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遺産不動産共有持分権譲受第三者共有物分割訴訟認容最高裁判決全文紹介

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平成26年 2月14日:初稿
○「遺産共有と普通共有持分併存ケース平成25年11月29日最高裁判決解説」に続けて、この最高裁判決が引用する昭和50年11月7日最高裁判決(判時799号18頁、判タ329号115頁)全文を紹介します。「遺産不動産の共有登記と共有物分割訴訟の注意点」にも一部紹介していますが、遺産分割分野の重要判例なので全文を掲載し、その上で、別コンテンツで私なりの解説を試みます。

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主   文
原判決を破棄する。
本件を大阪高等裁判所に差し戻す。

理   由
上告人らの上告理由について
 上告人らの訴訟被承継人であるAが訴外Bからその有する本件土地建物の持分2分の1の贈与を受けてその共有権者になつたとし被上告人を相手として提起した共有権確認及び共有物分割訴訟につき、原判決は、本件土地建物は亡Cまたは亡Dの遺産であつて、被上告人と訴外Bが各2分の1の持分をもつて相続したものであるが、遺産の分割については当事者間においていまだ協議が調つていないことを確定したうえ、共有持分権の譲受人であつても遺産分割以前に遺産を構成する個々の財産につき民法258条に基づく共有物分割訴訟を提起することは許されないとして、Aの右訴を却下したものである。

しかし、共同相続人が分割前の遺産を共同所有する法律関係は、基本的には民法249条以下に規定する共有としての性質を有すると解するのが相当であつて(最高裁昭和28年(オ)第163号同30年5月31日第三小法廷判決・民集9巻6号793頁参照)、共同相続人の一人から遺産を構成する特定不動産について同人の有する共有持分権を譲り受けた第三者は、適法にその権利を取得することができ(最高裁昭和35年(オ)第1197号同38年2月22日第二小法廷判決・民集17巻1号235頁参照)、他の共同相続人とともに右不動産を共同所有する関係にたつが、右共同所有関係が民法249条以下の共有としての性質を有するものであることはいうまでもない。

 そして、第三者が右共同所有関係の解消を求める方法として裁判上とるべき手続は、民法907条に基づく遺産分割審判ではなく、民法258条に基づく共有物分割訴訟であると解するのが相当である。けだし、共同相続人の一人が特定不動産について有する共有持分権を第三者に譲渡した場合、当該譲渡部分は遺産分割の対象から逸出するものと解すべきであるから、第三者がその譲り受けた持分権に基づいてする分割手続を遺産分割審判としなければならないものではない。

 のみならず、遺産分割審判は、遺産全体の価値を総合的に把握し、これを共同相続人の具体的相続分に応じ民法906条所定の基準に従つて分割することを目的とするものであるから、本来共同相続人という身分関係にある者または包括受遺者等相続人と同視しうる関係にある者の申立に基づき、これらの者を当事者とし、原則として遺産の全部について進められるべきものであるところ、第三者が共同所有関係の解消を求める手続を遺産分割審判とした場合には、第三者の権利保護のためには第三者にも遺産分割の申立権を与え、かつ、同人を当事者として手続に関与させることが必要となるが、共同相続人に対して全遺産を対象とし前叙の基準に従いつつこれを全体として合目的的に分割すべきであつて、その方法も多様であるのに対し、第三者に対しては当該不動産の物理的一部分を分与することを原則とすべきものである等、それぞれ分割の対象、基準及び方法を異にするから、これらはかならずしも同一手続によつて処理されることを必要とするものでも、またこれを適当とするものでもなく、さらに、第三者に対し右のような遺産分割審判手続上の地位を与えることは前叙遺産分割の本旨にそわず、同審判手続を複雑にし、共同相続人側に手続上の負担をかけることになるうえ、第三者に対しても、その取得した権利とはなんら関係のない他の遺産を含めた分割手続の全てに関与したうえでなければ分割を受けることができないという著しい負担をかけることがありうる。

 これに対して、共有物分割訴訟は対象物を当該不動産に限定するものであるから、第三者の分割目的を達成するために適切であるということができるうえ、当該不動産のうち共同相続人の一人が第三者に譲渡した持分部分を除いた残余持分部分は、なお遺産分割の対象とされるべきものであり、第三者が右持分権に基づいて当該不動産につき提起した共有物分割訴訟は、ひつきよう、当該不動産を第三者に対する分与部分と持分譲渡人を除いた他の共同相続人に対する分与部分とに分割することを目的とするものであつて、右分割判決によつて共同相続人に分与された部分は、なお共同相続人間の遺産分割の対象になるものと解すべきであるから、右分割判決が共同相続人の有する遺産分割上の権利を害することはないということができる。このような両手続の目的、性質等を対比し、かつ、第三者と共同相続人の利益の調和をはかるとの見地からすれば、本件分割手続としては共有物分割訴訟をもつて相当とすべきである。

 したがつて、これに反する原審の判断には法令解釈を誤つた違法があり、その違法は原判決の結論に影響を及ぼすことが明らかである。
 なお、共有権確認の訴について、原審はなんら理由を開示することなく該訴を却下しているが、共同相続人の一人から遺産を構成する特定不動産についての共有持分権を譲り受けたと主張するAが右譲受を争う被上告人を相手として提起した共有権確認の訴が当然に不適法になる理由はないから、原審の右判断には法令の解釈を誤つたか理由不備の違法があり、この違法は原判決の結論に影響を及ぼすことが明らかである。
 よつて、原判決を破棄し、本件はなお審理をつくす必要があるから、これを原審に差し戻すべく、民訴法407条1項に従い裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。
(最高裁判所第二小法廷裁判長裁判官大塚喜一郎、裁判官岡原昌男、裁判官吉田豊、裁判官本林讓)

上告人の上告理由
一、控訴審は判決理由において遺産を構成する特定財産についてその共有物件が第三者に譲渡されても右譲渡によつて当該特定財産が綜合的な遺産分割の対象から除外されるとは解されないから該第三者も審判手続による遺産分割前には右特定財産について民法258条による共有物分割の訴を提起できないと解すべきであると判示しておられます。しかしこれは法の解釈の誤りとおもいます。

二、共同相続人中の一人が遺産分割手続の済まぬ内に遺産中の特定財産に付共有物分割の訴を起し得ぬことは控訴審判決のとおりなのでしよう。しかし共同相続人でない第三者はちがうのです。

三、民法905条によると共同相続人の一人が分割前にその相続分を第三者に譲渡しても他の共同相続人はこれを取戻し得ることとなつています。しかし被上告人はこの取戻権を行使しませんでした。それで上告人の譲受けた共有権は被上告人より取戻される虞はないのです。

四、民法909条は但書で遺産分割は第三者の権利を害することができないと定めています。それで遺産分割があつても上告人の共有権は害せられてはなりません。

五、上告人は第三者であつて共同相続人ではありません故に遺産分割を求めることはできません。然るに控訴審は遺産分割手続が済まぬうちは共有物分割請求はできないと言うのです。上告人は共有権に基いて民法258条1項の訴をしたので遺産分割を待てと言われるのは不当に上告人の権利を制限せられるのです。

六、憲法第29条で保障される私有財産権の違反です。

七、不動産登記手続法による所有権の移転登記済○○○○の遺産物件はありません。登記済書を添付する。

八、以上の理由により上告人は控訴棄却を願うのであります。

 右、憲法第81条に基づき御審理願いたく上告いたします。

以上:3,240文字

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