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遺留分減殺請求権行使後の権利についての期間制限

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平成27年 2月12日:初稿
○「遺留分の譲渡・差押・代位行使について」に「遺留分減殺請求権を行使した場合の法的効果については諸説がありますが、裁判実務では形成的且つ物権的効果を持ち、減殺請求された財産は当然に遺留分権利者に帰属していたものと扱われます。」と記載していました。この説明について、「当然に遺留分権利者に帰属していたものと扱われる財産」は消滅時効にかかるかとの質問を受けました。

○シンプルな事案で検討します。被相続人A、相続人長男B・二男C、全相続財産(遺産)は時価4000万円の甲土地建物、預金4000万円のみで、Aが「全財産を長男Bに相続させる」との公正証書遺言書を残して平成20年4月1日に死去し、Cは、平成21年4月1日にこの公正証書遺言書の存在を知ったとします。Cの遺留分は4分の1です。

遺留分請求権の期間制限に関する民法規定は次の通りです。
第1042条(減殺請求権の期間の制限)
 減殺の請求権は、遺留分権利者が、相続の開始及び減殺すべき贈与又は遺贈があったことを知った時から1年間行使しないときは、時効によって消滅する。相続開始の時から10年を経過したときも、同様とする。


この条文記載の通り、CはBに対し、平成21年4月1日から1年以内に遺留分減殺請求意思表示をしない場合、また、平成30年3月31日を経過した場合、遺留分減殺請求権そのものが消滅します。

○Cが平成21年6月1日、Bに対し遺留分減殺請求権を行使した場合、甲土地建物の共有持分権4分の1がCに帰属し、Bの持分権が4分の3に減ります。4000万円の預金については、4分の1相当額1000万円と平成21年6月1日以降の利息がCに帰属することになります。

○消滅時効との関係は次の通りです。
遺留分減殺請求の結果、Cに帰属することになった甲土地建物共有持分権とこれに基づく登記請求権は時効によって消滅することはないとの平成7年6月9日最高裁判決があります。従ってBが自己所有物として占有を係属し取得時効が成立しない限り、Cは永久に権利を主張できます。但し、Cが登記する前にBが甲土地建物全体を第三者に売却して第三者名義に登記がなされると、対抗問題となり、登記のないCは原則として第三者に対し、共有持分権を主張できなくなり、その権利を失います(昭和35年7月19日最高裁判決、民集14巻9号1779頁)。

4000万円の預金については、おそらく、次のような処理になると思われます。
平成21年6月1日時点で、預金4000万円全額がD銀行に残っていた場合、CはD銀行に対し1000万円と平成21年6月1日以降の利息債権を取得します。
第1036条(受贈者による果実の返還)
 受贈者は、その返還すべき財産のほか、減殺の請求があった日以後の果実を返還しなければならない。

CのD銀行に対する預金債権は、一般の消滅時効にかかることは当然です。

平成21年6月1日時点で、既にBが預金4000万円全額払戻済みの場合、D銀行は弁済済みで預金債務はありませんので、Cは銀行に対し金1000万円の預金債権は取得しません。遺留分減殺請求の結果、Cに帰属すべき1000万円をBが払い戻して利得していますので、CはBに対し、不当利得として1000万円の返還請求権を有することになります。Bが返還義務を負う利息は、民法所定利率ではなく、平成21年6月1日以降の銀行約定利息になると思われます。Bは悪意の受益者とは評価出来ないからです。

この不当利得返還請求権は、一般の債権と同様に10年間の消滅時効にかかるはずで、平成21年6月1日から10年以内の最終的には訴えを提起しないと時効消滅します。この点明確に示した裁判例は見当たりませんが、当然のことで争いになった例はないと思われます。
以上:1,542文字

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