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英国旅行記5

平成 1年11月30日(木):初稿 平成17年 1月 8日(土):更新
女性ソリシタの恐怖の手料理
 夕方エジンバラ見物を終えグラスゴーのベニー宅へ戻る。ベニー宅へは、ベニーの同僚の女性ソリシタのミス・アンが来て料理を作っていた。私はバーバリーのセーターを購入して着替えていたことに安堵。運動着の上衣姿では英国レディになんと思われたことか。

 我々はビールを飲みながら彼女の手料理が出てくるのを楽しみに待つ。最初に名前の知らない緑の葉で、のり巻のように蒸した米をくるんだものが3個出てきた。私は一口食べて愕然とした。圧倒的まずさである。得体の知れない香料が染み込んで、しょっぱいのか苦いのか不明なとにかく吐き出したくなるような味だ。私はどうにか我慢して一個食べ終えたところでベニーが台所から出てきた。ニコニコしながら「ミス・アンの作ったものだが味はどうだ?」と聞く。私は顔を引きつらせながら「グット」と答える。何とか2個は食べたが3個目がどうしても食べられない。隣の鈴木氏はほどなく3個食べ終え、私が残り一個食べあぐねているのを見て私の分もパクリと口に入れる。私は鈴木氏に「うまいか?」と聞くと鈴木氏は「まずいけれども、出されたものは全て食べるのが作ってくれた人に対する礼儀だ。前のドイツ旅行の時も口に入れると吐き気をもよおすものを出されたが、全部食べた。」と言って私を非難の眼差しでみる。私は鈴木氏の心優しさに頭が下がる思いがした。

女性ソリシタとの論戦
 ようやく鈴木氏の援助により前菜を食べ終えたとき、ベニーとミス・アンが料理を作り終え、食事をしながらの英会話が始まる。鈴木氏の通訳も交えながら互いの仕事の話をしているうちに女性と職業の話に話題が移る。ミス・アンは女性弁護士だけあって女性も職業を持ってどんどん社会に出るべきであると主張。私は次のような論理の飛躍した独善的持論を主張。

 女性が社会に出ることは反対ではないし又、職業女性をそれなりに尊敬する。しかし、昔から言われた男は仕事、女は家事という役割り分担を男女平等に反していると考えることは家事を不当に低く見るもので間違いだ。男の仕事と同程度に女の家事も重要な価値のあるものであり、男が仕事、女が家事をすることは互いに同程度の価値のあることを分担するのであり、決して男女不平等ではない。もし男が職業婦人と結婚した場合は、男も家事を女と平等に分担する責任がある。しかるに一般的には男は職業婦人と結婚しても、自分は家事を分担せずに女に仕事と家事の過重負担を強いることが多い。私はかような無責任な男になりたくない。私には家事能力がなく家事を分担する自信もないので無責任に女が社会に出るべきとの主張は出来ない。男が仕事、女は家事という役割分担が神の造った自然の摂理に適うものであり、又実質的な男女平等と言える。又、女が家事を分担することについて女として目覚めていないとか、遅れているとかの否定的評価をすることも間違いである。男女平等は形式的に考えるべきでなく男女の特質を考慮して実質的に考えるべきだ。
(※注;バツいち独身であった当時はこのように考えていましたが、公務員のかみさんと再婚した現在は、かみさんの強く逞しい姿を目の当たりにして、女性もどんどん社会に出るべきとの考えに変わっており、長女には、決して男に頼るだけの人生は送るな、繰り返し伝えております。)

 右のようなことを鈴木氏の通訳に補助してもらいながら私のブロークンイングリッシュで話すと通じたのかどうか、ミス・アンは「それならあなたは価値ある家事労働に対価を払うのか?」と痛いところを突いてくる。私は笑ってごまかしながら「キャシュ」は払わないがもっと価値のある「気持」で払うと言うと、彼女は全て見透かしたかのように首を振りながら大笑い。彼女は仕事の他にスキーやテニスも好きという積極派人間で次の機会には是非テニスマッチをしようとの約束をしてその夜の論争は友好裡に終わった。

 右の会話を通じて英語での抽象的な議論は非常に難しいということを痛感した。日常会話は英国人とほとんど不自由なく話せるさすがの鈴木氏も抽象的議論の通訳は難しいという。抽象的議論を英国人と対等に交わすには、一層の文法力を含めた語彙力が必要であると鈴木氏も感じたようである。

インバネスからネス湖へ
 翌日はインバネス行きである。列車のチケットやホテルについて全てベニーがセッティングしてくれた。インバネスはスコットランド北部ハイランドの首都でネス川河口の町という意味の名のとおりネス湖観光の基地として有名である。我々はインバネス到着後、レンタカーでネス湖へ向かう。ネス湖はインバネスの南に位置する。しかし我々はできる限り多くのスコットランドの町並を見ようと、いったん北上。地図を頼りに2~3の町を巡りスコットランドの町並、農村風景を楽しみながら南下。

 しかし行けども行けどもネス湖が現れない。道はだんだん狭くなりどうやら山奥に向かっている様子。「日本人中年男性2人連れがスコットランドの山奥で遭難」との恥ずかしいニュースが流れるのではと不安がよぎる。幸い道端に停車している家族連れの乗った対向車を発見。直ちに地図を広げてネス湖への道を聞く。我々は南下していたつもりが実は西進していたことが判明。すぐにUターンし軌道修正。途中で2人連れのフランス人ヒッチハイカーを拾って無事ネス湖に到着したのは午後の7時30分。しかし日本の感覚ではまだ午後3時位の明るさ。神秘の湖と言われるネス湖も行ってみると普通の湖。天気が良かったせいか神秘性はほとんど感じない。湖畔に建つウルクハート城の廃墟に時間外で入場できなかったのが残念だった。湖畔のネッシー博物館脇の池に浮いていたネッシーをビデオに収める。鈴木氏はネッシー騒ぎは英国観光局の陰謀だとしたり顔で説明する。

ベニーのお母さんの家へ
 翌日はインバネスで買物をしてグラスゴーへ戻り、ベニーのお母さんの家を訪ねる。彼女の家はベニーの家から車で5分程グラスゴー中心部に向かった所にある。100年以上前に建てられたものをベニーのお父さんが35年前に購入したとのこと。レンガ造りのがっちりした建物であと100年以上はもつだろう。日本の家屋との違いを確かめるために各部屋をビデオ撮影。全ての部屋が日本の一般住宅に比べてゆったりした間取り。バスルームだけで少なくとも6畳間はある。廊下や階段には全て分厚いじゅうたんが敷き詰められている。いずれの部屋もゴチャゴチャ物は置かずシンプルに飾ってある。
庭は緑の芝生が敷き詰められ周りが  の葉で作られた高さ1メートル幅30センチメートル位の垣根で囲まれており、いずれも実によく手入れがなされている。おそらくベニーのお母さんの家がグラスゴーの平均的なものと思われるが、生活の余裕とそれに伴う落ち着きがどっしりとした建物自体とその内外の雰囲気から感じられる。広さは土地が200坪弱、建物が70~80坪位か。ベニーの話ではこれと同程度の土地建物は日本円で2000万円位で買えるとのこと。日本だったら一体いくらになることやら。


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