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売買の一方の予約に関する備忘録

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平成25年 8月 2日:初稿
○30数年前の司法修習時代、法律実務で最も多い事件は、「ばいちん」と言われていました。「売買」・「賃貸借」の略称です。実際、実務に入って、当初は売買・賃貸借に関連する事件が多かったのですが、その後、離婚等家族に関する事件から一時は多重債務事件が増え、更に一時的に過払金事件が増えました。当事務所の場合は、交通事故に力を入れたこともあり、現在最も事件数・仕事量が多い事件は交通事故事件となっており、当初多かった売買・賃貸借事件は割合的には少なくなりました。それでも時に売買に関する事件があり、その備忘録も必要になります。売買の成立が争いになる事件での基本条文は次の2条です。

第555条(売買)
 売買は、当事者の一方がある財産権を相手方に移転することを約し、相手方がこれに対してその代金を支払うことを約することによって、その効力を生ずる。

第556条(売買の一方の予約)
 売買の一方の予約は、相手方が売買を完結する意思を表示した時から、売買の効力を生ずる。
2 前項の意思表示について期間を定めなかったときは、予約者は、相手方に対し、相当の期間を定めて、その期間内に売買を完結するかどうかを確答すべき旨の催告をすることができる。この場合において、相手方がその期間内に確答をしないときは、売買の一方の予約は、その効力を失う。


○今回は、上記の内売買の一方の予約の備忘録です。
売買は、上記民法第555条記載の通り、「財産権の相手方への移転」と「その代金を支払うこと」を合意内容とする契約です。基本は財産権の移転と代金の支払合意ですが、財産権の特定程度、代金金額特定程度、代金支払時期、財産権移転時期等の定めを巡って売買の成立の有無が争いになることがしばしばあり、更に、売買契約が成立しなくても民法第556条売買予約が成立したかどうかが争いになることがあります。

○売買の予約は、「相手方が売買を完結する意思を表示した時から、売買の効力を生ずる。」と規定され、「売買の一方の予約」とは、売主又は買主のいずれか一方に、本契約である売買を成立させる意思表示をする権利(予約完結権)を与え、これによって相手方に対し、本契約を成立させるとの意思表示(予約完結の意思表示)をすれば、相手方の承諾がなくても本契約である売買が成立することをあらかじめ約束することです。

○民法第556条に規定されるのは「売買の一方の予約」で、売主又は買主のいずれか一方にだけ予約完結権を与え、且つ、予約完結権行使で当然に売買が成立するものですが、売主・買主双方又は一方に予約完結権を与える「一般的な予約」契約も出来ます。この一般的な予約では、一方が予約完結権を行使した場合、相手方はこれを承諾する義務を負うことをあらかじめ定める契約ですが、相手方が承諾しない場合、承諾を求める訴えを提起しなければなりません(昭和35年5月24日最高裁判決)。

○民法第556条の「売買の一方の予約」の法的性質については、判例は「純然たる一個の予約」とし(大正8年6月10日大審院判決)、学説は、相手方の予約完結意思表示を停止条件とする売買そのものであると見る見解が有力です。「予約」というか「売買そのもの」というかの言葉の違いだけのような気もしますが、更にその違いを検討します。
売買の一方の予約成立のためには、本契約の売買詳細まで特定しておく必要はないとされ、代金額も時価による程度の特定でも可能と解説されていますが、実際、成立の有無が争いなった時は、ケースバイケースで内容の検討が必要になります。

○「予約(売買)完結権」は、その意思表示のみによって売買を生じさせる権利で、一種の形成権で、財産上の権利ですから、相手方の承諾なくして譲渡でき、完結の意思表示によって売買は当然に成立します。




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