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平成14年 7月15日(月):初稿 平成16年10月23日(土):更新 |
私の場合、長女が生後9ヶ月の時、離婚しました。お父さんそっくりですねと言われ正に目に入れても痛くない子供でしたから、別れは実に辛いものでした。司法試験に落ちたなんてものではない、地獄の底に叩き落とされた如くで、離婚後2,3年間は子を思い一日一度は涙しました。 離婚後、半年は子供に会うことは出来ず、1歳の誕生日もプレゼントを贈っただけでした。長女と同居する妻の両親から歩くようになった姿を見て欲しかったと手紙が来ました。一目見たいと言う思いが募り、離婚後半年を経て子供に会い、よちよち歩きをビデオに収めました。悩みはその後に深まりました。私の母は勿論、先輩弁護士のある人は、お互いに再婚して安定するまで、子供に会うべきでないと忠告します。しかし、別な先輩弁護士は、小松君が会いたいと思うなら会うべきであると忠告してくれます。 面会を続けるべきかどうかハムレットの如く悩みました。ある時、ある居酒屋で、両親が離婚したという女将さんの話をじっくり聞く機会を得ました。彼女は次のように言いました。 教師をしていた女将さんの父は、離婚後まもなく同じ教師と再婚したが、週に1回ずつ会いに来てくれた。彼女の実母は、だらしない性格で、父に愛想を尽かされて当然な人だった。そのため母子関係が余りうまくいかず、父の面会が彼女の心の支えであった。面会に来れないときは、必ず手紙をくれた。その手紙は、真っ黄色になっているが今の大事に取ってある。そして何かにくじけそうになると、その手紙を見て、父はこれほど自分を愛してくれていると確認し、曲がった道に進まないですんだ。 この話を聞いて私の迷いはすっきり消えました。誰が何と言おうと、自分が会いたいと思う以上、会いにいこうと。但し、女将さんの話には大変重要な後日談も含まれていました。再婚した父は結局子供は作らず、父の再婚相手の女性も女将さんを可愛がってくれたそうですが、彼女が成長し、結婚もして安定したとき、父が亡くなりました。 女将さんは当然葬儀に出席できるものと思っていました。ところが再婚相手は、貴女にだけは出席して貰いたくないと言って女将さんの葬儀出席を頑として拒否したそうです。私は胸にじーんと来ました。再婚相手の女性は、夫が別れた娘を深く思う気持ちにどんな思いで耐えてきたのか。せめて亡くなった後位は自分だけの夫として供養していきたいと言う気持ちが痛いほど判りました。 ■この父は勲章に値せず 以上:1,009文字
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