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カルティエの時計模倣排除請求2

平成17年 1月17日:初稿
争点(2)について
「原告らの主張」
ア 被告各製品と原告各製品とは,以下のとおり,形態的特徴が共通し,両者は類似する。
(ア) リューズプロテクターの形状
(イ) ケース及びベゼルの形状
(ウ) ケースの大きさ
(エ) ホーンの形状
(オ) 文字盤のレイアウト
(カ) 文字盤上の数字等の形状
(キ) 被告製品1及び3と原告製品1とは,バックルの形状,本体の長さ,ベルトの幅,厚み,ステッチが酷似しており,ダイビング用の替えベルト,ドライバーが付属品として付けられていること,本体及び付属品が全て重厚な化粧箱に入れられて販売されていること等の点において共通する。被告製品2についても同様であると考えられる。

イ 被告各製品には「MARINA MILITARE」の商品名が,原告各製品には「LUMINOR」又は「LUMINOR MARINA」及び「PANERAI」の商品名が,それぞれ文字盤に表示されているが,両者の形態上の類似性を否定するものとはいえない。

「被告らの反論」
ア 被告各製品と原告各製品とは,以下のとおり相違する。
(ア)リューズプロテクターの形状
リューズプロテクターは,被告各製品では,全体的に平板,文字の刻印はないのに対して,原告各製品では,正面から見ると半円形の部分が,丸みを帯び,「REG.」「T.M.」の文字が刻印されている点で異なる。
(イ)商品名等の表示
被告各製品には,文字盤に「MARINA MILITARE」という商品名が 白色のアルファベットで横に2列に,表記されているのに対して,原告各製品には,「LUMINOR」又は「LUMINOR MARINA」及び「PANERAI」の文字が表記されている点で異なる。

 通常,腕時計における文字盤は,看者の最も目を惹く部分といえ,腕時計のようにケース,文字盤,針などの構成,形態が似通ったものとなる商品においては,文字盤に表示された商品名が,商品の自他識別,出所表示を最もよく果たすので,この点は相違は大きい.

(ウ)文字盤上の数字等の形状
 被告各製品では,文字盤上の数字等の字体は,大きくかつより丸みを帯びて,ポップな印象を与えている。
(エ)リューズの形状
 リューズは,被告各製品では,薄いため,リューズプロテクターとの間に隙間が生じているのに対して,原告各製品では,厚みを帯びて重厚感があり,リューズプロテクターと一体感を与えている点で異なる。
(オ)L字形のレバーの形状
 L字形のレバーは,被告各製品では,下から上に持ち上げて操作するものに限られるのに対して,原告各製品では,下から持ち上げるものと上から下ろすものとの両者がある点で異なる。
(カ)透明な裏蓋
 原告各製品では,裏蓋に,いわゆるシースルーバックと呼ばれる透明の素材が用いられ,時計内のムーブメントが透過して見えること,ムーブメントには,「PANERAI」との刻印が多数施されていたり,ルビーが取り付けられて装飾性を高めていること等の特徴があるのに対して,被告各製品では,裏蓋に,透明な素材は用いられておらず,裏蓋に「R・X・W」等の標章が刻印されている点で異なる。

争点(3)について
「原告らの主張」
被告各製品と原告各製品とは,形態的特徴において共通し,両者は類似するので,出所についての誤認混同が生じるおそれがある。
被告らは,被告各製品は,被告ら店舗の店頭又は通信販売により販売されているのに対して,原告各製品は,総代理店を通じ,著名な高級百貨店や時計店において販売されているので,販売態様が異なると主張する。しかし,被告ら店舗及びウェブサイトでは,高級腕時計ブランドの真正商品の販売も行われていること,雑誌においては,原告各製品の紹介記事を掲載した雑誌において,被告各製品の広告が掲載されていた例があることに照らすと,需要者が全く異なるということはない。

被告らは,被告各製品の価格は,約5万円から8万円であるのに対して,原告製品は,約40万円から90万円であり,著しい価格差があると主張する。しかし,被告各製品の形態,被告各製品の需要者層と原告各製品の需要者層が同一であること,被告各製品が原告各製品の代替品として販売されていることなどに照らすならば,両者の間に出所の混同が生じないということはできない。
被告らは,被告各製品及び原告各製品のいずれにも,商品名が表記されていると主張する。しかし,原告各製品の形態の特徴が顕著であることに鑑みれば,被告各製品に,商品名が付されていたとしても,需要者が,被告各製品が,原告らと何らかの関係があると誤認,混同する可能性は高い。

「被告らの反論」
出所についての誤認混同が生じるおそれはない。
①被告各製品は,被告ら店舗の店頭又は通信販売により販売されているのに対して,原告各製品は,総代理店を通じ,著名な高級百貨店や時計店において販売されているので,販売態様が異なる,

②被告各製品の価格は,約5万円から8万円であり,いずれも10万円以下であるのに対して,原告各製品は,約40万円から90万円であり,著しい価格差がある,
③被告各製品にも原告各製品にも,商品名が表記されていること等の点に照らすならば,被告各製品と原告各製品との間に,出所についての誤認混同が生じるおそれはない。

争点(4)について
「原告カルティエの主張」
原告登録商標は,リューズプロテクターを正面から見た形状を平面図形で表したものであり,半円形の弦の中央部を長方形にくり抜いた,ブリッジ状の形状で表されている。被告各製品に付されたリューズプロテクターを正面から見た形状は,原告登録商標と同一であるから,そのような形状のリューズプロテクターを被告各製品に付す行為は,原告商標を使用する行為であるといえる。

「被告らの反論」
 被告各製品のリューズプロテクターを正面から見た形状は原告登録商標と同様であるが,被告各製品のリューズプロテクターは,立体的なものであり,被告各製品を構成する部品である。被告各製品にリューズプロテクターを装着する行為は,商標としての使用には当たらない。


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