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取得時効要件”所有の意思”判断基準についての判例紹介

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平成25年 7月13日:初稿
○次の民法第162条取得時効についての備忘録です。
第162条(所有権の取得時効)
 20年間、所有の意思をもって、平穏に、かつ、公然と他人の物を占有した者は、その所有権を取得する。
2 10年間、所有の意思をもって、平穏に、かつ、公然と他人の物を占有した者は、その占有の開始の時に、善意であり、かつ、過失がなかったときは、その所有権を取得する。


取得時効の要件は
①所有の意思を持って
②平穏且つ公然と
③10年ないし20年他人の物を占有する

との3つの要件が必要ですが、前提条件とも言える最重要要件が「所有の意思」です。

この物の占有に「所有の意思」があるかどうかの判断基準は、占有取得の原因(権原)の性質により、外形的客観的に定められるとすること判例通説です(昭和18年7月26日大審院判例、法学13巻389頁、我妻・物権法193頁、舟橋・物権法二295頁、石田・全訂改版物権法259頁)。従って「所有の意思」ある占有と言えるためには、占有の取得原因である事実が,売買とか贈与のように所有権の移転目的とする法律行為によることが必要です。ですから時効取得を主張するためには単に占有を継続しているだけではダメで、その占有の取得原因が所有権の移転目的である法律行為による物であることまで主張する必要があります。

○この当然のことを再確認したのが、昭和45年6月18日最高裁判決(裁判集民99号375頁、判タ251号185頁、判時 600号83頁)です。その趣旨は、占有における所有の意思の有無の判断基準として、占有における所有の意思の有無は、占有取得の原因たる事実によつて外形的客観的に定められるべきものであるから、賃貸借が法律上効力を生じない場合にあつても、賃貸借により取得した占有は他主占有というべきであるというものです。取得時効主張における最重要判例であり、以下、全文を紹介します。

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主文
本件上告を棄即する。
上告費用は上告人の負担とする。 
 
理由
 上告人の上告理由および上告代理人○○○○の上告理由について。
 所論指摘の事実関係に関する原審の認定判断は、原判決挙示の証拠関係に照らして是認することができ、右認定判断の過程に何らの違法も存しない。上告人が昭和21年5月1日被上告人から賃借して占有するに至つた土地が、等一審判決添付目録記載の区画整理前の本件土地二筆であることは、原判文上、その挙示する証拠と対比して明らかであり、所論の甲号各証は、必ずしも原審の所論の事実認定の妨げとなるものではないから、原判決がこれらの書証を判文上いちいち排斥し、または排斥する理由を説示することがなくても、これをもつて所論の違法があるとすることはできない。

 そして、占有における所有の意思の有無は、占有取得の原因たる事実によつて外形的客観的に定められるべきものであるから、賃貸借が法律上効力を生じない場合にあつても、賃貸借により取得した占有は他主占有というべきであり、原審の確定した事実によれば、前示の賃貸借が農地調整法5条(昭和21年法律第42号による改正前のもの)所定の認可を受けなかつたため効力が生じないものであるとしても、上告人の占有をもつて他主占有というに妨げなく、同旨の原審の判断は正当として首肯することができる。

 したがつて、民法186第所定の所有の意思の推定はくつがえされたものというべきであり、上告人が同決185条の規定により右占有の性質が変じたことを主張立証しないかぎり、上告人において本件土地を時効により取得したとする余地はないところ、所論の主張事実により占有の性質が変じたとすることができないことはいうまでもなく、上告人は他に同条の規定の適用を受けるべき事実関係を主張立証しないのであるから、原審が上告人において所論の期間所論の土地を占有したかどうか、またその占有が自主占有であるか否かにつき、いちいち判示することがなくても、これをもつて違法とすることはできないのである。

 原判決に所論の違法はなく、論旨は、すべて、原審の専権に属する証拠の取捨、事実の認定を非難するか、独自の見解に基づき原判決を攻撃するに帰し、採用することができない。
 よつて、民訴法401条、95条、89条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。
(岩田誠 入江俊郎 長部謹吾 大隅健一郎)

以上:1,828文字

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