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限定承認の基礎の基礎-注意すべきは第935条

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平成23年10月 1日:初稿
○「限定承認の基礎の基礎-民法の条文は僅か16条」の限定承認手続概要で
②限定承認受理後、5日以内に2ヶ月以上の期間で相続債権者・受遺者への請求申出公告
 これによって相続債権者・受遺者を限定

と記載しておりましたが、注意すべきは、次の規定です。
第935条(公告期間内に申出をしなかった相続債権者及び受遺者)
 第927条第1項の期間内に同項の申出をしなかった相続債権者及び受遺者で限定承認者に知れなかったものは、残余財産についてのみその権利を行使することができる。ただし、相続財産について特別担保を有する者は、この限りでない。


○この規定の趣旨は、民法第927条1項の請求申出期間内の申出をしなかった債権者・受遺者で、かつ限定承認者に知れなかった者にも、清算手続き終了後なお残余財産のある場合にのみ、権利行使を認め、その利益を保護することにあると説明されています。しかし、私はこの規定が、限定承認制度利用を妨げる最大のネックになっており、この規定は出来るだけ限定的に解釈すべきと思っております。

○と言うのは、限定承認をする人は、残余財産は完全に自分のものになると期待するからこそ限定承認を行うからです。残余財産とは、所定届出期間内に届出をした債権者に対する清算手続きを進め、受遺者に弁済を終了して後、なお残っている相続財産の一部ですが、この規定のお陰で、民法第927条1項の請求申出期間内の申出をしなかった債権者・受遺者を完全に債権者から排除できず、申出をした債権者に配当をして残余財産が出ても、この規定のお陰で残余財産は完全に限定承認者のものにはなりません。残余財産は完全に限定承認者のものになるとの期待がこの規定によって裏切られます。

○現実の実務では、このような債権者が現れることは殆どないと思われます。私が担当した僅かの限定承認例でも現れたことはありませんでした。万が一現れても消滅時効を援用して争うか、債権自体が存在しないと主張して争えば足りる例が多いと思われます。しかし慎重な方は、折角、債権届出をさせてその債権者に支払い、残余財産が生じても、相続時から最長10年間は、その残余財産に請求される可能性があり、自由に使えないのでは、無理して限定承認しなくても良いとなります。最長10年というのは、民事債権の消滅時効の最長期間です。

○万が一、いったん清算終了後に、複数の債権者が、残余財産を目指して請求をし、残余財産額が請求額に不足する場合、債務超過となりますので、民法第929条、931条に従って、債権額に応じた比例配当になります。一度清算手続きを終了してもなお、再度の清算手続きが必要になる可能性があるとなると、面倒だから相続放棄してしまえとなりがちです。相続財産を残して相続人全員が放棄すると、債権者はわざわざ家庭裁判所に相続財産管理人を選任して、相続財産管理人から配当を受ける手続をしなければなりません。そんな面倒なことをするよりは、限定承認をよりしやすくして、相続人の1人から配当を受ければ足りる方にした方が余程経済的です。その意味で、935条は削除すべきと思っております。
以上:1,286文字

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