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担保不動産収益執行の基礎の基礎

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平成24年 8月10日:初稿
○銀行等金融機関がある程度の金額を貸し付ける場合、回収を確実にするために不動産に抵当権を設定するのが常識です。債務者が支払をしない場合、これを競売にかけてその売却金を貸付金の回収に充当します。我々弁護士は、この債権回収のための不動産競売には、日常的にお目にかかっています。典型例は、住宅ローンを支払えずに住宅が競売にかかったという相談です。ところが、何らかの事情で、競売が難しい場合、競売にはかけず、担保不動産の賃料等収益から債権回収する方法があります。これを担保不動産収益執行といい、平成15年の民事執行法改正で認められていましたが、今般、初めてこの担保不動産収益執行にお目にかかり、勉強の必要性が生じました。以下、備忘録です。

○先ず関係条文です。
民法
第371条
抵当権は、その担保する債権について不履行があったときは、その後に生じた抵当不動産の果実に及ぶ。

民事執行法
第180条(不動産担保権の実行の方法)
 不動産(登記することができない土地の定着物を除き、第43条第2項の規定により不動産とみなされるものを含む。以下この章において同じ。)を目的とする担保権(以下この章において「不動産担保権」という。)の実行は、次に掲げる方法であつて債権者が選択したものにより行う。
1.担保不動産競売(競売による不動産担保権の実行をいう。以下この章において同じ。)の方法
2.担保不動産収益執行(不動産から生ずる収益を被担保債権の弁済に充てる方法による不動産担保権の実行をいう。以下この章において同じ。)の方法

第188条(不動産執行の規定の準用)
 第44条の規定は不動産担保権の実行について、前章第2節第1款第2目(第81条を除く。)の規定は担保不動産競売について、同款第3目の規定は担保不動産収益執行について準用する。

第3目 強制管理
第93条 (開始決定等)
 執行裁判所は、強制管理の手続を開始するには、強制管理の開始決定をし、その開始決定において、債権者のために不動産を差し押きえる旨を宣言し、かつ、債務者に対し収益の処分を禁止し、及び債務者が賃貸料の請求権その他の当該不動産の収益に係る給付を求める権利(以下「給付請求権」という。)を有するときは、債務者に対して当該給付をする義務を負う者(以下「給付義務者」という。)に対しその給付の目的物を管理人に交付すべき旨を命じなければならない。
2 前項の収益は、後に収穫すべき天然果実及び既に弁済期が到来し、又は後に弁済期が到来すべき法定果実とする。
3 第1項の開始決定は、債務者及び給付義務者に送達しなければならない。
4 給付義務者に対する第1項の開始決定の効力は、開始決定が当該給付義務者に送達された時に生ずる。
5 強制管理の申立てについての裁判に対しては、執行抗告をすることができる。


民事執行法第180条2号に記載した「不動産から生ずる収益を被担保債権の弁済に充てる方法による不動産担保権の実行」が担保不動産収益執行で、具体的には貸しアパート、貸しマンション等の使用収益権が全て債務者(所有者)から裁判所が認めた管理人(通常執行官とその下請の不動産管理会社)に移り、債務者はそれまで受領していた賃料が全く受領出来なくなり、賃料で生計を立てていた場合は死活問題になります。

管理人が収益した賃料は、次の規定によって債権者に配当されます。
第107条(管理人による配当等の実施)
 管理人は、前条第1項に規定する費用を支払い、執行裁判所の定める期間ごとに、配当等に充てるべき金銭の額を計算して、配当等を実施しなければならない。
2 債権者が1人である場合又は債権者が2人以上であつて配当等に充てるべき金銭で各債権者の債権及び執行費用の全部を弁済することができる場合には、管理人は、債権者に弁済金を交付し、剰余金を債務者に交付する。
3 前項に規定する場合を除き、配当等に充てるべき金銭の配当について債権者間に協議が調つたときは、管理人は、その協議に従い配当を実施する。
(中略後記)
5 第3項の協議が調わないときは、管理人は、その事情を執行裁判所に届け出なければならない。

第109条(執行裁判所による配当等の実施)
 執行裁判所は、第107条第5項の規定による届出があつた場合には直ちに、第104条第1項又は前条の規定による届出があつた場合には供託の事由が消滅したときに、配当等の手続を実施しなければならない。


配当に預かることが出来る債権者は以下の通りです。
第107条(管理人による配当等の実施)
(中略前記)
4 配当等を受けるべき債権者は、次に掲げる者とする。
1.差押債権者のうち次のイからハまでのいずれかに該当するもの
イ 第1項の期間の満了までに強制管理の申立てをしたもの
ロ 第1項の期間の満了までに一般の先取特権の実行として第180条第2号に規定する担保不動産収益執行の申立てをしたもの
ハ 第1項の期間の満了までに第180条第2号に規定する担保不動産収益執行の申立てをしたもの(ロに掲げるものを除く。)であつて、当該申立てが最初の強制管理の開始決定に係る差押えの登記前に登記(民事保全法第53条第2項に規定する保全仮登記を含む。)がされた担保権に基づくもの
2.仮差押債権者(第1項の期間の満了までに、強制管理の方法による仮差押えの執行の申立てをしたものに限る。)
3.第1項の期間の満了までに配当要求をした債権者


配当で注意すべきは、3番抵当権者が担保不動産収益執行を申し立てた場合、優先する1,2番抵当権者は、そのまま放置しておくと配当に預かれないことです。配当を得るためには、1,2番抵当権者も改めて担保不動産収益執行を申し立てしなければなりません。
3番抵当権者申立の担保不動産収益執行で、これを知った1,2番抵当権者も担保不動産収益執行申立を行うと次の規定で開始決定がなされ、1,2番抵当権者も配当請求が出来ます。
第93条の2(二重開始決定)
 既に強制管理の開始決定がされ、又は第180条第2号に規定する担保不動産収益執行の開始決定がされた不動産について強制管理の申立てがあつたときは、執行裁判所は、更に強制管理の開始決定をするものとする。


3番抵当権者が担保不動産収益執行申立をしても、後に1番抵当権者も申立をして配当要求されると、配当は民事執行法第188条で強制管理の規定が準用され、更に強制競売の規定も準用され、最終的には民事執行法第85条で「配当の順位及び額を定める場合には、民法、商法その他の法律の定めるところによらなければならない。」とされて、1番抵当権者が優先的に配当を受けることになります。
従って3番抵当権者が、折角、最初に申立しても、結局配当には預かれないこともあります。

以上:2,755文字

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