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平成14年 7月15日(月):初稿 平成16年10月23日(土):更新 |
私が妻の代理人として扱った離婚事件で、裁判所での被告(夫)質問で次のように語った夫がいます。 この事案は、夫に極度の飲酒・暴力、借金、浮気等典型的な離婚理由が無く、却って夫は子供好きな真面目で仕事熱心で離婚される理由など全くないと強く主張されたものでした。以下法廷供述です。 (私)旦那様にとっては、奥様が出て行かれたことは寝耳に水だったのですか。 (夫)そのとおりです。 (私)その後、離婚調停で奥様と話し合われましたね。 (夫)随分話し合いしました。 (私)その話し合いで、奥様の不満もお判りになったと思いますが、夫としてどういう点は悪かったと思いましたか。 (夫)……(しばし考え)エーと、基本的には私は悪くないと思っています。 (私)えっ、とすると奥様が出ていったのは全て奥様が悪い、奥様の我が儘と言うことですか。 (夫)(正に我が意を得たりと言う表情で)その通りです。 (私)貴方は離婚を拒否されていますが、そんな我が儘な奥様が戻ってもうまくやれるはずがないと思いませんか。 (夫)そうは思いません。妻は、我が儘を反省して戻ってくるべきです。 私はこの遣り取りに絶句しました。傍聴席で聞いていた妻は終了後私に対し、開口一番「あんなバカとは思わなかった」と夫に対する絶望感を確固たるものにしました。 この夫も「酒、暴力、浮気」などしない真面目な方で、決定的離婚理由のないケースでしたが、一審の裁判官はこの遣り取りを聞いて夫婦間の破綻を認定し離婚を認めてくれました。先ほどのAさんと同じ考えの夫ですが、正に敗者の自覚が出来ず、敗因分析到底不能な不幸な例です。 以上:670文字
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