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定額郵便貯金債権は遺産分割の対象

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平成23年 2月25日:初稿
○「預貯金は原則として遺産分割の対象の範囲外」で、「裁判所は、預貯金などの可分債権は共同相続人の遺産分割協議を待つまでもなく、相続開始と同時に、当然に相続分に従って分割されるとしています(最高裁昭和29.4.8民集8-4-819)。」と説明していました。

○昭和61年3月13日最高裁判決は、相続財産が金銭債権などの可分債権である場合には、相続開始と同時に相続分に応じて民法427条によって当然に分割されるため、共同相続人による遺産分割前の共有関係が生じることはなく、可分債権が遺産に属することの確認を求める訴えを提起することは出来ないとしています。

○だとすると預貯金であれば、全て遺産分割の対象外かというとそうではありません。表記定額郵便貯金債権は、郵便貯金法7条1項3号で「一定の据置期間を定め、分割払戻をしない条件で一定の金額を一時に預入するもの」と定められています。なお、郵便貯金法は平成19年10月1日施行郵政民営化法等の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律で廃止されていますが、現に存在するものは「なおその効力を有する。」とされています。

○この定額郵便貯金債権の預金者が死亡し、複数の相続人が居る場合に共同相続人による相続分に応じた払戻請求を認める下級審判決(平成10年2月13日東京地裁判決等)はこれを支持する見解もありました。しかし多くの下級審判決は、郵便法7条1項3号で,分割払戻をしない条件で預け入れたものが定額郵便貯金であり、相続が開始し、相続人がその相続部分割合のみの分割払戻を要求しても、預入条件違反として要求に応じる必要はないとの見解でした(平成10年8月31日東京地裁判決等)。

○これについて平成22年10月8日最高裁判決(判時2098号51頁)は、次のように述べて多くの下級審判決を支持し、遺産分割の対象となることを明らかにしました。
定額郵便貯金債権が相続により分割されると解すると、それに応じた利子を含めた債権額の計算が必要になる事態を生じかねず、定額郵便貯金に係る事務の定型化、簡素化を図るという趣旨に反する。他方、同債権が相続により分割されると解したとしても、同債権には上記条件が付されている以上、共同相続人は共同して全額の払戻を求めざるを得ず、単独でこれを行使する余地はないのであるから,そのように解する意義は乏しい。これらの点を鑑みれば,同法は同債権の分割を許容するものではなく,同債権は,その預金者が死亡したからといって,相続開始と同時に当然に相続分に応じて分割されることはないというべきである。
○判例時報の解説によれば、この最高裁判決は、定額郵便貯金債権が遺産に属することの確認を求める訴えに確認の利益があり、且つ、遺産分割の対象になることを明らかにした実務上重要な意義を有するものだとのことですが、私自身は定額郵便貯金などしたことがなく、郵便貯金法7条1項3号の存在は、この判例時報記事を見て初めて知りました(^^;)。
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