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第7章商標権侵害訴訟5-森山博

平成17年 6月24日:初稿
(d) 真正商品の並行輸入
一国の商標権の効力は,その国内に限定される(パリ条約6条3項)外国において商標権を有する者により正当に商標を付された真正商品について,各国における商標権の独立を理由として,国内の商標権者・専用使用権者による差止等の権利行使を許すことは,国際取引が進んだ今日不合理である
(判例)真正商品の並行輸入が,商標保護の精神に照らし,商標の機能を侵害するといえるかという実質的観点から適法性を基礎づけようとする
パーカー社の国内商標権につき,専用使用権を有する日本の総代理店が行った関税定率法による輸入差止の申立に対する輸入差止請求権不存在確認訴訟
大阪地裁
並行輸入業者の輸入品と総代理店の輸入品とは全く同一であって,商品の出所品質について誤認混同を生ぜしめる危険が全くない→需要者の信頼が裏切られることもない,商標権者たるパーカー社の営業上の利益も害されることもない→第三者による真正商品の輸入を認めることにより公正な自由競争を生じ,需要者に利益がもたらされ,国際貿易が促進される。商標法の目的に適合する。
内国商標権者(X)の適法要件
① 国外で商標を付して商品を拡付した者とXが法律的,経済的に同一,同一人と同視できる
② 当該商標を付した商品が適法に付されたものであること
③ 並行輸入商品とXの商品がその品質等において大差なく需要者の信頼を裏切るものでないこと
海外において商標権者から商標の使用許諾を受けたライセンシーが,ライセンス契約で定められた製造地・製造者等の制限に違反して製造した商品が日本に並行輸入された場合は,前記の適法要件を満たすのか
商標権にあたらない(フレッドペリー(東京)事件)
商標権を侵害する(フレッドペリー(大阪)事件)
最高裁(平成15年2月27日HP)
商標権者以外の者が,わが国における商標権の指定商品と同一の商品につき,その登録商標と同一の商標を付したものを輸入する行為は,許諾を受けない限り商標権を侵害する。
① 当該商標が使用許諾を受けた者により付されたこと
② 当該外国の商標権者と日本の商標権者とが同一人か,同一人と同視しうる関係により同一の出所を表示する
③ 日本の商標権者が直接的又は間接的に当該商品の品質管理を行いうることから、当該登録商標の保証する品質において実質的に差異がないときは,実質的違法性を欠く
(e) 存続期間の満了
認定登録の日から10年で終了する。
更新登録の申請により更新できる。
平成8年改正法により審査手続きは廃止された。
訴訟提起前,係属中,期間満了,更新登録申請をしていない場合がある。
更新拒絶理由があるにもかかわらず誤って更新登録がなされた場合,無効主張ができるか
(f) 時効・権利失効の原則
① ある権利を有するものが久しくこれを行使しないこと
② 相手方においてもはやその権利は行使しないと信頼すべき正当の事由を有するに至ったこと
③ その結果,その後に行使することが信義誠実に反すると認められる特段の事由があること
裁判所は,具体的適用は慎重である。
(g) 権利濫用
他人が従前より多大な広告・宣伝費を投じて世間に広く認識されるようになった未登録商標を自己の利益のために用いようとして,第三者の類似商標を譲り受けて使用差止めを請求した事例
世界的に著名な他人の商標がわが国において登録されていないことを奇貨として剽窃的に登録し,差止請求した事例
(h) 商標権者等による許諾
専用使用権(30条),通常使用権(31条)
商標権使用許諾契約(ライセンス契約)で,使用許諾の範囲を明確にしておく
黙示の許諾が擬制される例
(i) 登録商標に対する無効原因の存在(46条1項各号)
無効事由を無効審判の手続を経ることなく,侵害訴訟の抗弁として主張できるか
キルビー特許事件
特許権の対象となる特許発明に関して無効原因の存在することが明らかである場合は,無効審決が確定する以前であっても当該特許権に基づく差止や損害賠償の請求は権利濫用であり許されない。
(j) 商標権の登録出願前に成立した特許権・実用新権・意匠権・著作権
当該知的財産の出願日を基準として先行する出願に係る他の知的所有権と抵触する場合には,後の出願に係る知的所有権の効力を制限する。
特許法(72条),意匠法(26条),商標法(29条)
平成8年法改正で立体商標制度導入により特許権,実用新案権にも及ぶことになった。
著作権は,その発生日(創作時)と登録商標の出願日とを比較する。
以上:2,027文字

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