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120年ぶり民法大改正備忘録-消滅時効制度に関する新旧条文確認

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平成28年 2月12日:初稿
○「120年ぶり民法大改正備忘録-連帯保証に関する条文確認」の続きで、今回は民法上の消滅時効制度についての現行条文と改正条文の確認です。現行条文では、消滅時効期間が、短期消滅時効制度があり、債権の種類によって異なり、また、不法行為に基づく損害賠償請求権の時効が別に定められており、面倒なものでした。

○そこで、消滅時効制度を統一的・シンプルなものにするため、短期消滅時効制度を廃止し、民法上の債権の消滅時効期間は原則10年、債権者が権利行使可能であると知ったときから5年とし、不法行為に基づく損害賠償請求権も原則は3年ですが、交通事故等の人の生命又は身体の侵害による損害賠償の請求権については5年としました。以下、現行民法と改正民法の条文についての備忘録です。

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(現行民法)

第3節 消滅時効
第166条(消滅時効の進行等)

 消滅時効は、権利を行使することができる時から進行する。
2 前項の規定は、始期付権利又は停止条件付権利の目的物を占有する第三者のために、その占有の開始の時から取得時効が進行することを妨げない。ただし、権利者は、その時効を中断するため、いつでも占有者の承認を求めることができる。

第167条(債権等の消滅時効)
 債権は、10年間行使しないときは、消滅する。
2 債権又は所有権以外の財産権は、20年間行使しないときは、消滅する。

第168条(定期金債権の消滅時効)
 定期金の債権は、第1回の弁済期から20年間行使しないときは、消滅する。最後の弁済期から10年間行使しないときも、同様とする。
2 定期金の債権者は、時効の中断の証拠を得るため、いつでも、その債務者に対して承認書の交付を求めることができる。

第169条(定期給付債権の短期消滅時効)
 年又はこれより短い時期によって定めた金銭その他の物の給付を目的とする債権は、5年間行使しないときは、消滅する。

第170条(3年の短期消滅時効)
 次に掲げる債権は、3年間行使しないときは、消滅する。ただし、第2号に掲げる債権の時効は、同号の工事が終了した時から起算する。
一 医師、助産師又は薬剤師の診療、助産又は調剤に関する債権
二 工事の設計、施工又は監理を業とする者の工事に関する債権

第171条(3年の短期消滅時効)
 弁護士又は弁護士法人は事件が終了した時から、公証人はその職務を執行した時から3年を経過したときは、その職務に関して受け取った書類について、その責任を免れる。

第172条(2年の短期消滅時効)
 弁護士、弁護士法人又は公証人の職務に関する債権は、その原因となった事件が終了した時から2年間行使しないときは、消滅する。
2 前項の規定にかかわらず、同項の事件中の各事項が終了した時から5年を経過したときは、同項の期間内であっても、その事項に関する債権は、消滅する。

第173条(2年の短期消滅時効)
 次に掲げる債権は、2年間行使しないときは、消滅する。
一 生産者、卸売商人又は小売商人が売却した産物又は商品の代価に係る債権
二 自己の技能を用い、注文を受けて、物を製作し又は自己の仕事場で他人のために仕事をすることを業とする者の仕事に関する債権
三 学芸又は技能の教育を行う者が生徒の教育、衣食又は寄宿の代価について有する債権

第174条(1年の短期消滅時効)
 次に掲げる債権は、1年間行使しないときは、消滅する。
一 月又はこれより短い時期によって定めた使用人の給料に係る債権
二 自己の労力の提供又は演芸を業とする者の報酬又はその供給した物の代価に係る債権
三 運送賃に係る債権
四 旅館、料理店、飲食店、貸席又は娯楽場の宿泊料、飲食料、席料、入場料、消費物の代価又は立替金に係る債権
五 動産の損料に係る債権

第174条の2(判決で確定した権利の消滅時効)
 確定判決によって確定した権利については、10年より短い時効期間の定めがあるものであっても、その時効期間は、10年とする。裁判上の和解、調停その他確定判決と同一の効力を有するものによって確定した権利についても、同様とする。
2 前項の規定は、確定の時に弁済期の到来していない債権については、適用しない。

第724条(不法行為による損害賠償請求権の期間の制限)
 不法行為による損害賠償の請求権は、被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時から3年間行使しないときは、時効によって消滅する。不法行為の時から20年を経過したときも、同様とする。


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(改正民法-「民法(債権関係)の改正に関する要綱仮案」から)

第7 消滅時効
1 債権の消滅時効における原則的な時効期間と起算点
民法第166条第1項及び第167条第1項の債権に関する規律を次のように改めるものとする。
債権は、次に掲げる場合のいずれかに該当するときは、時効によって消滅する。
(1) 債権者が権利を行使することができることを知った時から5年間行使しないとき。

(2) 権利を行使することができる時から10年間行使しないとき。
(注)この改正に伴い、商法第522条を削除するものとする。

2 定期金債権等の消滅時効
(1) 定期金債権の消滅時効
民法第168条第1項前段の規律を次のように改めるものとする。
定期金の債権は、次に掲げる場合のいずれかに該当するときは、時効によって消滅する。
ア 債権者が定期金の債権から生ずる金銭その他の物の給付を目的とする各債権を行使することができることを知った時から10年間行使しないとき。
イ アの各債権を行使することができる時から20年間行使しないとき。

