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持戻免除の意思表示が認められた具体例紹介2

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平成24年 6月20日:初稿
○「持戻免除の意思表示が認められた具体例紹介1」を続けます。
民法第903条第3項の持戻免除意思表示の方式について特別の定めはなく、明示、黙示、生前行為、遺言いずれでも構いませんが、生前明示の意思表示があれば問題がありません。しかし、実務では生前の明示の持戻免除意思表示は殆ど聞いたことがありません。この場合、争いにならないので法律家の目に触れないだけかも知れませんが、実務で争いになるのは生前の黙示の意思表示の有無です。
以下、実際の審判例を紹介します。

昭和45年7月3日福岡高裁決定(家裁月報22巻11=12号91頁)
 佐賀家庭裁判所唐津支部の検認を経たA作成名義の遺言書によると、「私が全財産を三男Bへ譲渡す家出人相ぞく無B渡ス」旨の記載があるけれども、日付としては昭和35年8月とあるだけで日の記載を欠いており、この点において右遺言書は自筆証書遺言の要件を欠き有効な遺言とみることはできないので、被相続人Aが遺産全部を抗告人Bに遺贈したものとみることはできない。
 しかしながら、Aが作成したと認むべき右遺言書の記載、原審における抗告人、相手方C及びD審問の結果、原審鑑定人E、Fの鑑定の結果並びに記録添付の戸籍謄本、登記簿謄本を総合すると、被相続人A(明治18年生れ)は、本籍地において農業を経営してきたものであるが、昭和33年から昭和35年2月29日までの間数回にわたりその三男である抗告人に対し原審判添付第二目録記載の田、山林、原野、宅地及び居住家屋(以下、本件第二物件と称す。右物件の相続開始時における評価額は金393万7、050円)を贈与したこと、本件第二物件は金額にしてAの所有していた不動産の約3分の二に相当し、抗告人の法定相続分をはるかにこえるものであること、Aの長男であつた相手方Cは、当時Aとは独立し肩書住所に居住して瓦製造業を営んでいたこと、同人の二男であるDもまたAとは独立して別居し、当時郵便局に勤務して農業には従事していなかつたこと、抗告人は当時A及びその妻Gと同居して農耕に従事していたものであることを認めることができ、右事実によれば、Aは自己の営んできた農業を抗告人に継がせる意思であつたことを推認することができる。しかして、これら認定事実によれば、被相続人Aは本件第二物件を抗告人に贈与するに際し、これらの特別受益の持戻免除の意思を表示していたものと認めるのが相当である。」

昭和51年4月16日東京高裁決定(判タ347号207頁、東高民時報27巻4号90頁)
 被相続人と相手方Bとの間の長女である相手方C(大正7年生)は日本女子大学卒業の翌年ころより強度の神経症となり、その後入院再発を繰返し、右株式が贈与された昭和33年5月当時、40才に達しながら結婚もできない状態で両親の庇護のもとに生活していたこと、特に母である相手方Bが右Cの身の廻りの世話をしていて、将来にわたってその状態を続けなければならないことが予測されていたため、被相続人としてはE印刷株式会社の利益配当をもつて相手方Cと相手方Bの生活の安定を計ろうとして右株式の贈与を決意したものであることが認められ、しかも、その際、既に他に嫁していた抗告人Dに対しても前示のとおり株式の贈与を行つていることを考え合せると、被相続人としては、右株式の生前贈与にあたり、相手方両名のみでなく、抗告人に対しても、同条三項所定のいわゆる持戻免除の意思を少くとも黙示的に表示したものと推認することができる。

平成5年3月10日鳥取家裁審判(家月46巻10号70頁)
 相手方Bは、被相続人の二男であり、昭和21年に復員し、昭和23年6月に結婚して被相続人と同居していたが、同年12月に長男Cが復員し、昭和25年に相手方Dと結婚したため、被相続人宅に同居できない状況となり、同土地建物を購入して別居した事実が認められるから、被相続人が相手方Bに対して右住居の購入資金を贈与したとすれば、それは、被相続人が復員の見込みのたたない長男の代わりに二男Bを跡継ぎに据えたところ、長男Cの復員という喜ぶべき結果が生じ、その反面、二男Bには出ていって貰わなければならない申し訳なさから出た贈与であるというほかないのであり、このような特別な事情が存在したのであるから、右贈与には特別受益持ち戻し免除の意思が含まれていたものと認めるのが相当である。

平成8年8月26日東京高裁決定(家裁月報49巻4号52頁)
 記録によると、Aが昭和62年9月30日にした別紙遺産目録一1記載の土地(持分5分の4)の抗告人Bへの贈与は、抗告人Bの長年にわたる妻としての貢献に報い、その老後の生活の安定を図るためにしたものと認められる。そして、記録によると、抗告人Bには、他に老後の生活を支えるに足る資産も住居もないことが認められるから、右の贈与については、Aは、暗黙のうちに持ち戻し免除の意思表示をしたものと解するのが相当である。
 相手方は、抗告人Bが抗告審で初めて持ち戻し免除の主張をしたことなどを理由に、右の意思表示の存在を争うが、右の贈与がなされた当時のA及びBの年齢や収入などを考慮に入れると、上記の贈与の目的が上記のようなものであることは否定できないのであり、そのような贈与について、遺産分割の際にこれを持ち戻したのでは、すでに老境にある妻の生活を維持することはできないのであるから、持ち戻しを免除する意思がなかったとする、相手方の主張は採用することができない。




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