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信用情報機関誤登録損害賠償請求事案判決全文紹介1

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平成26年10月11日:初稿
○「個人信用情報機関登録制度が憲法等に違反しないとした判決全文紹介」の続きです。
信用情報機関に対する誤情報登録による損害賠償事案の参考判例を探しているのですが、余り見つかりません。僅かに見つかった事案の一つとして平成21年5月19日東京地裁判決(ウエストロー・ジャパン)全文を紹介します。


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主文
1 原告の請求を棄却する。
2 訴訟費用は原告の負担とする。
 
事実及び理由
第1 請求

 被告は,原告に対し,金500万円及びこれに対する平成18年11月8日から訴状送達日(平成21年2月3日)まで年1割5分の割合による金員を支払え。

第2 事案の概要
 本件は,被告が全国銀行個人信用情報センターに対し原告に関する誤った情報を伝えていたため,原告は他の金融機関から融資を受けられなかったとして,原告が被告に対し,500万円の損害賠償等を求めた事案である。

1 原告の主張
(1) 原告は,昭和63年ころ,被告から自宅を担保に3000万円を借り入れて,自宅のリフォーム等に費消した。
(2) 原告は,平成18年12月ころ,かざかファイナンス株式会社等に5000万円の借換えの実施を約束してもらっていたが,後日担当者からこの話はなかったことにしてくれと言われ,融資は実現しなかった。
(3) 平成19年7月30日付けで,被告から,「全国銀行個人信用情報センターへの返済状況の登録相違について」という文書が送付され,それによると,ローンの返済に関して約定利息の支払があったにもかかわらず,被告は平成18年11月8日から平成19年5月31日までの間原告から全く返済がなかったと誤った内容の情報を登録していたとのことであった。
(4) このように,被告の誤った登録により原告は借換えのための融資を受けられなかったものであり,これにより,原告は身内や知人等から借り入れて支払った元金及び利息として500万円の損害を被った。

2 被告の主張
(1) 原告の主張(1)については,以下のとおりである。原告は,昭和63年ころ,被告との間で,自宅を担保にLLカードローンという名称の貸付限度額2000万円の金銭消費貸借契約を締結して2000万円を借り入れ,平成2年に同貸付極度額を1000万円増額する契約を締結して1000万円を追加で借り入れ,被告から合計3000万円を借り入れた。その後,被告は,平成15年9月8日,原告との間で,借入金額1600万円のローン契約と借入金額1400万円のローン契約を締結し,原告に各同額の金員を貸し付け,原告はこれにより上記LLカードローンの債務を返済した。
(2) 原告の主張(2)の事実は否認する。
(3) 原告の主張(3)について,被告が原告に対し,平成19年7月30日付け「全国銀行個人信用情報センターへの返済状況の登録相違について」と題する書面を送付したこと,同書面に,「『約定のご返済の一部があった』と登録するところを『約定のご返済が全くなかった』という誤った内容の情報を平成18年11月8日から平成19年5月31日までの間,全国銀行個人信用情報センターに登録しておりました」と記載されていることは認める。ただし,「約定のご返済の一部があった」というのは「延滞しているけれども一部支払っている」という意味であり,「約定のご返済が全くなかった」というのは「延滞しており一部支払もない」という意味であり,どちらも延滞している場合の信用情報である。
(4) 原告の主張(4)の事実は否認する。原告が身内や知人から金銭を借り入れたことは損害にはならない。
(5) 原告は,平成16年2月ころから少しずつ返済が遅れるようになり,平成18年3月の約定返済日の時点で4か月遅れ,同年7月の約定返済日の時点でも3か月遅れ,平成19年7月の約定返済日の時点では6か月も遅れており,被告が再三督促しても延滞を解消せず,最終的には同年12月27日に原告は期限の利益を喪失したものである。この間,原告は被告に対し,上記誤登録について苦情を申し立てたことはない。

第3 当裁判所の判断
1 後掲各証拠及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる。
(1) 原告は,昭和63年ころ,被告との間で,自宅を担保にLLカードローンという名称の貸付限度額2000万円の金銭消費貸借契約を締結して2000万円を借り入れ,平成2年に同貸付極度額を1000万円増額する契約を締結して1000万円を追加で借り入れ,被告から合計3000万円を借り入れた。その後,被告は,平成15年9月8日,原告との間で,借入金額1600万円のローン契約と借入金額1400万円のローン契約を締結し,原告に各同額の金員を貸し付け(乙1,2,以下「本件債務」という。),原告はこれにより上記LLカードローンの債務を返済した。

(2) 原告は,本件債務について,平成16年2月ころから少しずつ返済が遅れるようになり,平成18年3月の約定返済日の時点で4か月分の滞納が,同年7月の約定返済日の時点でも3か月分の滞納があり,被告が再三督促しても一旦は滞納分の返済がされるものの,その後まもなく滞納が生じ,延滞状況は解消されず,平成19年7月の約定返済日の時点では6か月分の滞納が生じていた(乙3~5)。

(3) 被告は,平成18年11月8日から平成19年5月31日までの間,全国銀行個人信用情報センターに対し,原告について,「約定のご返済の一部があった」と登録すべきところを「約定のご返済が全くなかった」と誤って登録していた(以下「本件誤登録」という。)。被告は,原告に対し,同年7月30日付けの書面で,その旨を知らせた。(甲1)

(4) 被告は,同年8月16日,原告に対し,本件債務の延滞金の返済又は返済計画の提出を求めたが(乙5),原告からは延滞金の返済も返済計画の提出もなく,さらに,同年12月13日に内容証明郵便により支払の催告と期限の利益喪失の通知をするなどしたが,原告から特に返事はなく,同月27日,原告は本件債務について期限の利益を喪失した(乙6~8)。この間,原告は被告に対し,本件誤登録について苦情を申し立てたことはない。

2 以上の事実に基づいて検討するに,原告は,平成18年12月ころ,かざかファイナンス株式会社等に5000万円の借換えの実施を約束してもらっていたが,後日担当者からこの話はなかったことにしてくれと言われ,融資は実現しなかったと主張しているが,被告はこれを否認しているところ,そのような事実を裏付ける証拠はなく,原告は被告から本件債務の返済の督促を受けていたにもかかわらず,被告に対し借換えによる返済の話をした形跡もないのであって,原告主張の事実を認めるに足りる証拠はない。

 仮に,原告が,他の金融機関から融資を断られたことがあったとしても,その理由が本件誤登録情報によるものかどうかは明らかではない。また,原告が本件誤登録情報に基づいて他の金融機関からの融資を受けることができなかったとしても,少なくとも原告において本件債務の返済がしばしば滞っていたことは事実であり,被告が正しい情報登録をしていたとしても,原告が借換えのために他の金融機関から本件債務の全額を返済できるだけの融資を受けることができなかった可能性はあるのであって,本件誤登録が原因で他の金融機関からの借換え融資が受けられなかったと認めることもできない。

 さらに,本件誤登録については被告に過誤があったことは事実であるが,上記認定のような原告被告間の取引経過や上記の事情などに照らすと,被告の過誤が不法行為を構成するような違法なものであるとまではいえない。

3 以上のとおりであって,いずれにしても,被告に不法行為が成立するとは認められず,原告の不法行為の主張は失当であり,その余の点について判断するまでもなく,原告の請求は理由がない。
 よって,主文のとおり判決する。
 (裁判官 岡健太郎)
以上:3,301文字

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