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祭祀財産に相続についての覚書

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平成20年 3月28日(金):初稿
○現行民法は旧民法時代の家制度を廃止し、家督相続から遺産相続に一本化されましたが、祭祀財産については民法第897条(祭祀に関する権利の承継)に「系譜、祭具及び墳墓の所有権は、前条の規定にかかわらず、慣習に従って祖先の祭祀を主宰すべき者が承継する。ただし、被相続人の指定に従って祖先の祭祀を主宰すべき者があるときは、その者が承継する。
2 前項本文の場合において慣習が明らかでないときは、同項の権利を承継すべき者は、家庭裁判所が定める。

と一般の相続とは別な特別の規定にしています。

○祭祀とは神や祖先を祀ることですが、祭祀財産には、「系譜、祭具及び墳墓」が含まれ、
系譜とは、家系図、過去帳など祖先伝来の系統を示すもの、
祭具とは、位牌・仏壇・仏具・神棚など祭祀・礼拝の用に供するもの、
墳墓とは、墓石、墓碑とその所在する土地(墓地)の所有権や墓地使用権を言います。
これらの祭祀財産相続を一般の相続原則の例外にしたのは、従来の慣行や国民感情に配慮したこと、祭祀財産は分割相続になじまないためとされています。

○「祖先の祭祀を主宰すべき者」とは、
第1に被相続人の指定、
第2にその地方の習慣、
第3に家庭裁判所の審判
によって決まりますが、その資格に制限はなく、被相続人との関係では、必ずしも相続人には限らず、更に親族関係が無くても良く、氏が異なっても構わないとされています。
通常祭祀承継者の決定は、相続人全員の合意で行われているはずですが、法律的には、相続人の合意で指定できるかについては裁判例が分かれています。

○被相続人の指定方法に限定はなく、生前の意思表明でも遺言でも良く、書面によらず単なる口頭でも、明示しなくても、兎に角外部からその意思が確認されれば良いとされています。家庭裁判所の審判で決める場合は、被相続人との身分関係、過去の生活関係・生活感情の緊密度、承継者の祭祀主宰の意思や能力、利害関係人の意見等を総合して判断されます(大阪高裁昭和59年10月15日決定判タ541号235頁)。

○祭祀財産の承継には相続の承認・放棄の規定が無く、承継の放棄や辞退は出来ないとされていますが、祭祀をなすべき義務を負う訳ではなく、祭祀主宰を理由に相続について特典(特別の相続分や祭祀料)も認められないとされ(東京高裁昭和28年9月4日決定高裁民集6巻10号603頁)、祭祀財産所有者は、これらを売買、贈与等自由に処分出来るとされています(広島高判昭和26年10月31日4巻11号359頁)。
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