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遺産として預貯金しかない場合の特別受益控除は難問?2

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平成25年 2月26日:初稿
○「遺産として預貯金しかない場合の特別受益控除は難問?」を続けます。
ここで紹介した安西判事論文では、、「特別受益については、寄与分と同様、預金以外の未分割遺産がない場合には家裁が判断する手続がないのではないか、民法904条の2第2項のような規定がなく審判事項にも列挙されていないが、家裁の認定に不当利得返還請求の受訴裁判所たる地裁(又は簡裁)が拘束される根拠があるのか、他方、地裁(又は簡裁)が自ら認定できるとするならばはじめから具体的相続分説(ただし、特別受益のみを考慮するもの)に立ち得るのではないか、という疑問である。」として「結論を留保」する即ち回答を得られない難問としています。

○この難問について、学説は圧倒的多数が、このような事例で、可分債権当然分割説で遺産分割の対象が存在しないと結論付けることは不合理とし、
①遺産分割までは準共有が維持される
②当然分割であっても一部分割として扱い最終的にはつじつまが合うようにする
③第三者との関係では当然分割とされるが相続人間では分割されない
等の説によって預貯金債権も遺産分割の対象とすべきとしています。

○私が持っている中川相続法を始めとする昔の教科書には、遺産の全部または殆どが預貯金債権で、当然分割説を貫くと特別受益や寄与分の適用が出来なくなるとの問題について意識して記述しているものはありませんでした。そこで仙台丸善で最近の相続法教科書を全部眺めてみましたが、この問題を意識して記述しているものとして、有斐閣発行床谷文雄・犬伏由子編「現代相続法」と有斐閣発行窪田充見著「家族法第2版」があり、早速、購入しました。

○有斐閣発行床谷文雄・犬伏由子編「現代相続法」では、この問題について、預貯金債権の当然分割主義の問題点として、遺産分割の対象から可分債権が除かれる結果遺産分割の柔軟性が失われること、可分債権が遺産の大きな部分を占める場合には具体的相続分に応じた遺産分割審判ができなくなる等から学説上は、合有説を含めて非分割説が有力と説明し、当然分割の割合を法定相続分にすると、その当然分割に際して特別受益や寄与分を考慮する機会が失われることになって妥当でなく、預貯金が遺産分割の対象から除かれることは遺産全体を柔軟に遺産分割するについて調整の財源を失うことになって妥当でないと言い切っています。

○有斐閣発行窪田充見著「家族法第2版」では、設例として「Aは、Bに対する2000万円の債権を有していた。Aが死亡し、その子CDが共同相続した。Cは、数年前に事業のために、Aから、2000万円相当の不動産甲を贈与されていた。」との事例を挙げ、甲不動産贈与は特別受益として持戻し、みなし相続財産を4000万円として、最終的にCの具体的相続分はゼロ、Dの具体的相続分は2000万円になると解説しています。

○そして下級審審判例では、遺産が金銭債権のみであるという場合に、分割対象となる遺産が存在しないとして遺産分割申立を却下した例について、相続人間で公平な相続を実現することに向けての争いがある場合に、且つ、特別受益を考慮せよとの主張が不合理ではないのに、分割対象となる遺産が存在しないとして遺産分割申立を却下する判断は疑問であると断定し、さらに相続人間の合意がある場合には遺産分割の対象とするとの見解もあるが、遺産分割の対象とする必要があるのは、むしろ相続人間の合意を得にくい場合であるという点に注意が必要であると述べています。

○この問題については、学説の方があらゆる事態を想定して進んだ考えを示しています。しかし、実務では何と言っても最高裁判決の縛りが強く、また、解釈の整合性にも縛られて、安西判事論文のように「結論を保留」なんて慎重な態度になっていますが、誰がどう考えても、預貯金債権には民法第903条特別受益が適用されないなんて結論は許されないと、懸命に訴える準備書面を作成中です。
以上:1,606文字

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