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財産管理処分信託契約公正証書のサンプルから

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平成27年11月28日(土):初稿
○「信託法の基礎の基礎-信託行為の基本的定義等」の続きです。
遠藤英嗣公証人著「新しい家族信託」を読み始めましたが、なかなか理解が進みません。説明文だけでは、具体的イメージが湧かないからです。そこで、同書内の信託契約書サンプルを探しました。現在、検討を要請されているのは身体が不自由で自由に動けない高齢者が、一定財産を有しているところ、この財産を他人に信託財産として提供して、自分の生活費として適切に管理・活用して貰う方法です。

○同書432頁に参考文例-4として、高齢の委託者が、収益のある不動産や老後のために貯蓄した金融資産を確実に管理・活用して自分と妻の老後の生活を守るための信託契約例文が掲載されています。この場合、委託者は、任意後見契約を締結し、この契約に基づき任意後見監督人が選任されたときに信託が開始・発行するスキームとのことです。以下、同書433頁記載財産管理処分信託契約公正証書サンプルを全文引用します。

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財産管理処分信託契約公正証書

本公証人は、委託者S(以下「委託者」という。)及び受託者T(以下「当初受託者」という。)の嘱託により、平成○○年○○月○○日、次の法律行為に関する陳述の趣旨を録取し、この証書を作成する。

第1条(信託の目的)
 本信託は、次条記載の信託財産を管理運用しその他本信託目的達成のために必要な行為をして第4条記載の受益者(以下「受益者」という。)に対し、必要な財産の給付等を行い、その生活を支援しかつ福祉を確保することを目的とする。

第2条(信託契約及び信託財産)
 委託者は、当初受託者に対し、次の不動産(以下「信託不動産」という。)及び預貯金等金融資産(以下「金融資産」という。)を信託財産として信託し、当初受託者はこれを引き受けた(以下「本信託」という)。
(1)信託不動産(駐車場用地)
(2)信託金融資産
①○○銀行○○支店扱いの預貯金(口座番号○○○○○)
②○○信託銀行○○支店扱いの定期預金債権(取引番号○○○○)
③○○証券会社○○支店扱いの預託有価証券(取引番号○○○○)
2 信託財産は、前項の財産のほか、受託者(当初受託者及び次条第2項の後継受託者をいう。以下同じ)の要請に基づき委託者もしくは受益者が追加した財産も含むものとする。
3 本契約は、受益者Sにつき、任意後見監督人選任の審判の申立もしくは後見開始または保佐開始の審判申立があったとき、またはSが死亡したときにその効力が発生する。

第3条(受託者)
 本契約の当初受託者は、次の者とする。
 住所 職業 (略)
 受託者氏名 T(昭和○○年○月○○日生)
2 当初受託者が死亡するなど任務終了事由が発生したときは、次の者を指定する。
 住所 職業 (略)
 受託者氏名 T2(昭和○○年○月○○日生)

第4条(受益者及び受益権)
 本信託の受益者は、委託者S及び配偶者B(昭和○○年○月○○日生)とする。
2 本信託において受益者が上記2名のとき、受益者Bが取得する受益権(割合)は、Sが負担する婚姻費用の範囲内とする。
3 本信託の受益権は、譲渡T質入れ等すること及び分割することは出来ないものとする。
4 本信託の受益権は、相続により承継しない。

第5条(信託の期間)
 本信託の信託期間は、次の各号のいずれかに該当したときまでとする。
(1)受益者S及びBの両名が死亡したとき
(2)信託財産が消滅したとき

第6条(信託財産の管理及び給付の内容など)
 受益者は、受益者が相当と認める方法により、信託財産の管理及び処分、その他本信託目的達成のために必要な行為を行い、信託金融資産から公租公課、信託事務処理代行者に対する報酬、損害保険料、信託不動産の営業修繕費その他の必要経費を支払いまたは積み立て、その上で、受益者(なお、受益者に任意後見人、成年後見人、保佐人が付されている場合は、これらの任意後見人等)の意見を聞き、受託者が相当と認める金額、時期及び方法により、受益者に対し生活費、医療費及び施設利用療費を支払う。
2 信託不動産は、駐車場として賃貸するものとするが、前項により給付等する金銭が不足する場合は、受益者又は受益者の任意後見人等(以下単に「受益者等」という。)と協議し、受託者において相当と認める金額、時期及び方法によりこれを換価処分することができるものとし、処分により取得した財産は信託財産とする。

