仙台,弁護士,小松亀一,法律事務所,宮城県,交通事故,債務整理,離婚,相続

旧TOPホーム > 鶴亀通信 > 第6号(h11.12)-不倫の法律 >    

不倫の法律解説

平成11年12月 1日(水):初稿 平成16年 9月23日(木):更新
Aさんへ参考に 投稿者:弁護士C
 Aさん、けじめをつけられたようですが、今後のご参考に不倫についての考え方の一端をご披露します。
一方配偶者の不倫相手に損害賠償請求が出来る根拠は、「独占使用権」を侵害されたことによると一般に考えられており、日本では、条文での直接的定めはありませんが、大正時代か当然のごとく認められていました。

しかし、配偶者という「人」について独占使用権があるとの考えは、むしろ「人」の尊厳を損なうものであるとの考えがあります。

この考えでも不倫行為があった場合、不倫をした一方配偶者に対して貞操を守るとの約束を破ったことを理由に損害賠償請求は出来ます。

しかし、不倫の相手方に対しては、例えば上司が解雇をちらつかせるなど立場を悪用して関係を迫るなどの特別に悪質な場合でない限り、損害賠償請求は出来ないことになります。第3者に主張しうる独占使用権まで認められないからです。

実は、欧米ではこの後者の考え方の方が強く、日本の考え方は時代遅れとも言われています。要するに結婚によって貞操を守るという考えは、あくまで当事者間にのみ通じるもので第3者までは拘束しないと言う考えであり、日本も今後はこの考え方に進むと思われます。

大変酷な言い方で恐縮ですが、Aさんの奥さんの不倫相手の学生には、欧米流の進んだ考え方では、何らの請求も出来ないのです。
弁護士Bさんが仰るとおり、退学に追い込んだのはやりすぎでした。
世の中には色々な考えがあるとのご認識を頂ければと、余計なお節介を焼いてしまいました。

弁護士C様 投稿者:A
 久々に覗いてみると私の記事へのレスをいただいておりました。反応が遅れてすみませんでした。 弁護士C様。「不倫相手に対する損害賠償請求は出来ない」との一見解ありがとうございました。
「なるほど、現在の情勢ではそうなっているのか」と感心したり、「裁判にもならなかったわけか」と自分にあきれたりしております。相手方の大学院生が退学することについては念書を書かせましたが現在のところ彼は未だ実行に移しておりません。もし先程の情勢を彼が知るところとなるとこの効力は失われる可能性があるのでしょうか。

私は妻と正式に離婚しました。私が受けた精神的ダメージは自分の想像以上に大きいものだったようで不倫が発覚してからこれまでの2カ月で体重も激減し、たわいもない風邪がこじれて入院するようなことにもなってしまいました。

結局私は何も得えるもの無く、ただすべてをなくしてしまっただけという感を禁じえません。もしこれで不倫相手に対する制裁までもが無効になってしまうと思うと生きる望みすらなくなるでしょう。
念書の効力がいかほどのものか、彼が念書を無視した場合私がとりうる行動は何か、お分かりになればご教示いただけると幸甚です。

気持ちの持ちようを変えるべきという見方も理解は出来ますが、災いの渦中にある者にそこまで余裕があるかどうかはどうぞご賢察ください。

A様へ 投稿者:弁護士C
 A様、ご返事遅れて申し訳ございません。
>念書の効力がいかほどのものか、彼が念書を無視
>した場合私がとりうる行動は何か、
>お分かりになればご教示いただけると幸甚です。

大変恐縮ですが、私は具体的問題の回答は、メールでのやり取りでは無理と考えております。特に男女問題は、背景事情等具体的状況を面談で、即ち相手の顔を伺いながら遣り取りしないと具体的な判断は不可能で、メールだけでの判断は危険です。そこで一般論としてお答えします。

 損害賠償に代えて、例えば謝罪広等告相手に何らかの作為を命ずることは法的に可能です。しかし、損害賠償に代えて通学している大学院を止めさせる約束は、法的に無効と思います。

 理由の第1は、相手が約束を履行しない場合、大学院まで拘束できないので強制執行が出来ないという点です。

 第2は、やはり、「やりすぎ」、難しい法律用語で言うと「公序良俗違反」です。損害賠償は、金銭評価できるものは金銭で賠償するのが原則だからです。
 繰り返しますが、この回答はあくまで一般論です。

>災いの渦中にある者にそこまで余裕があるかど
>うかはどうぞご賢察ください。
 大変恐縮ですが、自分で考える余裕がないために第3者特に専門家の意見を求めたものと思います。だとすればこの点の「ご賢察」を求めるのは一寸甘いような気がします。
 勿論、Aさんは、その文面から大変常識・節度のある方と思っております。だからこそ、冷静に考えて早く立ち直られることを心から念願しております。

 私は不倫問題は、あくまで夫婦の問題で、夫婦間で解決するのが原則であり、第3者はよほど悪質な事案でない限り巻き込むべきではないと考えております。
 Aさんの別れた奥様が自由意思でその学生さんと関係を結んだ以上、責任があるのは基本的に奥様です。更に厳しいことを言えば奥様が自由意思で学生と関係を結ぶ心境になる夫婦関係に問題があったと考えるべきでしょう。ここをよく考え、いたずらに不倫相手の学生を責めることばかり考える発想を転換した方が、Aさんの将来のためになるような気がします。

弁護士C様 投稿者:A
 懇切丁寧なご説明に感謝いたします。
一般論であると念を押されてはいらっしゃいますが、いちいちもっともなことと了解いたします。無知を恥じ入るばかりです。

今となっては私としては不倫相手の学生が念書の内容を実行することをただひたすら願うのみです。しかしそれが叶うが叶うまいが、私自身のこれからの人生を見つめ直す必要があることに変わりありません。今はそれができるかどうか自信はありませんが、その努力は続けていくことにいたします。

弁護士C様の冷静に見えて相手の立場を良く考えられたご教示にあらためて感謝いたします。またこの機会を与えていただいた管理人の方にもお礼を申し上げます。
私といたしましては一応の結論を得たということにさせていただきたいと思います。
ありがとうございました。

以上:2,467文字

タイトル
お名前
email
ご感想
ご確認 上記内容で送信する(要チェック
※大変恐縮ながら具体的事件のメール相談は実施しておりません。

 


旧TOPホーム > 鶴亀通信 > 第6号(h11.12)-不倫の法律 > 不倫の法律解説