父親になる可能性があることを覚悟しなければなりません。ここが大事なところです。

次にBは、生まれるまでは子供さえ居れば、男性の援助など一切求めないで自力で育てていくと本気で思っていました。
これはBが子供を産んだ経験がなく、子供を育てることの大変さを知らなかったため子育てを軽く考えての結果でした。

ところが実際子供を産んでみたら何と手のかかることか。
Bは仕事を持っていますから、当然、生後3ヶ月目には子供を保育園に預けました。しかし、子供の夜泣きで慢性睡眠不足で疲れが取れないところ、保育園からは度々、やれ熱が出た、やれ咳がひどいので早く迎えに来て下さいなどと連絡が入り、仕事もおろそかになりがちで、同僚からは白い目で見られているようで気を遣わなければならず、単独での子育ての大変さを思い知らされました。

こうなると何で自分だけこんなに苦労しなければならないのかと相変わらず子供なんか関係ないと独身生活を謳歌しているAが恨めしく思うようになるのは当然です。「生まれてくる子供の養育費は請求せず、認知も要求しない」との誓約を反故にするのは時間の問題でした。そして子供が生まれて1年後にBはAに対し認知と月5万円の養育料の請求をしました。

結論として、BのAに対する要求は認められます。
Aが認知を拒否しても、Bが強制認知の訴えを提起し、DNA鑑定でAと子供との親子関係が立証されれば、認知を命ずる判決が出て、この判決により、認知を戸籍に記載することが出来ます。

更に養育料の請求に対しAが拒否しても、Bが家庭裁判所に養育料支払の調停・審判を申し立てすれば、もAの収入とBの収入を比較考量してA、B共に公務員として年収700万円程度であれば5万円の養育料支払が認められる可能性は大いにあります。

それでは「養育料は請求しない」との誓約書は全く意味がないのでしょうか。
全くないとは言えなくても、殆ど無いと言って差し支えないでしょう。それは養育料とは子供の監護・養育要するに子育てに必要な費用で基本的には子供が父親に対して有する権利だからです。

ですから母親が勝手に放棄することは出来ません。この点、私が加入している弁護士100名で構成するMLでも「養育料は請求しない」との約束は約束なので考慮すべきではないかと問題提起がありましたが、考慮すべきと考える弁護士は1名だけでした。

要するに、母親がどのような約束をしたとしても、出てくる子供には何の罪もないわけですから、子供として父親に対する認知・養育料請求を制約されることはないと考えるべきです。

従って子供が誕生する可能性がある性行為に及ぶ男性は、将来、自分の子供が生まれて、自分の収入が年収500万円あるとすれば、毎年50万円程度を子供が成年に達する20年間で1000万円程度支払うことを覚悟しておかなければなりません。養育料額は収入と関連しますので、収入が増えればもっと支払わなければならなくなります。

性行為を楽しみたいしかし子供の父親にはなりたくないと言う場合、万全の備えをして行うべきと言うことですね。

以上:2,022文字

タイトル
お名前
email
ご感想
ご確認 上記内容で送信する(要チェック

(注)このフォームはホームページ感想用です。
男女問題無料相談ご希望の方は、「男女問題相談フォーム」に記入してお申込み下さい。


 


旧TOPホーム > 男女問題 > 養育費・認知 > 認知・養育料放棄誓約の効力-殆ど効力なし