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借主の履行補助者が自殺した場合の責任肯定判例紹介1

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平成23年11月22日:初稿
○「賃借建物で自殺があった場合の賃借人の責任」で紹介した平成13年11月29日東京地裁判例全文を見たいのとのリクエストが2日連続2件ありました。片や「現在授業において,賃借人が自殺した場合に負うべき損害賠償の範囲について調査」中との法科大学院の学生さん、片や「卒業論文で”賃貸建物で自殺があった場合の貸主から借主遺族への損害賠償請求について”をテーマに制作したい」との法学専攻科4年の学生さんです。

○この判例は、以前も数名の若い弁護士さんから全文リクエストを頂きDMで送った経験があり、リクエストが多いので、以下の著作権法規定に従って公開しますのでご参考にして下さい。
第13条(権利の目的とならない著作物)
 次の各号のいずれかに該当する著作物は、この章の規定による権利の目的となることができない。
1.憲法その他の法令
2.国若しくは地方公共団体の機関、独立行政法人(独立行政法人通則法(平成11年法律第103号)第2条第1項に規定する独立行政法人をいう。以下同じ。)又は地方独立行政法人(地方独立行政法人法(平成15年法律第118号)第2条第1項に規定する地方独立行政法人をいう。以下同じ。)が発する告示、訓令、通達その他これらに類するもの
3.裁判所の判決、決定、命令及び審判並びに行政庁の裁決及び決定で裁判に準ずる手続により行われるもの


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平成13年11月29日東京地裁判決 事件番号平成13年(ワ)第10209号損害賠償請求事件

   主  文

1 被告は、原告に対し、金43万9215円及びこれに対する平成13年3月1日から支払済みまで年6分の割合による金員を支払え。
2 原告のその余の請求を棄却する。
3 訴訟費用は、これを5分し、その1を被告の負担とし、その余を原告の負担とする。
4 この判決は、第1項に限り、仮に執行することができる。

   事実及び理由

第1 請求
 被告は、原告に対し、金288万円及びこれに対する平成13年3月1日から支払済みまで年6分の割合による金員を支払え。

第2 事案の概要
 本件は、原告が被告に対しいわゆる借上社宅として賃貸していた貸室において被告従業員が自殺したことから、原告が、そのことにより10年間にわたって当該貸室を通常よりも安い賃料でしか賃貸することができなくなったとして、被告に対し、債務不履行による損害賠償請求権に基づいて、10年間の賃料差額相当額の支払を求めている事案であり、付帯請求は支払催告後の日(賃貸借契約終了の日の翌日)からの商事法定利率の割合による遅延損害金の支払請求である。

1 前提事実(特記しない事実は当事者間に争いがない。)
(1)原告は、アパート及びマンションの管理業務等を主たる業務とする株式会社である。

(2)原告は、平成9年8月16日、Cから、その所有に属する別紙物件目録記載の建物(以下「本件建物」という。)を転貸目的で賃借し、以後、本件建物の各室を他に賃貸してきた(甲3、弁論の全趣旨)。

(3)原告は、平成11年3月1日、被告との間で、本件建物の○○○号室(23.76平方メートル。以下「本件貸室」という。)を次のような約定で賃貸する旨の契約(以下「本件賃貸借契約」という。)を締結した。なお、本件貸室は、それ以前から、被告ないしその関連会社である甲株式会社に対しいわゆる借上社宅として賃貸され、これを被告従業員のD(以下「D」という。)が住居として使用してきていたのであり(同人は平成3年から本件貸室を住居として使用してきた。)、本件賃貸借契約は従前の賃貸借契約が更新されたものである。
 〈1〉期間 平成11年3月1日から平成13年2月28日まで
 〈2〉賃料 月額4万8000円、毎月28日限り翌月分払い
 〈3〉敷金 8万6000円(受領済み)
 〈4〉使用上の注意義務(賃貸借契約書(甲第1号証)第5条)
 被告は、本件貸室を善良なる管理者の注意義務をもって使用しなければならない。

(4)平成13年1月9日、本件貸室においてDが自殺しているのが発見された(以下、この自殺に係る事故を「本件事故」という。)。

(5)原告と被告は本件賃貸借契約を平成13年2月28日をもって解約することに合意し、被告は、同日、原告に対し本件貸室を明け渡した。

(6)なお、上記合意解約に当たり、原告は、被告に対し、平成13年2月1日付け「解約精算明細書」(甲5)を送付して、本件貸室の同月分の賃料とその遅延損害金計4万8075円及び「修繕費」50万2635円の合計額から敷金8万6000円を控除した残金46万4710円の支払を請求した。そこで、被告は、同月9日、原告に対し上記46万4710円を支払った。

2 原告の主張
(1)原告は、本件貸室について、本件事故がなければ月額4万8000円で賃貸することができたが、本件事故があったために、10年間にわたり月額2万4000円でしか賃貸することができなくなり、計288万円の損害(得べかりし利益の喪失)を受けた。

(2)上記損害は、本件賃貸借契約における被告の債務不履行、すなわち、善良なる管理者の注意をもって本件貸室を使用し保存すべき債務(賃貸借契約書第5条、民法400条)の不履行によって生じたものであることが明らかである。なお、本件賃貸借契約における債務の履行について、Dは被告の履行補助者に当たる。

(3)原告は、平成13年1月17日ころ、被告に対し、上記損害を賠償するよう催告した。

3 被告の主張
(1)本件のような事故があったからといって、直ちに賃料収入の減少を来すものではない。少なくとも、原告主張のように、半額になるとか、10年間もの長きにわたって続くということはない。

(2)本件賃貸借契約における実質上の賃借人はDであり、同人は被告の履行補助者ではない。
 本件事故は、Dの自殺という特殊かつ異常な行為によって生じたものであり、被告においてこれを防ぎ得る術はなかった。本件のようなDの行為につき、履行補助者の故意過失として被告の故意過失と同視することはできない。

(3)和解契約
 原告と被告は、平成13年2月9日までに、被告が原告に対し前記1(6) のとおり「解約精算」金として46万4710円を支払うことにより、本件事故による損害の賠償を含めて本件賃貸借契約に係る原、被告間の債権債務関係はすべて解決済みとすることに合意した。
 すなわち、本件賃貸借契約の合意解約に当たり、原告は、当初、被告に対し、原状回復費用68万9010円及び本訴請求に係る288万円の支払を求めたが、被告が、後者は認めず、前者について50万2635円の限度で認める旨の回答をしたところ、これを受けて、何らの留保をすることなく、前記1(6) のような「解約精算明細書」を送付してきたのであり、このような経過に照らすと、上記のとおり和解契約が成立したものとみるのが相当である。


以上:2,860文字

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