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過払金返還請求における悪意の受益者について判例変遷

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平成21年10月 9日:初稿
○現在、訴訟手続中の過払金返還請求事件における悪意の受益者についての備忘録です。
過払金返還請求権の根拠
過払金返還請求権及びこれに対する損害金請求の根拠は民法の以下の条文です。
第703条(不当利得の返還義務)
 法律上の原因なく他人の財産又は労務によって利益を受け、そのために他人に損失を及ぼした者(以下この章において「受益者」という。)は、その利益の存する限度において、これを返還する義務を負う。

第704条(悪意の受益者の返還義務等)
 悪意の受益者は、その受けた利益に利息を付して返還しなければならない。この場合において、なお損害があるときは、その賠償の責任を負う


 利息制限法と言う法律の規定に違反した利息を取って利益を受けたサラ金業者は、本来支払わなくても良いお金を利息名下に支払って損失を受けた顧客に対し、その違反利息分を返還するのが過払金の返還です。

・悪意の受益者とは
「悪意」とは,その利得が法律上の原因のないものであることを知っていることです。
 サラ金業者は、プロの貸金業者ですから、利息制限法を当然知っているはずで、この法律に違反して制限違反の利息を取っていたのだから,当然、「悪意の受益者」になり、受けた利益に対し、利息の支払と更に損害賠償責任があるはずです。

・貸金業法43条1項(みなし弁済)との関係
貸金業者が業として行う金銭を目的とする消費貸借上の利息の契約に基づき、債務者が利息として任意に支払つた金銭の額が、利息制限法第1条第1項に定める利息の制限額を超える場合において、その支払が次の各号に該当するときは、当該超過部分の支払は、同項の規定にかかわらず、有効な利息の債務の弁済とみなす。
 ところが、上記のとおり「債務者が利息として任意に支払つた金銭」は「有効な利息の債務の弁済」とみなされるため、サラ金業者は利息制限法違反利息の受領もこの「みなし弁済」で有効な利息と信じていたので「悪意の受益者」にはならないと主張し、話はややこしくなっていました。

・平成18年1月13日最高裁判決
 債務者が利息制限法1条1項所定の制限を超える約定利息の支払を遅滞したときには当然に期限の利益を喪失する旨の特約(期限の利益喪失特約)の下で制限超過部分を支払った場合,その支払は原則として貸金業法43条1項(みなし弁済)にいう「債務者が利息として任意に支払った」ものということはできないとしました。

・平成19年7月13日最高裁判決
 貸金業者が制限超過部分を利息の債務の弁済として受領したが,その受領につき貸金業法43条1項の適用が認められない場合,当該貸金業者は①同項の適用があるとの認識を有しており,かつ②そのような認識を有するに至ったことについてやむを得ないといえる特段の事情があるとの2要件を満たさない限り,「悪意の受益者」と推定されるとしました。

 この2つの判決で、サラ金業者は,ほぼ「悪意の受益者」で決まりとなるはずでした。ところが、以下の厄介な判決が出されて事態は逆転しました。

・平成21年7月10日最高裁判決
 上記平成18年1月13日判決(平成18年判例)によってはじめて期限の利益喪失約款付取引におけるみなし弁済の成立が否定されたので,その平成18年判例より前に貸金業者が過払金を受領していたとしても,単にそれが貸金業者であるというだけで悪意の受益者であったとは言いきれないとしました。

 同判例は、貸金業者は、みなし弁済の成立を否定した平成18年判例が出されるまでは,みなし弁済が成立すると認識していたとみることもやむをえないので,少なくとも同判例が出される以前の過払金については,貸金業者と言うだけで、「悪意の受益者」と推定できないと言います。

 従って,少なくとも平成18年1月13日以前の取引に関しては、「悪意の受益者」と言うためには、単に貸金業者だけでなく、「悪意」であったことの具体的事実の主張が必要になり、大変厄介なことになりました。
以上:1,631文字

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