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耐用命数僅かの建物賃貸借解約申入の正当事由判断基準例2

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平成23年 8月23日:初稿
○「耐用命数僅かの建物賃貸借解約申入の正当事由判断基準例」を続けます。
 老朽建物を建物老朽化を理由に解約申し入れをした場合の正当理由に該当するかどうかの具体的判断基準を示した判例で、昭和33年12月3日東京地裁判決(判タ88号79頁)です。

事案
・賃貸人Aが賃借人Bに対し、昭和3年1月10日その所有する木造トタン葺二階建店舗(11.5坪)一棟を、賃料1ヵ月金90円毎月末日払、期間昭和8年1月9日までの約定にて賃貸し、右期間経過後も引き続き期間の定めなく賃貸借契約を継続し、昭和30年5月当時の賃料が1ヵ月金1800円であった。
・AがBに対し、昭和29年1月1日付で本件賃貸借契約解約の申入をしその申入が翌2日Bに到達した。ことは、当事者間に争がない。
・Aの解約申入の理由は、「本件家屋は昭和2年中に建築せられたものなるところ、その後約27,8年間にわたり1回の修理も加えなかつたため家屋の主要部分が朽廃し、最早建物としての命数も尽きたと認められるので、これをとりこわして建物を新築する必要がある」と主張する。
・本件家屋は、その三方を著しく接近した隣家に囲まれて通風及び陽当りがわるく、そのうえ昭和2年末頃建築せられて以来今日まで約30年間の間殆んど修理らしい修理もしたことがないため、その土台、柱、内外壁などの建築要部に腐蝕、破損、汚染等の部分多く、建物自体及びその内部の各所が傾斜し、いま本件家屋を修理しようとすると、先ず人が居住したままでは相当困難なことであるのみならず、その所要費用として結局これを新築すると同じ程度の出資を要するものと認められる。

判示結論
 本件家屋の命数は最早尽きようとするところであり、且つ、本件家屋の現状を利用してする修理ないし改築は最早不可能なることといわざるを得ず、AがBに対し、本件家屋をとりこわしてその跡に建物を新築するために申し入れた本件解約の意思表示は、正当理由がある。

判示理由等
 Bは、「本件家屋の状況が今日のようになつたのは専らAが賃貸人としての修繕義務に違反して1回の修理をも加えなかつたためであり、しかもAは僅かな資金で本件家屋を建築しながらこれをBに賃貸するに当り建築費以上の多額の造作権利金を提供せしめ、且つ、多年にわたつて多額の家賃を得ておきながらこのような結果を招来せしめているのに反し、Bは賃借人としての義務を忠実に果してきているのであつて、今Bに対し家屋の朽廃による建物新築の必要を理由に右家屋の明渡を請求することは、解約申入の正当な事由を欠くものである。」と主張する。

 以下の事情から「正当事由」は存在する。
・賃貸人Aは、本件家屋を賃貸後今日まで殆んど修理らしい修理は一回もしたことのないことが認められるが、Aが修理をしなかつたのは、Aが本件賃貸に当りBに対して本件家屋の畳、戸障子など附属の造作を金3800円にて売却しているため家主として別段手出をする必要もないと思つていたこと
・Aは、Bから修繕を要する旨の通知を一回も受けていなかつたこと
・BがAに通知することなく本件家屋につき多少の保存行為をしたことはあるが、その家屋の要部の腐朽の状態を現認しながらあえてAに通知して修繕をうながす等の措置に出ず、おおむねこれを放任していた
・従って本件家屋が現在のような状態になつたのは、Aの責任とのみいうことを得ず、むしろその責任の一斑は賃借家屋をよき状態に保つため善良な管理者の注意義務を充分果さなかつたBの側にもある
・本件解約申入の当時その事情のいかんを問わずすでに賃貸借の目的物は朽廃に頻していて賃貸借そのものが自働的に終了しようとしていたものとみられないこともないような状況にあつた。


以上:1,523文字

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