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隣の土地と自分の土地の公図地番取違いの場合の地番訂正方法-関係判例1

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平成27年 8月 4日:初稿
○ある土地家屋調査士から、お客様が、公図上1番2として購入し建物を建てて30年来居住している土地の公図上の地番が、公図上は1番3となっており、公図上1番2の土地は、隣家でやはり数十年前から建物を建てて居住している、そこで公図の地番の誤りを訂正する地図訂正の申立を隣家の方と共同で申請しようとしたら、隣家の方から拒否されて困っているとの相談を受けました。要するに所有している土地の地番が実際と異なっているとのことです。これを訂正するためにどのような手続が良いかとの相談ですが、単純な境界確定の問題ではなく、公図の意義等について調査する必要が生じました。

○昭和63年10月27日東京地裁判決(判時1297号68頁)に「公図の沿革と機能」との表題で解説しており、これらの判例を参考にして徐々に勉強していきます。

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(一) 公図の沿革と機能
 証人○○○○の証言及び弁論の全趣旨によれば、登記所備付の公図の沿革及び機能は、次のとおりであることが認められる。
(1) 公図は、明治6年地租改正に伴い作成された野取絵図(改租図)を基礎とし、明治20年大蔵大臣内訓「地図更正ノ件」、「町村地図調整式及更正手続」により、これを更に正確にした更正図を基本としていること。

(2) 右更正図は、明治22年土地台帳規則の制定に伴い土地台帳とともに管理され、事務処理上土地台帳附属地図として取り扱われていたが、明治25年7月31日、土地台帳法の一部改正によって、税務署から登記所に移管されたこと。

(3) 右土地台帳法の改正に伴い制定された土地台帳法施行細則によって、登記所に地図を備えることが初めて明文化された(同細則二条)が、新しく地図を作成したわけではなく、税務署から引き継いだ右地図を同細則二条の土地台帳附属地図として取り扱っていたこと。

(4) その後、昭和35年の不動産登記法の改正によって、土地台帳法が廃止され(軽井沢出張所については昭和40年1月1日に廃止を適用された。)、土地台帳と不動産登記簿との一元化が実施されるとともに、新たに17条として登記所に地図を備える旨の規定が設けられたが、公図は、土地台帳法施行細則2条所定の地図(土地台帳附属地図)であって、不動産登記法17条所定の地図には該当しないものであるから、右土地台帳法の廃止によって、公図はその法的根拠を失ったこと。

(5) しかしながら、不動産登記法17条所定の地図が整備されるまでの間、便宜従来どおり、公図を閲覧に供する取扱がなされることとなったこと。
 右の各事実によれば、公図は、当初租税徴収を目的として作成されたという沿革的理由から必ずしも精度の高い地図ではないが、単なる私人が作成したものではなく、国が関与して作成したものであり、不動産に関する権利関係を公示する官署である登記所において閲覧の用に供されていることから、不動産登記法17条所定の地図が整備されていない地域においては、各筆の土地の位置、形状、境界線、面積等の概略を明らかにする一応権威ある資料として、現実の不動産取引に際して広く利用されているものということができる。

 なお、土地台帳事務取扱要領(昭和29年6月30日民事甲第1321号民事局長通達)第18条によれば、新たに作成した地図を土地台帳法施行細則2条の地図とするには、当該地図に記載された各筆の土地の状況が土地台帳の記載事項に符合するかどうか、その他、その地図が土地台帳法施行細則2条の地図として相当であるかどうかを調査しなければならない旨規定されていた(証人○○○○の証言、更に、同証言によれば、右取扱要領は、土地台帳法の廃止に伴い形式的には廃止されたが、その後の事務処理は右取扱要領に従って行われていたことが認められる。)。

(二) 右(一)認定の事実及び前記1認定の事実に基づき判断するに、本件公図及び本件町地図は、いずれも軽井沢町の費用負担によって同時に作成され、いずれもその際再製作業に当たった業者による旧公図の地番判読の誤りにより本件甲地の地番表示に誤りが生じたものであるが、前記1認定の本件公図再製の経緯に照らせば、少くとも本件公図が長野地方法務局軽井沢出張所に備え付けられた以降においては、その表示の誤りは公図そのものの誤りとして登記所の責任に帰することは明らかである。

 そして、公図上における地番表示は、土地の特定において最も基本的な事項であるのみならず、前記(一)認定の公図の沿革及び現実に果たしている機能、役割並びに前記1認定の本件公図及び本件町地図作成の経緯に鑑みれば、軽井沢出張所登記官としては、本件公図を軽井沢町から交付された時点において、これが旧公図の記載内容と一致しているか否かを照合し、本件甲地の地番表示の誤りを発見して、これを職権で訂正した上、右地番表示の誤りとその訂正内容を軽井沢町に通知すべき義務があったと言うべきであり、しかも、右照合、発見、通知は、登記官としては困難なことではなかったものと認められる。

 しかるに、本件公図上の本件甲地の地番表示の誤りは、昭和60年10月2日に至るまで訂正されないまま放置され(この点の軽井沢出張所が昭和60年10月2日に本件公図の訂正処理をしたことについては当事者間に争いがない。)、軽井沢町に通知されることはなかったのであるから、軽井沢出張所登記官には、右義務を怠った過失があると認めるのが相当である。

 これに対し、被告国は、登記所備付の地図と市町村備付の地図とは法的に関連性はなく、後者の地図は、市町村が独自の権限と責任で作成し備え付けるものであり、また、登記所備付の地図の修正に関しては、その修正内容を市町村に通知すべきことを定めた規定はないから、本件公図備付後に軽井沢町において本件公図と本件町地図とを照合したとの事実のない本件においては、本件町地図の誤りについて登記官に責任はなく、仮に登記所備付の地図の誤りを訂正したからといって、その訂正内容を市町村に通知しなければならない法律上の義務はない旨主張する。

 しかしながら、証人○○○○の証言によれば、登記所備付の地図を市町村の予算で作成してもらうことがあるだけではなく、市町村が登記所備付の地図を閲覧して市町村備付の地図を再製することも一般的に行われていること、また、登記所備付の地図の誤りを訂正した場合には、登記官の判断により、その旨を市町村に連絡している例も多いことが認められる上、前記認定のとおり、本件公図と本件町地図とは、同一の機会に、軽井沢町の協力により旧公図に基づき作成されたものであって、軽井沢出張所としては公図複製作業の一環としての意味をもち、その際に本件甲地の地番表示の誤りが生じたという特段の事情がある本件においては、本件公図と本件町地図の法律上の根拠が異なることや、登記所が公図を修正した場合に、これを市町村に通知すべきことを定めた明文の規定がないことをもって、軽井沢出張所登記官の前記義務を否定する根拠とはなし得ないと言うべきである。
 従って、被告国の右主張は採用しがたい。

以上:2,930文字

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