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言語と美術著作物の流通制限に関する例題

平成19年 2月15日:初稿
○久しぶりに著作権の話題です。
「弁護士知財ネット」東北地域会として毎月1回知財勉強会を開催することになっており、テキストとしては商事法務発行寺本振透弁護士著「ケースメソッド知的財産法」を使用しております。
平成18年2月15日の勉強会の問題と解説です。解説は全く不十分で正確なものではなく、勉強会で議論した結果を、今後付け加えていきます。

(課題62)
A氏は詩「α」を作ってノートに書き留めた。これを個人的に見たB氏が勤務先の会社であるC社の上司に、詩「α」の内容を電子メールに書いて伝えたところ、C社は、ホールで、女優D氏に朗読させる企画をすることになった。
A氏は、B氏、C社及びD氏にそれぞれに対し、何らかの請求が出来るだろうか?


1.電子メールに転載する行為(複写)
詩「α」は言語の著作物であり、A氏が著作権及び著作者人格権を有する。
B氏が電子メールに転載する行為は、著作物の複写(2条1項15号)に該当し、A氏の著作権を侵害する。但し、「個人的に又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲内において使用すること(30条、以下「私的使用」という。)を目的とするとき」は例外として複写が許される。
B氏がこれを電子メールにして上司に報告する行為は私的使用には該当せず、A氏の許諾を得ない限り著作権侵害になる。

2.「α」を特定の他人に見せる行為
A氏がB氏に「α」を見せることは、著作者人格権としての公表(18条1項)には該当しない。公表とは「公表されていないもの(その同意を得ないで公表された著作物を含む。以下この条において同じ。)を公衆に提供し、又は提示する」行為だからである。「公衆」とは、不特定多数又は特定かつ多数の者だからである。
又「α」をB氏に見せただけでは、B氏が公表することを同意したとは評価できない。公表即ち不特定多数又は特定かつ多数の者に見せることについて同意を取らなければ、公表権を侵害する。

3.C社がD氏に「α」をホールで朗読させる行為
D氏がホールで「α」を朗読する行為は、上演(22条、2条7項)に該当し、A氏の著作権を侵害する。直接の著作権侵害者はD氏であるが、C社は企画者として共同著作権侵害行為者といえる。

4.A氏のB氏、C社、D氏に対する請求
著作権者として、「その侵害の停止又は予防を請求」(112条)と「損害賠償請求」(民709条、著114条等)が出来る。

(課題63)A氏は、B氏に依頼されて、B氏の肖像画を描いた。B氏は、勿論、この絵を買い取って、B氏の私邸に飾っていた。B氏が死亡し、B氏の相続人C氏は、B氏のコレクションを展示する美術館を作り、ここにB氏の肖像画を展示しようとしている。
A氏はC氏に何らかの請求が出来るか。


1.B氏がA氏から書いて貰った肖像画を買い取る行為
A氏が書いたB氏の肖像画は美術の著作物としてA氏に著作権が帰属する。B氏がA氏より肖像画を買い取る行為は、肖像画を構成する紙や型枠等の所有権の譲渡を受けることで、特別に合意がない限り肖像画自体の著作権まで譲渡を受けたものとは評価できず、B氏肖像画著作権はA氏に残ったままである。
著作者人格権としての公表権も、原則として譲渡によって公表することを同意したものとみなされ消滅する(18条2項)。

2.B氏相続人C氏が美術館に展示する行為
B氏肖像画展示権は著作権者A氏に専有するが(25条)、C氏は相続によってB氏肖像画所有権者となっており、C氏がこれを美術館に展示する行為は、著作権者A氏の許諾がない限り出来ないのではと思われるが、C氏は美術の著作物の著作物の原作品の所有者としてその原作品により公に展示することができる(45条)。
美術や写真の原作品は、有体物として機能するので、原作品を購入した者がその所有権に基づき公に展示することは従来の慣行であり、それにいちいち著作権者の許諾が必要だとすると原作品の商品としての流通を阻害する結果になるので、所有権を著作権に優先させている。
※絵画は投機の対象
仮に美術館は入館料を取ってC氏がB氏肖像画展示行為で利益を得ていたとしても、著作者A氏はその利益にあずかることは出来ない。
尚、B氏肖像画の原作品を街路、公園その他一般公衆に開放されている屋外の場所又は建造物の外壁その他一般公衆の見やすい屋外の場所に恒常的に設置することは、著作権者A氏の許諾がない限り許されない(45条2項)。
以上:1,810文字

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