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土地買受人の対抗要件を欠く従前土地賃借人への明渡請求について2

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平成28年10月29日(土):初稿
○「土地買受人の対抗要件を欠く従前土地賃借人への明渡請求について」を続けます。
Aが所有する甲土地をBに賃貸しても民法第605条で「不動産の賃貸借は、これを登記したときは、その後その不動産について物権を取得した者に対しても、その効力を生ずる。」と規定され、土地賃借権を登記して居ない限り、Aから甲土地を買い受けたCには賃借権を主張できないのが原則です。

○特定の債務者にしか主張できない賃借権は、誰にでも主張できる物権には負けることは「売買は賃貸借を破る」と表現され、民法の大原則です。そこで土地賃貸人が賃料の増額請求して賃借人が応じない場合、第三者に土地を譲渡して、第三者名義で賃借人を追い出すことが横行し、これが「地震売買」と呼ばれて社会問題になりました。土地を借りて建物を建てても「地震」によって建物が壊されると同様な結果になったからです。

○そこで建物所有目的で土地を賃貸した場合について、明治42年に到り「建物保護ニ関スル法律」が制定され第1条「建物ノ所有ヲ目的トスル地上権又ハ土地ノ賃借権ニ因リ地上権者又ハ土地ノ賃借人カ其ノ土地ノ上ニ登記シタル建物ヲ有スルトキハ地上権又ハ土地ノ賃貸借ハ其ノ登記ナキモ之ヲ以テ第三者ニ対抗スルコトヲ得」と規定し、土地賃借権・借地権の登記がなされていなくてもBが建物を登記すれば、賃借人から甲土地の譲渡を受けたCに賃借権を対抗することが出来るようになりました。

○土地賃借権の登記は土地所有者の協力がないと登記できませんが、建物はB自身の所有物ですからBが単独で登記することができます。この規定は平成3年に制定された現在の借地借家法第10条「借地権は、その登記がなくても、土地の上に借地権者が登記されている建物を所有するときは、これをもって第三者に対抗することができる。」に受け継がれています。

○建物賃貸借即ち借家にも同様の問題がありましたが、大正10年に制定された借家法第1条で「建物ノ賃貸借ハ其ノ登記ナキモ建物ノ引渡アリタルトキハ爾後其建物ニ付物権ヲ取得シタル者ニ対シ其ノ効力ヲ生ス」と規定され、借家の場合は借家権について登記がなくても「引渡」即ち入居している事実があれば、賃貸人(大家)から条とされた第三者にも対抗できることになりました。

○このように建物所有目的の土地賃貸借、建物自体の賃貸借の場合は、民法第605条に対する特別法としての借地借家法によって賃借人の保護が図られています。居住という重大な利益はその保護が重要だからです。だとすると単に資材置き場として借りるようなそれ以外の土地賃借権は、「売買は賃貸借を破る」の大原則が適用され、「土地買受人の対抗要件を欠く従前土地賃借人への明渡請求について」の事案では、買受人Cは、たとえ買受前にA・B間の賃貸借があることを熟知していたとしても、Aから適正な売買価格で買い受ける限りは、Bの賃借権を認めず、明渡請求が可能と思われます。
以上:1,205文字

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