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第9章著作権法-著作者人格権と著作権の制限 小松

平成17年 1月15日:初稿 平成17年 5月 7日:更新
第3節の2 著作者人格権
1.著作者人格権の概要
著作者人格権の根拠は、著作権法の文化性(文化的精神活動の保護)や沿革的背景等種々の理由がある。
ベルヌ条約
「著作者は、その財産的権利とは別個にこの権利が移転された後においても著作物の創作者であることを主張する権利及び著作物の変更、切除その他の改変又は著作物に対するその他の侵害で自己の名誉又は声望を害するおそれがあるものに対して異議を申し立てる権利を保有する。」(同6条の2第1項)

2.公表権
18条1項 著作者は、その著作物でまだ公表されていないもの(その同意を得ないで公表された著作物を含む。以下この条において同じ。)を公衆に提供し、又は提示する権利を有する。当該著作物を原著作物とする二次的著作物についても、同様とする。

いったん公表された後は消滅する。一身専属権なので著作者が著作権を譲渡した後も行使できるが、譲渡によって公表同意が推定されるので、一身専属性は余り意味がない。

3.氏名表示権
19条1項 著作者は、その著作物の原作品に、又はその著作物の公衆への提供若しくは提示に際し、その実名若しくは変名を著作者名として表示し、又は著作者名を表示しないこととする権利を有する。その著作物を原著作物とする二次的著作物の公衆への提供又は提示に際しての原著作物の著作者名の表示についても、同様とする。

4.同一性保持権
20条1項 著作者は、その著作物及びその題号の同一性を保持する権利を有し、その意に反してこれらの変更、切除その他の改変を受けないものとする。
但し、教科書掲載の場合の用字、用語変更、建築物増改築・修繕等による改変、電子計算機変更に伴うプログラムの改変等は適用されない(20条2項)。

第3節の3 著作権の制限
1.著作権の制限概要
著作権法1条の「これら文化的所産の公正な利用」目的達成のため種々の著作権制限規定が置かれた(30~50条)。
制限根拠は、
著作権の性質上のもの
公益上の理由
他の権利との調整
社会慣行
等がある。
但し、50条「この款の規定は、著作者人格権に影響を及ぼすものと解釈してはならない」に注意すべき。

2.著作権侵害の種類の内容
①私的使用のための複製
30条 著作権の目的となつている著作物(以下この款において単に「著作物」という。)は、個人的に又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲内において使用すること(以下「私的使用」という。)を目的とするときは、次に掲げる場合を除き、その使用する者が複製することができる。
次に掲げる場合とは、公衆使用目的設置ダビング機使用の場合などがある。
注意すべきは30条2項
 私的使用を目的として、デジタル方式の録音又は録画の機能を有する機器であつて政令で定めるものにより、当該機器によるデジタル方式の録音又は録画の用に供される記録媒体であつて政令で定めるものに録音又は録画を行う者は、相当な額の補償金を著作権者に支払わなければならない。
但し、実際は、この種デジタル録音録画機器購入の歳補償金を一括前払いしている。

②図書館等における複製
31条 図書、記録その他の資料を公衆の利用に供することを目的とする図書館その他の施設で政令で定めるものにおいては、次に掲げる場合には、その営利を目的としない事業として、図書館等の図書、記録その他の資料を用いて著作物を複製することができる。
次に掲げる場合とは要約すると以下の通り。
Ⅰ利用の方法:図書館等の利用者の求めに応じ、その調査研究の用に供する
Ⅱ複製等の主体:政令1条の3で定める図書館等
Ⅲ複製等の条件:営利を目的としないこと、当該図書館等の資料を用いること
Ⅳ複製等の程度:著作物の一部を一人につき一部のみ提供

③引用
32条 公表された著作物は、引用して利用することができる。この場合において、その引用は、公正な慣行に合致するものであり、かつ、報道、批評、研究その他の引用の目的上正当な範囲内で行なわれるものでなければならない。
適法な引用要件
Ⅰ他人の著作物を引用する必然性があること
Ⅱ引用部分と自分の著作物とが区別されていること
Ⅲ自分の著作物と引用する著作物の主従関係が明確であること
出所の明示がなされていること

脱ゴーマニズム宣言事件

④学校教育等に必要な複製、翻案等
33条 公表された著作物は、学校教育の目的上必要と認められる限度において、学校教育に関する法令の定める教育課程の基準に準拠した学校向けの放送番組又は有線放送番組において放送し、又は有線放送し、及び当該放送番組用又は有線放送番組用の教材に掲載することができる。
2 前項の規定により著作物を利用する者は、その旨を著作者に通知するとともに、相当な額の補償金を著作権者に支払わなければならない。
34条は放送番組について、35条は教育担任者について、36条は入学試験等の検定について、同様の規定。
これらは学校教育という公益目的から必要な範囲に限定して、著作者の経済的利益を侵害しないように配慮して規定している。
但し、コンピュータ研修のためのソフトは35条の適用を受けない。

⑤聴覚障害者のための複製等
37条 公表された著作物は、点字により複製することができる。

⑥営利を目的としない上演等
38条 公表された著作物は、営利を目的とせず、かつ、聴衆又は観衆から料金(いずれの名義をもつてするかを問わず、著作物の提供又は提示につき受ける対価をいう。以下この条において同じ。)を受けない場合には、公に上演し、演奏し、上映し、又は口述することができる。ただし、当該上演、演奏、上映又は口述について実演家又は口述を行う者に対し報酬が支払われる場合は、この限りでない。
営利とは、間接的な利益も含み、例えば顧客サービスのための映画上映はダメ。

以上:2,362文字

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