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”不動産取引における心理的瑕疵の裁判例と評価”紹介1

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平成26年 8月 8日:初稿
○株式会社プログレス発行宮崎裕二弁護士等著作「不動産取引における心理的瑕疵の裁判例と評価」が届きました。「自殺・孤独死等によって不動産の価値はどれだけ下がるか?」との副題がついており、編集代表は宮崎弁護士ですが、そのほかに3人の不動産鑑定士との共著です。この問題は、当HPでも平成17年8月10日初稿「自殺があった建物売買と瑕疵担保責任」から始まり、たびたび取り上げて居ますが、問い合わせの多い分野です。

○この「不動産取引における心理的瑕疵の裁判例と評価」をざっと斜め読みしたら、「自殺があった建物売買と瑕疵担保責任」で紹介した、住宅ローン支払遅滞で競売となり、これを転売目的で買受けた土地建物が転売できず、調査すると前所有者が、住宅ローン遅滞を苦にしてその建物内ではなく建物の裏山で自殺をした事実が判明し、物件説明書記載に不備があるとして売却取消を求めましたが、建物内での自殺ではないので瑕疵には当たらないとされた事例が詳しく解説されていました。

○この事例は私が受任し仙台地裁大河原支部に売却許可取消申立をして棄却され、渾身の理由書を書いて仙台高裁に抗告するもこれも棄却され、大変悔しい思いをした事案です。
先ず平成7年12月11日仙台地裁大河原支部決定(判タ931号297頁)全文を紹介します。

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主  文
 本件申立てを棄却する。 
 
理  由
1 申立人は、当裁判所が当庁平成6年ケ第61号不動産競売事件について平成7年8月9日になした売却許可決定の取消を求め、その申立ての理由は別紙記載のとおりである。

2 そこで判断するに、一件記録によれば、次の各事実を認めることができる。
① 当裁判所は、財団法人公庫住宅融資保証協会の申立てにより、平成6年12月7日、別紙物件目録記載の土地及び建物(以下「本件不動産」という。)について不動産競売開始決定をした。平成7年3月31日に当裁判所執行官が現況調査報告書を、同年4月6日に評価人が本件不動産の評価額を1367万8000円(一括売却価額)とする評価書を各提出した。そこで、当裁判所は、上記評価書に基づき同月19日、本件不動産の最低売却価額(一括売却価額)を同評価額と同じ金1367万8000円と定め、これに関する物件明細書を作成した上、この明細書とともに前記評価書及び現況調査報告書を当裁判所内に備え置き、その後、期間入札の方法で本件不動産の売却を実施したところ、入札期間中の平成7年7月26日、申立人から本件不動産を金1622万6000円(一括売却価額)の最高価で買い受ける旨の申出がなされたので、当裁判所は、同年8月9日、申立人を適法な最高価買受申出人と認め、同金額で本件不動産を売却することを許可する旨の売却許可決定をした。しかし、申立人は未だ前記金額を納付するに至ってはいない。

② ところで、申立人の買受申出前である平成5年2月23日ころ、本件不動産の隣地である山林において、本件不動産の所有者甲野太郎の妻が自殺したことがあったが、申立人は、売却許可決定を受けた後になって初めて上記事実を知り、別紙記載の理由により、平成7年9月4日当裁判所に対し、前記売却許可決定取消の申立てをした。

③ 当裁判所執行官及び評価人は、現況調査の際に、上記所有者から上記事実を聴取したものの、本件不動産の評価に当たり考慮すべき減価要因には該当しないものと判断したため、前記現況調査報告書、評価書には当該事実を記載しなかった。また、評価人は本件不動産の評価にあたり上記事実に基づく減価をしなかったし、最低売却価額の決定に際しても上記事実は考慮されていなかった。

 本件申立ての後、当裁判所は、自殺があったことを前提とした評価額につき、あらためて評価人の意見を求めたところ、評価人は、平成7年12月4日、当裁判所に対し、右自殺があったことにより評価額を変更する必要性は認められない旨記載した意見書を提出した。

2 以上の事実をもとに、民事執行法75条一項、188条の適用につき検討する。
 人の居住用建物の交換価値が減少をきたすというためには、買受人本人が住み心地のよさを欠くと感じるだけでは足りず、通常一般人において住み心地のよさを欠くと感ずることに合理性があると判断される程度に至ったものであることを必要とすると解すべきである。これを本件についてみると、上記自殺が発生した場所は、本件不動産内ではなく、本件不動産に隣接する山林であって、本件不動産に居住した場合に、上記自殺があったところに居住しているとの話題や指摘が人々により繰り返されるとか、これが居住者の耳に届く状態が永く付きまとうといった事態が生ずるとは、にわかに予測することは困難である。また、前示のように、平成7年12月4日に提出された評価人の意見書においても、自殺があったことを前提としても評価額を変更する必要性は認められないとされているところである。

 してみると、本件のように物理的損傷以外のもので、かつ、買受申出以前の事情による交換価値の減少の場合にも民事執行法75条1項、188条が類推適用されると解することができるとしても、本件において、一般人において住み心地のよさを欠くと感じることに合理性があると判断される程度に至る事情があり、本件不動産につき交換価値の減少があるということはできないといわざるを得ない。
 したがって、本件申立ては理由がないので、主文のとおり決定する。(裁判官 鹿子木康)

以上:2,287文字

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