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子の意思に反する引渡申立に間接強制金支払を認めた家裁決定紹介

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令和 5年 9月22日(金):初稿
○「子の意思に反する引渡申立に間接強制金支払を認めた最高裁決定紹介」の続きです。ここで紹介した令和4年11月30日最高裁決定は、判例時報2023年8月11・21号に掲載されましたが、この最高裁決定の原々決定-令和3年7月13日和歌山家裁決定と、原決定令和3年10月8日大阪高裁決定の全文もTKC判例データベースに掲載されましたので、先ず前者を紹介します。

○債権者(おそらく父)と債務者(おそらく母)の離婚に伴い、債権者・債務者間の長男Aと二男Bの監護者を債権者と定め、債務者に長男・二男を債権者へ引き渡すよう命じる旨の審判(令和2年12月18日和歌山家裁)が出て、令和3年3月29日に確定しました。そこで債権者代理人は、債務者代理人に長男・二男の任意の引渡しを求めましたが、長男は拒絶が強く、引渡しを受けられず、その後も円滑な交流を実現することができませんでした。そのため債権者が、確定審判に基づき、長男引渡しの間接強制決定を申し立てました。

○債務者は、長男が債権者の下で暮らすことを強く拒絶し、債務者がいくら説明しても考えを変えないとして、債務者の意思によって子の引渡義務を履行することはできず、引渡しを強行すれば本件子の心身に有害な影響を及ぼすと主張しました。

○しかし、令和3年7月13日和歌山家裁決定は、長男の意向は、令和2年12月18日和歌山家裁審判で既に参酌され、長男の年齢などにも照らせば、債務者の主張を踏まえても、債務者がその意思によって長男の引渡義務を履行することが不能であるとも、間接強制によって履行を強いられることが苛酷であるともいえないとして、申立てを認容し、間接強制金は遅滞1日につき2万円とし、任意履行のための猶予期間は7日とするのが相当であるとしました。

○令和2年12月18日和歌山家裁審判の内容を知りたいのですが、現時点では見つけることが出来ません。

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主   文
1 上記当事者間の和歌山家庭裁判所令和2年(家)第501号、同第502号子の監護者指定申立事件及び同第503号、同第504号子の引渡申立事件の審判正本に基づき、債務者は、債権者に対し、子A(平成25年〈略〉生)を引き渡せ。
2 債務者が本決定送達の日から7日以内に前項の義務を履行しないときは、債務者は、債権者に対し、上記期間が経過した日の翌日から履行済みまで、1日当たり2万円の割合による金員を支払え。

理   由
第1 申立ての趣旨

1 主文第1項と同旨
2 債務者が本決定告知の日から7日以内に前項の義務を履行しないときは、債務者は、債権者に対し、上記期間が経過した日の翌日から履行済みまで、1日当たり5万円の割合による金員を支払え。

第2 事実
1 債務名義の成立及び送達

 和歌山家庭裁判所は、令和2年12月18日、債権者の申立てにより、債務者に対し、債権者・債務者間の長男であるA(平成25年〈略〉生)(以下「本件子」という。)及び二男B(平成27年〈略〉生)(以下「二男」という。)の監護者を債権者と定め、債務者に本件子及び二男を債権者へ引き渡すよう命じる旨の審判をした(和歌山家庭裁判所令和2年(家)第501号、同第502号子の監護者指定申立事件及び同第503号、同第504号子の引渡申立事件。以下「本件審判」という。)。

 本件審判の審判書正本は、債務者に送達済みである。
 債務者は、本件審判に対する即時抗告を申し立てたが、令和3年3月26日、即時抗告が棄却され(乙4)、同月29日、本件審判は確定した。

2 本件審判後の経緯
(1)債権者代理人は、本件審判の確定をうけて、債務者代理人に本件子及び二男の任意の引渡しを求めた(乙4)。

(2)債権者は、令和3年4月5日、債務者宅に赴いて二男の引渡しを受けたが、本件子は拒絶が強く、引渡しを受けられなかった(乙1)。

(3)債権者代理人は、同月16日、債務者代理人に、本件子の引渡しへの協力と引渡日程の調整を求めた(乙5)が、債務者代理人は、本件子が債権者を怖がっているとして、引渡しの具体的な提案はできない旨回答した上で、本件子と二男を会わせてみることを提案した(乙6)。

 債権者は、債務者の提案を受け、同月27日の離婚調停期日の場で、それぞれ二男、本件子を連れて同年5月3日午後1時に公園駐車場で待ち合わせることを取り決めたが、当日、債務者から、本件子の拒否を理由に本件子を連れてゆけない旨の連絡を受けたため、待ち合わせを取消した(乙7、8)。

(4)債権者と債務者は、それぞれ代理人を介して日程を調整し,同月30日午後1時、改めて同様の機会を持つこととなった(乙10、11)。
 当日、債務者は、待ち合わせ場所に本件子を連れてきたが、債権者との待ち合わせであることを伏せていたため、本件子が強く反発し、円滑な交流を実現することはできなかった(乙2、3)。 

3 間接強制決定の申立て
 債権者は、令和3年6月9日、本件審判に基づき、申立ての趣旨のとおりの間接強制決定を申し立てた(本件申立て)。

第3 当裁判所の判断
1 前記第2に認定した経緯に照らせば、債務者が任意に子の引渡義務を履行することは期待できない。

2 債務者は、本件子が債権者の下で暮らすことを強く拒絶し、債務者がいくら説明しても考えを変えないとして、債務者の意思によって子の引渡義務を履行することはできず、引渡しを強行すれば本件子の心身に有害な影響を及ぼす旨主張する。

 しかしながら、本件子の意向は、本件審判で既に参酌されている。本件子の年齢などにも照らせば、債務者の主張を踏まえても、債務者がその意思によって本件子の引渡義務を履行することが不能であるとも、間接強制によって履行を強いられることが苛酷であるともいえない。


3 以上によれば、本件申立ては、認容すべきものといえる。

4 なお、本件に顕れた一切の事情に照らせば、間接強制金は遅滞1日につき2万円とし、任意履行のための猶予期間は7日とするのが相当である。

5 よって、主文のとおり決定する。 裁判官 寺元義人
以上:2,518文字

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