(2) 民法第168条第1項後段を削除するものとする。

(3) 民法第169条を削除するものとする。

3 職業別の短期消滅時効等の廃止
民法第170条から第174条までを削除するものとする。

4 不法行為による損害賠償請求権の消滅時効(民法第724条関係)
民法第724条の規律を次のように改めるものとする。
不法行為による損害賠償の請求権は、次に掲げる場合のいずれかに該当するときは、時効によって消滅する。
(1) 被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時から3年間行使しないとき。
(2) 不法行為の時から20年間行使しないとき。

5 生命・身体の侵害による損害賠償請求権の消滅時効
人の生命又は身体の侵害による損害賠償の請求権について、次のような規律を設けるものとする。
(1) 4(1)に規定する時効期間を5年間とする。
(2) 1(2)に規定する時効期間を20年間とする。

6 時効の完成猶予及び更新
時効の中断事由(民法第147条ほか)及び停止事由について、同法第158条から第160条までの規律を維持するほか、次のように改めるものとする。
(1) 裁判上の請求等
ア 次の(ア)から(エ)までに掲げる事由のいずれかがある場合には、当該(ア)から(エ)までに掲げる事由が終了した時(確定判決又は確定判決と同一の効力を有するものによって権利が確定することなく当該(ア)から(エ)までに掲げる事由が終了した場合にあっては、その終了の時から6箇月を経過した時)までの間は、時効は、完成しない。
(ア) 裁判上の請求
(イ) 支払督促
(ウ) 民事訴訟法(平成8年法律第109号)第275条第1項の和解又は民事調停法(昭和26年法律第222号)若しくは家事事件手続法(平成23年法律第52号)による調停
(エ) 破産手続参加、再生手続参加又は更生手続参加
イ アの場合において、確定判決又は確定判決と同一の効力を有するものによって権利が確定したときは、時効は、当該アの(ア)から(エ)までに掲げる事由が終了した時から新たにその進行を始める。

(2) 強制執行等
ア 次の(ア)から(エ)までに掲げる事由のいずれかがある場合には、当該(ア)から(エ)までに掲げる事由が終了した時(権利者が申立てを取り下げた場合又は当該(ア)から(エ)までに掲げる事由が法律の規定に従わないことにより取り消された場合にあっては、その時から6箇月を経過した時)までの間は、時効は、完成しない。
(ア) 強制執行
(イ) 担保権の実行
(ウ) 民事執行法(昭和54年法律第4号)第195条に規定する担保権の実行としての競売の例による競売
(エ) 民事執行法第196条に規定する財産開示手続
イ アの場合には、時効は、当該アの(ア)から(エ)までに掲げる事由が終了した時から、新たにその進行を始める。ただし、権利者が申立てを取り下げた場合又は当該アの(ア)から(エ)までに掲げる事由が法律の規定に従わないことにより取り消された場合は、この限りでない。

(3) 仮差押え等
仮差押え又は仮処分があったときは、当該事由が終了した時から6箇月を経過するまでの間は、時効は、完成しない。

(4) 強制執行等及び仮差押え等による時効の完成猶予及び更新の効力
(2)アの(ア)から(エ)まで及び(3)に掲げる事由は、時効の利益を受ける者に対してしないときは、その者に通知をした後でなければ、(2)ア及び(3)の規定による時効の完成猶予並びに(2)イの規定による時効の更新の効力を生じない。

(5) 承認
ア 時効は、権利の承認があったときは、その時から新たにその進行を始める。
イ アの承認をするには、相手方の権利についての処分につき行為能力又は権限があることを要しない。

(6) 催告
ア 催告があったときは、その時から6箇月を経過するまでの間は、時効は、完成しない。
イ 催告によって時効の完成が猶予されている間に行われた再度の催告は、アの規定による時効の完成猶予の効力を有しない。

(7) 天災等による時効の完成猶予
時効期間の満了の時に当たり、天災その他避けることのできない事変のため(1)アの(ア)から(エ)まで及び(2)アの(ア)から(エ)までに掲げる手続を行うことができないときは、その障害が消滅した時から3箇月を経過するまでの間は、時効は、完成しない。

(8) 協議による時効の完成猶予
ア 当事者間で権利に関する協議を行う旨の書面による合意があったときは、次に掲げる時のいずれか早い時までの間は、時効は、完成しない。
(ア) 上記合意があった時から1年を経過した時
(イ) 上記合意において当事者が協議を行う期間(1年に満たないものに限る。)を定めたときは、その期間を経過した時
(ウ) 当事者の一方が相手方に対して協議の続行を拒絶する旨の書面による通知をした時から6箇月を経過した時

イ アの合意又は通知がその内容を記録した電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下同じ。)によってされたときは、その合意又は通知は、書面によってされたものとみなす。

ウ 当事者は、アの規定によって時効の完成が猶予されている間に、改めてアの合意をすることができる。ただし、アの規定によって時効の完成が猶予されなかったとすれば時効期間が満了すべき時から通じて5年を超えることができない。

エ 催告によって時効の完成が猶予されている間に行われたアの合意は、時効の完成猶予の効力を有しない。アの規定によって時効の完成が猶予されている間に行われた催告についても、同様とする。

7 時効の効果
消滅時効について、民法第145条の規律を次のように改めるものとする。
時効は、当事者(消滅時効にあっては、保証人、物上保証人、第三取得者その他権利の消滅について正当な利益を有する者を含む。)が援用しなければ、裁判所がこれによって裁判をすることができない。


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