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”自由と正義”H28年09月号懲戒例-ヒヤッとする懲戒事例紹介

平成28年10月 8日:初稿
○「”自由と正義”H26年10月号懲戒例-ヒヤッとする懲戒事例紹介」で、私の推測ですが、「Cは、甲弁護士が、何の関係もないのにCの住民票を取り寄せたことに怒り、懲戒請求をした。」と記載していました。取り寄せた住民票を安易に依頼者に「交付」したことで「戒告」の懲戒処分を受けた例です。

○「自由と正義」平成28年9月号に、今度は、取り寄せた戸籍謄本の内容を安易に依頼者に「開示」したことで「懲戒」の戒告処分を受けた例が掲載されています。処分理由要旨全文は以下の通りです。
被懲戒者はAから懲戒請求者に対する侵害賠償請求訴訟事件等について受任し2013年4月上記事件に関し職務上請求により懲戒請求者の戸籍全部事項証明書を取得したがAから知らされていたAらが従前に行った行為から知らされていたAらが従前に行った行為からすればAらがプライバシー侵害行為に及ぶ具体的な予見可能性があり、同年5月頃Aらとの打ち合わせの際に、懲戒請求者のプライバシーに対しより慎重な配慮が求められていたにもかかわらず、上記戸籍謄本全部事項証明書の記載内容をAらに開示した。
その結果、上記記載事項を利用して懲戒請求者に対し隈怖を与えるメールを複数回にわたって送信するとともに懲戒請求者の母Bの自宅を訪れ、虚偽の事実を申し向けてBを隈怖させる行為に及んだ。
被懲戒者の上記行為は弁護士法第56条第1項に「定める弁護士としての品位を失うべき非行に該当する
○弁護士として、戸籍謄本取寄を依頼されることは、日常茶飯事的にあります。典型例は、お客様Aの死去したBに対する貸付金等債権回収事件で、その相続人に対して請求するために亡Bの戸籍謄本及びその相続人の戸籍謄本の取寄です。この場合、Aは、亡Bの債権者でその相続人に自己の権利を行使するために戸籍記載事項確認の必要性があり戸籍謄本交付申請が出来ます。従ってその代理人として弁護士が取り寄せることは何ら問題がありません。

これに関する戸籍法の規定は以下の通りです。
戸籍法第10条の2
 前条第1項に規定する者以外の者は、次の各号に掲げる場合に限り、戸籍謄本等の交付の請求をすることができる。この場合において、当該請求をする者は、それぞれ当該各号に定める事項を明らかにしてこれをしなければならない。
一 自己の権利を行使し、又は自己の義務を履行するために戸籍の記載事項を確認する必要がある場合 権利又は義務の発生原因及び内容並びに当該権利を行使し、又は当該義務を履行するために戸籍の記載事項の確認を必要とする理由
二 国又は地方公共団体の機関に提出する必要がある場合 戸籍謄本等を提出すべき国又は地方公共団体の機関及び当該機関への提出を必要とする理由
三 前二号に掲げる場合のほか、戸籍の記載事項を利用する正当な理由がある場合 戸籍の記載事項の利用の目的及び方法並びにその利用を必要とする事由
(中略)
3 第1項の規定にかかわらず、弁護士(弁護士法人を含む。次項において同じ。)、司法書士(司法書士法人を含む。次項において同じ。)、土地家屋調査士(土地家屋調査士法人を含む。次項において同じ。)、税理士(税理士法人を含む。次項において同じ。)、社会保険労務士(社会保険労務士法人を含む。次項において同じ。)、弁理士(特許業務法人を含む。次項において同じ。)、海事代理士又は行政書士(行政書士法人を含む。)は、受任している事件又は事務に関する業務を遂行するために必要がある場合には、戸籍謄本等の交付の請求をすることができる。この場合において、当該請求をする者は、その有する資格、当該業務の種類、当該事件又は事務の依頼者の氏名又は名称及び当該依頼者についての第一項各号に定める事項を明らかにしてこれをしなければならない。
4 第一項及び前項の規定にかかわらず、弁護士、司法書士、土地家屋調査士、税理士、社会保険労務士又は弁理士は、受任している事件について次に掲げる業務を遂行するために必要がある場合には、戸籍謄本等の交付の請求をすることができる。この場合において、当該請求をする者は、その有する資格、当該事件の種類、その業務として代理し又は代理しようとする手続及び戸籍の記載事項の利用の目的を明らかにしてこれをしなければならない。
一 弁護士にあつては、裁判手続又は裁判外における民事上若しくは行政上の紛争処理の手続についての代理業務(弁護士法人については弁護士法(昭和二十四年法律第二百五号)第三十条の六第一項各号に規定する代理業務を除く。)


○債権回収等の権利行使のように明確な理由がある場合は、良いのですが、例えば甲地の登記簿上の所有名義人がAとなっているが、Aは既に死去していることが明らかな場合に、この甲地の現在の所有者に買受申出をしたいと言う理由で所有名義人Aの相続人調査のための戸籍謄本取寄を依頼される場合もあります。

○この場合、ちと微妙になります。弁護士が戸籍謄本取寄請求ができるのは「受任している事件又は事務に関する業務を遂行するために必要がある場合」で、その業務は「弁護士にあつては、裁判手続又は裁判外における民事上若しくは行政上の紛争処理の手続についての代理業務」とされているからです。

○このような微妙な場合は、決して取り寄せた戸籍の写しを交付することはせず、また戸籍内容についても安易に開示することは避け、戸籍によって明らかになった相続人が不信感・違和感を感じないように処理するなどの配慮が必要でしょう。
以上:2,247文字

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