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預金使い込み-被相続人預金の一部相続人による使途不明金問題

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平成30年 7月 9日(月):初稿
○遺産分割で良く問題になるのが、被相続人と同居し、或いは、最も頻繁に連絡を取っていた相続人の一人が被相続人生前に被相続人名義預金の払い戻しをして自分のものにしていたので、その相続人の取得分から控除できないかということです。被相続人名義預金の払戻による使途不明金問題で、その払戻した現金を贈与されたのであれば特別受益の問題になり、その払戻しが被相続人に無断でなされたのであれば横領であり不法行為乃至不当利得として被相続人がその払戻をした相続人に返還請求権を有することになります。

○この被相続人名義預金の使途不明金がある場合の遺産分割事件では、払戻をした相続人に対し、使途不明払戻金の説明を求めると、自分は払戻をしていない、或いは払戻をしたが払戻後被相続人に渡しておりその後は判らない、或いは、被相続人から贈与された・お世話をしたことの対価として受け取った等の弁解をします。

○最後の贈与されたとの弁解に対しては、他の相続人もそれを認めるのであれば特別受益の問題になり、遺産分割の調停或いは審判も可能です。しかし、他の相続人が贈与なんてないはずだ或いは対価の約束などないはずと否認し贈与の有無が争いになる場合、或いは払戻後被相続人に渡した、或いは払戻自体を否認し、他の相続人との見解が異なる場合は、遺産分割でこの問題を解決することはできません。

○払戻をした相続人と他の相続人の見解が異なる場合は、他の相続人は払戻をした相続人に対し、被相続人名義預金の横領があったと不法行為に基づく損害賠償請求をするか、不当利得返還請求を家庭裁判所ではなく地方裁判所に訴訟提起しなければなりません。損害賠償請求或いは不当利得返還請求は訴訟事件であり、非訟事件の遺産分割とは手続が異なるからです。

○遺産分割調停申立事件で、この預金使い込み-被相続人預金の一部相続人による使途不明金問題があり、この点について合意ができない場合、この問題の解決は先ず地方裁判所に訴訟を提起して解決しなければなりません。そのため家裁からは、遺産分割調停はいったん取り下げて使途不明金問題を解決してから再度遺産分割調停を申立して下さいと勧告されるのが普通です。但し、この問題は訴訟に移行し、現存する他の不動産等の遺産分割だけを行うことは可能です。

○問題は、払い戻した相続人に対する被相続人からの贈与を認めて特別受益としてその相続人の取得分から控除すべきと主張する場合です。特別受益とは、「婚姻若しくは養子縁組のため若しくは生計の資本として贈与」を受けた場合であり、通常、払戻を受けた相続人は、自分が特別に被相続人を世話した対価として贈与を受けた等の贈与を受けるべき特別の事情があったので「生計の資本」ではなく特別受益には当たらないと主張することが多くあります。

○払戻を受け他の相続人より多くの預金を受領しながら、「特別受益」には当たらないと判断され、それがその相続人の取得分から控除されないと判断された場合、他の相続人としては到底納得できません。従って一部相続人が払戻をうけて使途不明金となっている場合は、他の相続人は、この問題については地裁で訴訟を提起して徹底審理して貰った方が、納得を得るためには得策です。中途半端に贈与を認め、「特別受益」非該当として控除されない場合、いったん贈与を認めているため不法行為にも不当利得にも該当しないと判断される可能性があるからです。

○この問題については、「預金の使い込み(不当利得返還請求・損害賠償請求)」「生前に引き出された預貯金をめぐる訴訟の問題(引出の権限)」が参考になります。
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