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カルティエの時計模倣排除請求4

平成17年 1月17日:初稿
(2) 判断
以上認定した事実を基礎として判断する。
ア原告各製品の商品等表示性につい
(ア) 原告各製品は,前記のとおり,①リューズプロテクターの形状,②ケース及びベ ゼルの形状とケースが大型であることにおいて形態上の特徴があり,これらを組み合わせたことにより,原告各製品の形態として独自の特徴を有するに至っていると考えられる。このような独創性,原告各製品の販売状況及び雑誌等での紹介の実情等に照らすと,上記2つの特徴的な形態を組み合わせた点は,原告各製品が原告の製造販売に係るものであることを示す,商品等表示に該当するということができる。

原告らは,原告各製品の形態のうち,他の形状(ホーンの形状,文字盤のレイアウト,文字盤上の数字等の形状,長針,短針及び秒針の形状,バックルの形状)についても,原告の出所を示す商品等表示に当たると主張する。
しかし,①文字盤のレイアウト,文字盤上の数字等の形状,バックルの形状については,原告各製品のいずれもが共有する形状とはいえないこと,②文字盤のレイアウト,文字盤上の数字等の形状,長針等の形状については,他社製品にも多く見られる,ありふれた形状であること,③ホーンの形状については,腕時計の機能から通常選択される,ありふれた形状であることなどから,商品等表示に当たると解することはできない。

(イ) これに対して,被告らは,リューズプロテクターの形態は,リューズを外部的接触から保護すべく覆うという目的と,手を傷つけることを防止する目的のために選択されたもので,通常採用される,ありふれた形態である旨主張する。しかし,他社製品のリューズプロテクターの形状は,原告各製品と大きく異なっていることに照らすならば,原告各製品におけるリューズプロテクターの形状が,機能面から必然的に選択される形状であると解することはできない。
また,被告らは,クッション形のケースや40ミリメートル以上のケースを具備する製品が多数存在するので,これらの形態上の特徴は,原告の出所を示す商品等表示にならない旨主張し,これに沿った証拠がある。

しかし,他社製品において,クッション形のケースで,40ミリメートル以上の大きさのものは,それほど見られないことからすれば,原告各製品の上記の特徴的形態をもって,原告の出所を示す商品等表示であると解することの妨げにならない。

さらに,被告らは,原告各製品の背部に配された透明の裏蓋の部分こそが,原告各製品の形態の特徴的な部分である旨主張する。しかし,需要者は,通常,文字盤のある表側に関心を示すと解されること,透明な裏蓋については,他社の製品においても見られることなどの点に照らすならば,原告各製品の特徴的な形態として,透明性のある裏蓋の形状を必須の要素に加えるべきであると解するのは相当でない。
以上のとおり,被告らの主張は,いずれも採用できない。

イ 周知性又は著名性について
原告各製品を含む,リューズプロテクターが付されたパネライ製品については,
①販売数量及び販売金額が,日本国内での販売開始後3年間は売上が前年比2倍のペースで増加し,その後も増加していること,
②時計販売店に対する業界アンケート調査結果において,販売数量の伸びが著しい製品として報告されていること,
③雑誌での紹介記事あるいは広告の掲載回数も販売後年々増加し,平成13年には,時計専門誌だけではなく,男性情報誌,男性ファッション誌,女性ファッション誌にも数多く掲載されたこと,
④雑誌に掲載される際には,該当するパネライ製品の写真が掲載され,本件形態が看取できていたこと,
⑤パネライ製品の大部分が本件形態を有するものであること
に照らすならば,原告各製品の上記の形態的な特徴は,平成14年ころまでには,需要者の間で広く認識され,周知の商品等表示となったことが認められる(なお,原告各製品のうち,原告製品1は,被告製品2の販売後に販売が開始されたものである(甲3の382,3の470)が,原告製品1を除く原告各製品も本件形態を有するから,この点は前記判断を左右するものではない。)。
他方,本件形態が原告の商品等表示として著名となっていたとまでは認められず,他にこれを認めるに足りる証拠はない。

2 争点(2)について
(1)前記のとおり,原告各製品の形態上の特徴は,前記のリューズプロテクターの形状,ケース及びベゼルの形状及び大型のケースであるという特徴を組み合わせた点である。そして,被告各製品は,原告各製品の形態上の特徴を具備するものであるから,被告各製品と原告各商品とは類似する。

すなわち,被告各製品は,
①リューズプロテクターが,半円形の弦の中央部を長方形にくり抜いたブリッジ形状を示しており,長方形にくり抜かれた部分にリューズがはめ込まれるような形で配置され,半円形の弧の部分には,L字形のレバーが収められ,レバーが閉じられた状態でも,リューズプロテクターを正面から見た場合に,レバーの先端部がリューズプロテクターの弧の部分からやや突き出している形状であること,
②ケース及びベゼルが,やや膨らみのある四角いケースに丸いベゼルを組み合わせた,クッション型の形状であり,ベゼルよりケースの方が大きく,正面から見ると,ケースの上にベゼルが乗っているような形状であること,
③ケースの大きさは,直径40ミリメートル以上であることが認められ,原告各製品の形態上の特徴を具備し,類似している。

(2) 被告らは,被告各製品と原告各製品とは,リューズプロテクターの具体的な形状においてわずかな相違があること,被告各製品には,商品名等が表示されていること,裏蓋の素材が異なること等を挙げて,被告各製品は,原告各製品とは,類似しない旨主張する。しかし,被告各製品が,原告各製品の形態上の特徴を具備し,相互に類似性が認められる以上,これらの事実をもって,前記の判断を左右するものとはいえない(なお,被告各製品の名称である「MARINA MILITARE」は,原告製品9の名称とは同一であり,原告製品3から5までの名称である「LUMINOR MARINA」と一部共通し,この点からも,類似性が否定されるとはいえない。)。

3 争点(3)について
前記2において認定したとおり,被告各製品は,原告各製品の形態上の特徴を具備し,相互に類似していることからすれば,需要者において,原告各製品と被告各製品とについて,出所の混同を生じるおそれがあると認められる。
また,被告各製品は,「MARINA MILITARE」との名称を付しているところ,この名称は,原告製品9の名称とは同一であり,原告製品3から5までの名称である「LUMINOR MARINA」と一部共通し,需要者における混同のおそれを助長する事情が存在すると認められる。
 被告らは,原告各製品と被告各製品の価格差,販売形態の相違,営業表示をもって,原告各製品と被告各製品とでは需要者が異なり,誤認混同が生ずるおそれがない旨主張するが,前記の各事情に照らせば,これらの点をもって,前記の認定を左右することはできない。

4 まとめ
そうすると,原告らの請求は,その余の点を判断するまでもなく,いずれも理由がある。なお,被告製品2については,現在製造及び販売をしていないことが認められるが,販売等の差止及び廃棄の必要性は存在すると解される。

以上:3,046文字

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