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英国旅行記1

平成 1年11月30日(木):初稿 平成17年 1月 8日(土):更新

英国(香港)撮影旅行紀




はじめに
平成元年8月20日午後5時20分、私は当時発売されたばかりのソニー製世界最小最新型8ミリビデオムービーTR55を携え、数年来の遊び仲間の鈴木澄男氏と香港・英国に向けて旅立った。鈴木氏は3年前に英国を除くヨーロッパ各国を2ケ月間一人旅し、2年前には米国を2週間旅行した海外旅行のベテランである。それに対し私は、数年前に全てお膳立ての整ったパックツアーで海外に出たことはあるが、自力で計画する海外旅行は初めてである。

英国旅行のきっかけとなったスコットランド人弁護士
 我々は次のような経緯で英国旅行をするに至った。
 一人の英国人ブレンダン・マクムラン氏(グラスゴー市在住昭和63年当時37才、以下愛称のベニーという)が合気道修業のため昭和63年5月から11月まで半年間仙台に滞在した。彼はグラスゴーのソリシタ(事務弁護士)である。彼は日本の法廷制度も勉強したいとのことで、日弁連に申し込み、日弁連国際交流委員会から当会の藤田紀子弁護士に紹介され、ついでに同弁護士から私に紹介された。

 ご存知のように、英国は弁護士2元主義を採用し英国の弁護士はバリスタ(法廷弁護士)とソリシタ(事務弁護士)の2種に分かれている。尚、この制度は日弁連の「西欧諸国の法曹養成制度」に詳述されているので詳しく知りたい方は同書を読まれたい。 ベニーから事情を聞いた範囲では、イギリスのソリシタは日本の弁護士と比べると次のような特徴がある。
 ①ソリシタは日本で言うと行政書士、司法書士、弁護士をミックスしたような仕事をする。
 ②ソリシタは原則として法廷活動はできないが、実際は日本で言う簡易裁判所に相当する下位裁判所では弁論活動が可能で、多くの裁判事件も扱っている。
 ③ソリシタはバリスタに比べて数が多く(前掲書によると英国全体で1983年現在バリスタが約4560名、ソリシタは約3万6000名おり、ベニーの話では現在人口約120万人のグラスゴー市だけで約1500名のソリシタがいる)、その収入も社会的評価も日本の弁護士に比べると低い。


運転アルバイト依頼で気仙沼行き
 ベニーは合気道修業を主目的として日本に滞在しているが滞在費用に余裕がないので日本でアルバイトがしたいという。そこで私は、気仙沼出張の車の運転のアルバイトを頼んだのが彼と親しくなるきっかけであった。
 初めて彼を運転手として気仙沼の実家に連れて行ったとき、77才になる親父は、青い目の運転手を見て目を白黒させて驚いた。それでも私の家族は、気仙沼の浜料理をごちそうするとカタコトの日本語で「おいしい、うまい」を連発するサービス精神旺盛な彼を気に入り、彼はいわば大歓迎を受けた。

 彼の運転で仙台に帰り約束のアルバイト料を渡そうとすると彼は頑として受け取ろうとしない。その理由は、今日の運転は仕事とは言えないからという。気仙沼で私の家族の大歓迎を受け、又運転中の車の中では私のブロークンイングリシュと彼のブロークンジャパニーズで互いの国の法曹事情や趣味の映画の話までし、大変楽しくかつ勉強にもなったからとても仕事をしたとは言えない。だから絶対にお金を受け取れないと最後まで頑張り、結局車の運転は無償奉仕に終わった。
 彼は、私の気仙沼の家族が好きになったのでこれからは、気仙沼に行くときは時間があるときはアルバイトとしてではなく友人として運転を手伝うので遠慮しないで言ってくれとまでいう。私は、ベニーのあまりの調子の良さに多少不安になる位であった。実は紹介者の藤田紀子弁護士は、ベニーがあまりに気さくで調子が良すぎるので本当は弁護士ではなく詐欺師ではないかとの疑いを持ち、日弁連に問い直して正真正銘のイギリスのソリシタであるという確認をとったことがあったとのことである。

英会話レッスンの開始
 運転のアルバイトを依頼したことをきっかけとして私はベニーと意気投合して大の友人となった。しかし私は英語が堪能であったため彼とコミュニケーションが成立した訳ではない。私は中学校までは英語を得意としていたが、高校・大学と内容が難しくなるに連れ、英語が嫌になりむしろ不得意科目と変わった。そして大学の教養部時代はほとんど英語の授業には出席せず試験だけ受ける有り様であった。もちろん成績は全て合格スレスレのCである。大学3年以降はベニーに会うまでは、英語に触れることは全くと言っていい程なかった。ベニーと会った時は、私の英語は殆ど忘却のかなたにあった。だから最初のベニーとの会話は英和兼和英辞典を片手に持っての単語会話である。それでも身振り手振りを交えると何とか通じる。ベニーの運転で数回気仙沼に出張をしたが、いずれも辞書片手の英会話学習を兼ねたものである。ベニーは極めて感の良い男で、私がブロークンイングリシュを片言話すとたちどころに言いたいこと全てをキャッチし正しい英語に訂正してくれた。本当なら運転料の他に英会話レッスン料も払わなければならなかった。

 今回の旅行に同行した鈴木澄男氏は、私の数年来の友人で、現在法経専門学校の講師、行政書士、不動産業を営み冬はスキーインストラクターとしても活躍する多角経営職業人であり、私と違って英語もペラペラである。最初にベニーを藤田紀子弁護士に紹介されたときは彼が通訳してくれた。鈴木氏はベニーから仙台滞在中の部屋探しを頼まれ、鈴木氏の友人I氏所有のマンションの一室を、部屋代はI氏への英会話レッスンで期限は仙台滞在中との条件で斡旋した。ところがI氏が多忙でほとんど英会話のレッスンが出来ず、実質は賃料無料の部屋を斡旋したことになった。


 ベニーは仙台の滞在費を得るために英会話教室をしたいと希望した。私は彼と知り会い、せめて日常会話位の英会話は出来るようになりたいと思い始め、友人数名を集めて生徒となり、私の事務所で週1回の英会話教室を開いた。もちろんこれは有料である。又鈴木氏はベニーのために他にも英会話の生徒を集めてやり、ベニーの滞在費稼ぎを援助してやった。これらの付き合いの過程で私と鈴木氏はベニーの気さくで人なつっこいけれども決して人に甘える一方ではなく、律儀で義理堅くかつ他人に対する気配りを忘れない彼の人柄にすっかり惚れ込んだ。そして11月に彼が仙台を離れるときは、藤田弁護士の紹介をきっかけとして彼と知己を得た10名程が集まり送別会を開き、来年は我々がスコットランドに行くと約束をした。尚、気さくなベニーは我々のグループの他に合気道グループを初め英会話教室の生徒の県庁グループやおばさんグループなどの仙台に多くの友人を作り、各グループ毎に送別会が開かれ仙台を離れる時は大変忙しかったようである。
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