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生命保険金受取人が被保険者より先に死亡した場合の受取人2

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平成24年 5月11日(金):初稿
○「生命保険金受取人が被保険者より先に死亡した場合の受取人1」を続けます。
ここでの設問は、「A(夫)・B(妻)夫妻に、長男C、長女D、二男Eの3人の子供がいたところ、長男Cは妻Fと子供G、H、Iを残して最初に死亡していました。Aが、自分を被保険者、妻Bを受取人とする死亡保険金5000万円の生命保険契約を締結していましたが、受取人の妻が先に死亡し、受取人の変更手続をしないうちにAも死亡しました。この場合の死亡保険金受取人は誰になり、受取人の保険金額はどのように分配されるか」というものです。

○まず死亡保険金受取人は、保険法第46条の規定により、長男Cの代襲相続人G、H、I(法定相続分各9分の1)、長女D(法定相続分3分の1)、二男E(法定相続分3分の1)の5名になりますが、問題は、各受取人の金額です。一見法定相続分割合ではと思うのですが、そうではないようです。

○平成5年9月7日最高裁判決(判時1106号199頁、判タ838号132頁)では、Aが自分を被保険者、受取人を母Bとする生命保険契約を締結し、先ず母Bが死亡し、受取人をそのままにしてAが死亡した事案ですが、Bの相続人としてその子であるA及びXら3名、Aの法定相続人としては全血兄弟であるXら3名のほかにAの異母兄弟等11名で、受取人は全部で11名居た事案です。

○法定相続分は、A及びXら3名は各4分の1であったところ、Aの死去によりAの相続分3分の1は兄弟姉妹14名に均等相続されますので、Xら3名は、それぞれBからの相続分3分の1+Aからの相続分42分の1(3分の1の14分の1)=42分の15、Aの異母兄弟11名はそれぞれAからの相続分42分の1(3分の1の14分の1)になるはずです。ところが、平成5年9月7日最高裁判決は、Xらが取得した保険金額は、それぞれ死亡保険金額2000万円の14分の1に当たる142万8571円であると判断しました。

○この判断の根拠は民法の以下の規定です。
第427条(分割債権及び分割債務)
 数人の債権者又は債務者がある場合において、別段の意思表示がないときは、各債権者又は各債務者は、それぞれ等しい割合で権利を有し、又は義務を負う。

その理由は以下の通り説示しています。
 商法676条2項の規定の適用の結果、指定受取人の法定相続人とその順次の法定相続人とが保険金受取人として確定した場合には、各保険金受取人の権利の割合は、民法427条の規定の適用により、平等の割合によるものと解すべきである。けだし、商法676条2項の規定は、指定受取人の地位の相続による承継を定めるものでも、また、複数の保険金受取人がある場合に各人の取得する保険金請求権の割合を定めるものでもなく、指定受取人の法定相続人という地位に着目して保険金受取人となるべき者を定めるものであって、保険金支払理由の発生により原始的に保険金請求権を取得する複数の保険金受取人の間の権利の割合を決定するのは、民法427条の規定であるからである。

○ここでの商法676条2項は次の通りですが、平成20年保険法成立によって削除されています。
第676条(第三者である保険金受取人が死亡した場合)
 保険金額ヲ受取ルヘキ者カ被保険者ニ非サル第三者ナル場合ニ於テ其者カ死亡シタルトキハ保険契約者ハ更ニ保険金額ヲ受取ルヘキ者ヲ指定スルコトヲ得
2 保険契約者カ前項ニ定メタル権利ヲ行ハスシテ死亡シタルトキハ保険金額ヲ受取ルヘキ者ノ相続人ヲ以テ保険金額ヲ受取ルヘキ者トス


○設問では、長男Cの代襲相続人G、H、I(法定相続分各9分の1)、長女D(法定相続分3分の1)、二男E(法定相続分3分の1)の5名が各1000万円ずつ保険金を取得することになりそうです。しかし、この問題は、平成5年の最高裁判決後に、平成12年12月1日名古屋地裁判決、平成21年6月2日判決最高裁判決等重要判例が出ており、更に勉強しなければなりません。まだ結論は鵜呑みに出来ません(^^;)。
以上:1,639文字

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