仙台,弁護士,小松亀一,法律事務所,宮城県,交通事故,債務整理,離婚,相続

旧TOPホーム > 知財法等 > 実務解説「知的財産権訴訟」  >    

第9章著作権法-出版権 小松

平成17年 1月15日:初稿 平成17年 1月18日:更新
第5節 出版権
1.出版権の意義

出版とは、著作物を文書又は図画として複製し頒布する行為である。
(1)出版許諾(契約)による出版
著作者から出版物として利用する旨の条件で複製(21条)と譲渡(26条の2)の許諾を受けて出版するもの

(2)出版権の設定による出版
出版権とは、出版事業者の相当程度の資本投下と危険負担を考慮して、独占的排他的に複製、譲渡が認められた権利。
①独占的・排他的権利で、登録を受ければ第3者に対抗でき(79条、88条)、侵害行為に差止及び損害賠償請求権を有する(112,114条)。
②著作権者から設定の許諾を受けて発生する設権的権利で(79条)、複製権者の許諾により譲渡し、質権の目的とすることが出来る(87条)
存続期間の満了により消滅する(83条)。
③出版権権利主体は、出版権の設定を受け著作物を文書又は図画として出版することを引き受ける者(出版権者)である。
④出版の義務がある(81,82条)

2.出版権の設定・内容
(1)出版権の設定

79条 第21条に規定する権利を有する者(以下この章において「複製権者」という。)は、その著作物を文書又は図画として出版することを引き受ける者に対し、出版権を設定することができる。
2 複製権者は、その複製権を目的とする質権が設定されているときは、当該質権を有する者の承諾を得た場合に限り、出版権を設定することができるものとする。
出版権を第3者に対抗するためには設定の登録が必要(88条)。
出版権設定は契約で行うが、出版権設定か単なる出版許諾か契約文言上明確にしておく必要がある。

(2)出版権の内容
80条 出版権者は、設定行為で定めるところにより、頒布の目的をもつて、その出版権の目的である著作物を原作のまま印刷その他の機械的又は化学的方法により文書又は図画として複製する権利を専有する。
出版権者は、単なる出版の許諾を受けた場合と異なり、独占的・排他的権利として出版権を持つが、第3者に対抗するには設定登録が必要(88条)。
出版の許諾の場合、単純許諾の他独占的出版許諾を内容とするものがあるが、後者の場合でも、複製権者は他に出版許諾を与えない義務を負うだけで、義務違反して他の第3者出版許諾を与えても、その第3者に出版差止請求は出来ない。
特許権、意匠権の実施権の専用実施権(登録が必要)、通常実施権の非独占的通常実施権、独占的通常実施権とパラレルか?
登録を受けた出版権者は、第3者に対抗でき(79条、88条)、侵害行為に差止及び損害賠償請求権を有する(112,114条)。

(3)出版権者の権利の制限
①複製権者による編集物への収録権

80条2項 出版権の存続期間中に当該著作物の著作者が死亡したとき、又は、設定行為に別段の定めがある場合を除き、出版権の設定後最初の出版があつた日から3年を経過したときは、複製権者は、前項の規定にかかわらず、当該著作物を全集その他の編集物(その著作者の著作物のみを編集したものに限る。)に収録して複製することができる。

②出版権者による複製許諾の制限
80条3項 出版権者は、他人に対し、その出版権の目的である著作物の複製を許諾することができない。
出版権はあくまで出版を目的とした特別の権利であり、複製権者との信頼関係が前提のための規定であり、複製権者が特別に複製の許諾を与えた場合は、この規定は適用されない。

③出版権の制限
30条1項(私的使用のための複製)、31条(図書館等における複製)、32条(引用)、33条1項(教科書用図書等への掲載)、34条1項(学校教育番組放送等)、35条(学校等教育機関の複製)、36条1項(試験問題への複製)、37条1項(点字による複製)、39条1項(時事問題に関する論説の複製)、40条1,2項(政治上の演説の利用)、41条から42条の2まで(時事の報道等、公共目的の利用)、46,47条(公開の美術の著作物及び美術の展示)等の規定は出版の目的となっている著作物の複製について準用される(86条)。

④出版権の譲渡等の制限
87条 出版権は、複製権者の承諾を得た場合に限り、譲渡し、又は質権の目的とすることができる。
但し、登録しなければ第3者に対抗できない(88条)。

(4)出版権の存続期間及び消滅
83条 出版権の存続期間は、設定行為で定めるところによる。
2 出版権は、その存続期間につき設定行為に定めがないときは、その設定後最初の出版があつた日から3年を経過した日において消滅する。

84条 出版権者が第81条第1号の義務(引渡しを受けた日から6月以内に当該著作物を出版する義務)に違反したときは、複製権者は、出版権者に通知してその出版権を消滅させることができる。
2 出版権者が第81条第2号の義務に違反した場合において、複製権者が3月以上の期間を定めてその履行を催告したにもかかわらず、その期間内にその履行がされないときは、複製権者は、出版権者に通知してその出版権を消滅させることができる。
3 複製権者である著作者は、その著作物の内容が自己の確信に適合しなくなつたときは、その著作物の出版を廃絶するために、出版権者に通知してその出版権を消滅させることができる。ただし、当該廃絶により出版権者に通常生ずべき損害をあらかじめ賠償しない場合は、この限りでない。

3.出版権者の義務
(1)出版の義務

81条 出版権者は、その出版権の目的である著作物につき次に掲げる義務を負う。ただし、設定行為に別段の定めがある場合は、この限りでない。
1.複製権者からその著作物を複製するために必要な原稿その他の原品又はこれに相当する物の引渡しを受けた日から6月以内に当該著作物を出版する義務
2.当該著作物を慣行に従い継続して出版する義務

(2)著作物の修正増減
82条 著作者は、その著作物を出版権者があらためて複製する場合には、正当な範囲内において、その著作物に修正又は増減を加えることができる。
2 出版権者は、その出版権の目的である著作物をあらためて複製しようとするときは、そのつど、あらかじめ著作者にその旨を通知しなければならない。
「あらためて複製する場合」とは、増刷又は改訂何れの場合でも、以前の印刷時から一定期間経て印刷すること。
ここでの増減修正権を有するのは、著作者に限る。著作者人格権の同一性保持権に基づくもの。


以上:2,599文字

タイトル
お名前
email
ご感想
ご確認 上記内容で送信する(要チェック
※大変恐縮ながら具体的事件のメール相談は実施しておりません。

 


旧TOPホーム > 知財法等 > 実務解説「知的財産権訴訟」  > 第9章著作権法-出版権 小松