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生前贈与を受けた人と包括遺贈を受けた人の権利関係

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平成19年 6月29日:初稿
○Aさんは、所有する甲土地をBさんに生前贈与しながら登記は移転しないまま、Cさんに対し「私の財産は全てCさんに遺贈します」と言う遺言書を残して亡くなりました。Cさんはこの遺言書によりAさんからの遺贈を原因として甲土地をCさん名義に所有権移転登記をしました。これに対しBさんは、自分が先にAさんから贈与されて、贈与契約書も存在するので自分が優先するはずと主張しています。

○Bさんの主張は、次の通りです。
Cさんは、遺言でAさんから全ての財産を遺贈するとされたが包括遺贈であり、民法第990条(包括受遺者の権利義務)「包括受遺者は、相続人と同一の権利義務を有する。」との規定により、Aさんの相続人としての義務も承継している。
従って甲土地の権利関係について、対抗要件が必要な「第3者」には該当しないので、甲土地についてのBさんの贈与された所有権は、Cさんに対して登記がなくても主張できる。

○このBさんの主張は、それなりに筋が通っているとも思われるのですが、平成17年12月28日奈良地裁判決とその控訴審の平成18年8月29日大阪高裁判決(判例時報1963号77頁)の何れもが、Bさんの主張を退け、甲土地の所有権については先に登記を取得したCさんがBさんに優先するとしました。

○Aさんが生前に所有する甲土地について最初に先にBさんに譲渡し、未登記のまま次にCさんに譲渡した場合は、対抗関係に立ち、BさんとCさんの優劣は、どちらが先に登記を得たかによって決まります。本件ではCさんは包括遺贈であり、どちらも生前の二重譲渡とはちと事情が異なるはずですが、これらの判決は、生前の二重譲渡の場合と同じとしました。

○その判決の理由は、いまいち判りづらい面もありますが、概ね以下の通りです。
①Aさんの意思に基づく財産処分である点では特定遺贈も包括遺贈も性質は同じ
②生前贈与も包括遺贈も物件変動の効力は登記されるまでは未完成で登記されて初めて完成する
③特定遺贈も包括遺贈も外部からは判らないので登記なしには第3者に対抗できないと解することが第3者保護の見地から妥当
④民法990条の規定にかかわらず、包括遺贈による所有権の移転は民法177条「不動産に関する物件の得喪及び変更」に該当し、包括遺贈を受けた者は「第3者」に該当する

○ポイントは民法990条で、この条文との関係についての理由付けがいまいち不備ではと思われますが、Bさんは、当然、納得できず最高裁に上告しており、何れ最高裁の見解が出されます。
以上:1,031文字

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