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腐乱死体付きを知らずにマンションを競売で取得した場合

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平成22年 4月28日:初稿
○「競落したマンションが自殺物件-発生する損害は」で、競売で自殺物件とは知らずにマンションを取得した場合、売主に対し代金減額・損害賠償等の請求は出来ませんが、民事執行法第75条の規定により、自殺が不動産の「損傷」に該当するとして、売却不許可の申出あるいは売却許可決定取消の申立をして買わずに済ませることも出来ますと説明しておりました。その民事執行法の規定は次の通りです。

民事執行法第75条(不動産が損傷した場合の売却の不許可の申出等)
 最高価買受申出人又は買受人は、買受けの申出をした後天災その他自己の責めに帰することができない事由により不動産が損傷した場合には、執行裁判所に対し、売却許可決定前にあつては売却の不許可の申出をし、売却許可決定後にあつては代金を納付する時までにその決定の取消しの申立てをすることができる。


○上記規定ので「不動産の損傷」とは、不動産の一部が損壊するなどの物理的損傷だけでなく、不動産の価値を著しく下げる状況、例えば室内での自殺が判明した場合などの価値的損傷も含むと解されています(注釈民事執行法(4)96頁、昭和7年1月12日大審院決定民集11巻96頁参照)。問題は何が価値的損傷に当たるかで、自殺は一般に該当するとされていますが、単なる病死は該当しません。

○では、病死の場合でも、一人暮らしで誰も気付かずそのまま放置され、死後4ヶ月後に競売で取得した人が、競売物件を訪れて、腐乱死体を発見し、室内に強烈な異臭が残り,周囲にも強い臭気が立ちこめていたような場合はどうなるでしょうか。「栄養失調凍死と瑕疵担保責任判例紹介1~5」で、引きこもりで一人暮らしの中年女性が栄養失調で凍死していた不動産も瑕疵に該当すると認められた判例を紹介しましたが、この例では自殺ではないため売主は瑕疵には該当しないと激しく争いました。

○先の腐乱死体付きマンションを競売で取得した人は、幸い、競売代金納付前でしたので、腐乱死体の存在は民事執行法第75条の「損傷」に該当するとして売却許可決定取消の申立をしました。腐乱死体付きマンションでは、いくら腐乱死体を撤去して掃除して綺麗にしたとしても、到底、自ら住む気にはなれず、また他に売却するとしても買い叩かれて大きな損害が発生することが明らかだからです。

○ところがこの売却許可決定取消の申立に対し、名古屋地裁平成21年11月25日決定は、その腐乱死体が「病死及び自然死」で自殺ではなく、記録上本件各事実が近隣住民の耳目を集めたなどの事情は窺われないとの理由で、本件物件の価値が著しく損なわれたとは認められないとして却下しました。

○「自殺」でないとの形式的理由で「損傷」には該当しないと判断する正に杓子定規の判断ですが、このような形式論で判断する裁判官は、結構、存在します。これに対し執行抗告がなされ、平成22年1月29日名古屋高裁は、競売物件に死因不明の遺体が腐乱死体となって長く放置されたことは周辺住民にも知れ渡ったこと、そのような物件を自ら使用することはためらわれ、転売も困難になるから、死因が自然死、病死であろうと交換価値が低下したことは間違いないと,極めて常識的理由で、売却許可決定を取り消しました。当然の判断と思います。
以上:1,335文字

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