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久しぶりに山月記を読んで-自縄自縛の怖さ実感

平成21年 3月17日(火):初稿
趣味の暗記用コンテンツに中島敦氏の「山月記」を4回に渡って掲載し、どこまで暗記できるか試しに繰り返し読んでみました。読み込むほどになかなか良くできた小説だと感心し、「時に、残月、光冷(ひや)やかに、白露は地に滋(しげ)く、樹間を渡る冷風は既に暁の近きを告げていた。」なんて言う文体の流麗さ,かっこよさに感嘆しました。

「山月記」でグーグル検索をかけると7万6000件も出てきますが、その中に「『山月記』はその崇高かつ美しい音を持つ漢文調の文体の響きが、耳に心地良く、何度も読みたくなってしまうほどであり、全文を暗誦できる人も意外に多い。声を出して読んでみる事をお勧めする」なんてのもあり、やはり全文暗記を試みる方が多いようです。

○私の暗記部分はまだ最初の一文「潔しとしなかった」辺りまでですが、何しろ、その名調子は声に出して読んでも気分が良く、徐々に暗記部分を増やしていこうと思っております。しかし、私の能力では全文暗記なんて到底無理で、前記「時に、残月、光冷(ひや)やかに……」等特に名調子で、気に入った箇所だけでも少しずつ暗記しようかと思っています。

○この「山月記」の李徴さん、「博学才穎」でプライドが高すぎたところで人生を狂わしてしまいましたが、私はこれを読んで、私自身小さいときから「お前は出来が悪い」と言われ続け、実際自分でも「俺は普通の人より能力が劣っている」と実感させられたことの幸運を感じました。この「普通の人より劣る」という意識が「普通の人と同じことをしていたのでは人並みにはなれない」との意識を呼び、多少は努力する姿勢を持つようになったからです。

○この李徴さんも努力するという姿勢では私なんぞより遙かに強いものですが、自分は他人より優れた特別の人間であるとの思い込みが災いしました。これが他人の言うことを聞かない頑固な姿勢となりこれを「性、狷介」と表していますが、この「狷介」と言う言葉が高校1年生の時初めて教科書で触れて以来妙に記憶に残っています。意味は「頑固で自分の信じるところを固く守り、他人に心を開こうとしないこと。」ですが、何事においても、この姿勢は、自縄自縛に陥り道を閉ざすことを実感しています。

「山月記」の「名を虎榜に連ね」も強く印象に残っています。これは中国の過酷な官吏登用試験「科挙」に合格したと言う意味で、当時、現代の科挙と呼ばれた司法試験を目指す切っ掛けにもなったからです。私の場合、幸い前記「普通の人より劣る」ので「普通の人と同じことをしていたのでは人並みにはなれない」との意識が強く、「他人に心を開こうとしないこと」とは全く正反対に、見ず知らずの方を師匠として指導を受け、更に受験新報で知った多くの方々、中には同じ気仙沼高校出身者で先に合格した1年後輩の方にまで指導を乞う手紙を書き、その指導を受けました。

○繰り返し記載していますが、「評価欲求」が人間の根源的欲求と確信し、私自身その欲求は人並みに持っているつもりですが、つまらぬプライドは捨て、万物これ師匠の精神で、今後も益々、周囲の方々のお世話になっていくべきと思った次第です。
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