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担任教諭の体罰直後の自殺に学校側損害賠償責任を認めた判例要旨紹介

平成29年 5月25日(木):初稿
○「いじめ自殺について-統計的には随分減っていますが-雑感1」に関連した「体罰についての胸のすく最高裁判例登場3」の続きです。
体罰についての胸のすく最高裁判例登場3」で、以下のニュースを紹介していました。

小5自殺は体罰が原因 北九州市に賠償命令
< 2009年10月1日 21:05 >

06年に北九州市若松区で小学5年・Aくん(当時11)が自殺したのは担任の教諭の体罰が原因だったとして両親が北九州市などを訴えていた裁判で、福岡地裁小倉支部は1日、教諭の体罰を認定し、計約3600万円の賠償を命じた。

Aくんの両親は「自殺は担任の教諭の体罰が原因」として、北九州市などに約1億円の損害賠償などを求めていた。判決で岡田健裁判長は、担任の教諭から怒鳴られたり胸ぐらをつかまれたりした体罰が自殺の原因だと認定。北九州市などに計約3600万円の支払いを命じた。

これに対し、北九州市は「主張が認められず、厳しい判決だと受け止めています」とコメントしている。


○このニュースについて、私は、自殺に追い込んだと認定された「怒鳴られたり胸ぐらをつかまれたりした体罰」とは、具体的にはどのようなものだったのか、この判例が公刊されたら是非勉強したいと思いました。北九州市はおそらく控訴するものと思われますが、経緯を見守りたいと思っておりますと感想を述べていました。

○この判例は、平成21年10月1日福岡地裁小倉支部判決(判例タイムズ1321号119頁)として公刊されていました。要旨は以下の通りです。
1. 市立小学校5年生の児童に対して教諭が行った、胸ぐらを両手でつかんでゆする懲戒行為は、体罰に該当する違法行為であり、その後、動揺した児童がペットボトルを教諭に投げつけて、教室を飛び出したあと、いったん戻ってきた際に怒鳴りつけた教諭の言動は、懲戒権の範囲を明らかに逸脱した違法行為であり、また、当該児童は衝動的な行動に陥りやすく、教諭もそのことを十分に認識していたことから、当時児童が衝動的に自殺を含めた極端な行動に出る可能性は認識しえたものであり、教諭は、信義則上の安全配慮義務として、教室を飛び出した児童を追いかけるなどして、児童を静止し、児童の精神的衝動を和らげる措置を講ずるべき義務を負っていたものであり、これをせずに児童を放置した点で、教諭には過失がある。

2. 市立小学校5年生の児童の自宅における自殺行為が、教諭の懲戒行為及び事後行為から1時間前後のうちに行われており、他に自殺の外部的要因がないことから、本件懲戒行為と本件事後行為と児童の自殺との間には、相当因果関係があり、自殺には当該児童が衝動的な行動に陥りやすいという心因的要因が相当程度寄与しているが、その心因的要因については、教諭も認識可能な事情であり、相当因果関係が存するとの判断を左右するものではない。
以上:1,156文字

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