平成18年 2月 7日(火):初稿 |
○H18年2月6日更新情報で「この場合過去の戸籍上(改正原戸籍等)は存在するがその人物の現在の戸籍が不明であり、裁判所ではこのような場合も公示送達による判決を認めてくれたことがあります。」と記載しました。 ○三代も前の曾祖父の相続人探しは、曾祖父が生まれてから死亡するまでに編成された戸籍・除籍・改製原戸籍等の謄本を全て取り寄せる必要があります。戸籍は明治19年、31年、大正4年、昭和23年、平成6年にそれぞれ法改正があって、その都度それまでの戸籍を改正原戸籍として、新しい戸籍を編纂されました。 ○新しい戸籍を編纂する場合、それまでの戸籍は改正原戸籍として、その記載が改正した戸籍に転記されていますので、曾祖父の相続人の戸籍の変遷が判り、これを追いかけて調査することが出来ます。曾祖父の名義の土地について所有権移転登記手続をするためには、曾祖父の相続人全員の印鑑登録証明書付きで登録実印を押印した承諾書を添付しなければなりません。 ○相続人が多数に及び且つ全国に散らばっているような場合、全員から印鑑登録証明書付きで登録実印を押印した承諾書を取り寄せるのは困難を極めます。印鑑登録証明書の有効期間である3ヶ月以内に全承諾書を取り寄せなければならず、又相続人の1人でも欠けたら登記手続は出来ないからです。 ○そこで私は、相続人が多数に及び且つ全国に散らばっているような場合は、承諾書に代わる「……を原因とする所有権移転登記手続をせよ。」と言う判決を得てこれを添付して登記手続を行う方法を取ります。判決の場合、印鑑登録証明書も要らず、又有効期間も10年間あります。勿論、登記手続は専門の司法書士さんに任せます。 ○三代も遡ると相続人の中には稀に昭和23年以前の改正原戸籍に記載があり、死亡の記載がないのにその後の改正戸籍に記載されず、戸籍上も行方不明になる方も居ます。その後の調査の方法がない場合は、この方については前述の公示送達の方法で判決を取ったこともあります。 ○現在の登記簿表題部に所有者Aと記載されている甲土地について先祖伝来自己所有として使用しているBさんから、甲土地表題部A名義から現在の所有者Bさんへの所有権移転登記手続を依頼されたことがあります。表題部にはAの住所記載が無いため戸籍関係を調査することが出来ず、Aの存否、行方が全く不明として公示送達の申立の方法でA相手に時効取得を原因とする所有権確認の訴えを提起しました。所有権の確認が出来ればBさん名義に保存登記が出来るとの法務局の見解を得たからです。 ○裁判所は、当初公示送達許可を出し渋りましたが、実在しない者の名義で登記されていても、登記されている以上は登記申請をした人物が居るはずであり、この名義人相手に公示送達は可能との裁判例(昭和41年9月22日津地裁判決、下民17巻9・10号836頁)があるとの報告をしたところ公示送達を認めてくれました。 以上:1,197文字
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