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個人情報保護の前提-プライバシー権について

平成17年11月13日:初稿
○プライバシーと言う言葉が当たり前の如く使われていますが、広辞苑によればプライバシーとは「他人の干渉を許さない、各個人の私生活上の自由。」となっています。しかしプライバシーの権利としての内容、要件、効果等は結構難しいものです。

○一般的には、プライバシー権とは、私生活・私事が正当な理由なく公開されないことを主たる内容をなし、人格権(人が自己の生命・身体・自由・名誉などの人格的利益について有する権利)の一つとして認められ、憲法13条の幸福追求権に基礎づけられ,判例上も認められ、このプライバシー権利を侵害すると、その侵害によって金銭的損害は受けなくとも,被った精神的損害に対して賠償等を請求できます。

○プライバシーの侵害が認められた最初の事案は三島由紀夫氏の小説「宴のあと」事件です。これは無断でモデルとされたA氏が、私生活を具体的に描写し暴露するかのごとく書かれて耐え難い精神的苦痛を受けたとしてプライバシー権侵害を根拠に三島由紀夫氏と出版元の新潮社を相手取って慰謝料金100万円の支払と謝罪広告を求め提訴したものです。

○これに対し東京地方裁判所判決では三島氏らによるプライバシーの侵害を認めてA氏に対し金80万円の慰謝料支払を命じましたが、謝罪広告については一旦公開されたものの原状回復は不可能で本件では名誉毀損信用低下の主張がないとのことで認めませんでした。

○被告とされた三島氏らは、①A氏をモデルにしても書かれた内容は三島のイメージでありA氏ではないこと、②表現の自由は個人のプライバシー権に優先すること、③A氏はモデルとなることを承諾していたと主張して激しく争いましたが、昭和36年当時金100万円の慰謝料請求に対し金80万円の支払を命じると言うことは慰謝料部分に関する限り三島氏らの完敗でした。

○判決では「宴のあと」は確かにA氏の私生活についての単なるのぞき見趣味の暴露小説ではないことは認めながら、モデルがA氏であることは明白で書かれた内容がA氏の私生活に合致していないとしてもそれによってA氏が好奇の対象としてみられ、「心の平穏を乱され、精神的な苦痛を感じたとしてもまことに無理からぬものがある」として慰謝料の支払いを命じました。

○又判決は、「宴のあと」が如何に芸術的価値が高くともこれをもってプライバシー侵害の違法性を阻却せず、更に表現の自由はあくまで個人の名誉・信用・プライバシー等の権利を侵害しないかぎりで保障されるものであるとして三島氏側主張を認めず、この分野における先導的役割を果たしました。
以上:1,052文字

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