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通路を見逃して決められた最低売却価額が違法とされた例解説

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平成19年 1月17日(水):初稿
○「通路を見逃して決められた最低売却価額が違法とされた例」事案概要は以下の通りです。
・昭和38年12月、Aは、Bから競売対象となった土地(以下、本件土地と言う。右図赤色部分)を代金49万円で、同時に本件土地から公路に至る通路部分として隣接する幅員2.8mの3筆の土地(内1筆はB名義、2筆はC名義、以下通路用地と言う。右図青色部分)の共有持分権3分の1をB、Cから代金3万円で買い受け、通路用地について、A・B・C3者で、隣接する土地の通路として使用することの合意書を作成した。

・Aは本件土地の所有権移転登記をするも通路用地の3分の1の共有持分権は、未登記のまま放置していた。またAは本件土地に家を建てるつもりだったが他所に居宅を購入したため、本件土地は空き地として放置していたところ、昭和58年、友人経営の会社がT銀行から融資を受ける際の担保に提供を依頼され、本件土地についてのみT銀行のために抵当権を設定していた。

・ところが友人経営会社は、間もなく倒産してT銀行の借入金債務返済が出来なくなり、昭和59年に本件土地が競売にかけられた。空き地となっていた本件土地を物件調査に来た執行官は、隣接地所有者で本件土地の元所有者であるBにその範囲等を確認したとき、通路があることを報告しなかったため、執行官は囲繞地(盲地)と認定し、評価人(不動産鑑定士)も盲地として通常の半値の金342万円と評価した。

・この事情を知らないAは、T銀行に600~700万円に任意売買したいので競売手続を延期して欲しいと要請していたが、T銀行はこれを無視して、手続を進め、最低競売価額金342万円として入札期間が定められ、元所有者Bの長男Dが金360万円で売却許可決定を受けた。


○Aは、本件土地を通路用地付きで自分に売却したBの長男Dが、通路がないと認定されたことで通常時価の半額の金額で買い受けたことに驚き且つ怒って私に売却許可決定を覆して欲しいと依頼してきました。

○私は直ちにA代理人として仙台高裁に対し、Dへの代金360万円での売却許可決定について執行抗告を申し立て、合わせて3筆の通路用地の内2筆の所有名義人Cと交渉して3分の1の共有持分権登記移転手続を行い、更に1筆の所有者であるBに対し、3分の1の共有持分権登記手続移転登記手続訴訟を提起しました。

○執行抗告の書証としては、Aの報告書、通路用地の内C名義2筆のA共有持分3分の1が記載された登記簿謄本、Bに対する訴状、本件土地についての金600万円での買付証明書等を提出し、更にT銀行に対しDへの売却許可決定の取消要請書提出のお願いしましたが、T銀行はメンツのためか提出してくれませんでした。とんでもない銀行だ思いましたが、この銀行はバブル破綻後倒産しています。

○高裁での審尋手続にDが出頭し、裁判官に対し通路があるなど全く知らなかったとしらを切りましたが、DはBと同居する長男であり、知らないはずが無く、執行抗告申立半年後に、仙台高裁は売却許可決定取消決定を出し、Aは、T銀行と交渉して競売を取り下げて貰い、本件土地と通路用地を600万円で売却し、連帯保証債務を完済することが出来ました。
以上:1,308文字

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