第7条(その他管理等に必要な事項)
 信託財産の管理運用等に関する事項は次の通りとする。
(1)信託不動産については、受益者Sまたは受益者Sの任意後見人等と受託者により本信託に基づく所有権移転登記及び信託の登記手続を行い、その余の信託財産についても信託に必要な名義変更(記載又は記録)等を行うこととする。
(2)保存、管理運用に必要な措置は、前条第2項のほか、受託者の判断によりこれを行うものとする。
(3)受託者は、本信託の事務(以下「信託事務」という。)の処理につき特に必要な場合は専門的知識を有する第三者(以下「信託事務処理代行者」という。)に委託することができる。この場合、受託者は受益者の意見を聞くものとする。
(4)受託者は、本信託の開始後速やかに、信託事務の計算及び信託財産にかかる帳簿等を作成するものとする
(5)受託者は、本信託の開始後速やかに、①貸借対照表、②損益計算書、③財産状況開示資料を作成し、受益者等に対して以後1年ごとにその主な内容を書面にて報告する。
(6)受託者は、受益者等から報告を求められたときは速やかに求められた事項を報告するものとする。
(7)受託者は、信託事務を処理するために必要と認められる費用(公租公課、信託事務処理代行者に対する報酬、信託不動産の営繕費、損害保険料、不動産管理手数料、旅費等を含む。)(以下「信託事務処理費用」という。)を受益者等に対して前払いを受ける額及びその算定根拠を通知せずに信託財産に属する金銭から支弁または収受することができる。
(8)受託者は、信託財産に属する金銭が信託事務処理費用を支弁するに足りない場合には、受益者との合意により、不足する信託事務処理費用相当額の支払いまたは追加信託を請求することができる。ただし、この場合は、受益者等に対して支払を受ける額及びその算定根拠を証憑に基づき明らかにするものとする。

第8条(受託者の地位)
 委託者及び受益者は、以下の各号に定める場合を除き、受託者を変更することはできない。
(1)受託者が本信託に基づく義務を履行せず、または本信託の重大な事項に関する規定に違反した場合
(2)受託者が本信託上の義務を履行できなくなった場合
(3)受託者につき、破産手続開始、民事再生手続開始の申立が行われた場合
2 受託者は、善良なる管理者としての注意義務をもって事務処理を行うものとする。

第9条(契約に定めのない事項の処理及び契約の変更)
 本契約の条項に定めのない事項は、本条第3項の定めを活用するほか、信託法その他の法令に従うものとする。
2 委託者が死亡した場合は、委託者の権利は消滅し、その地位は相続しないものとする。
3 本信託の変更は、受益者又は受益者の任意後見人等と受託者の合意がある場合に限り公正証書によってこれを行うことができる。

第10条(清算受託者及び帰属権利者)
 信託終了時以降の清算受託者は、信託終了時の受託者を指定する。
2 期間満了により信託が終了したときは、清算受託者は、法令に従い現務を終了して清算手続を行い、信託財産について次項記載の帰属権利者に引き渡すなどの必要な手続を行う。
3 信託終了時の際の残余の信託財産は、○○及び□□に均等に帰属させる。ただし、一方が死亡していた場合は、残りの者に全て帰属させる。

第11条(信託報酬)
 本信託の受託者の報酬は、月額金○万円を上限として相当額を支払うものとする。

以上:3,192文字

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