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”自由と正義”H28年6月号懲戒例-要注意!懲戒事例紹介

平成28年 7月19日:初稿
○日弁連機関誌”自由と正義”が配送されると最初に見るのが懲戒処分広告記事です。特に「戒告」事例が参考になります。平成28年6月号に、注意を要する懲戒事例が掲載されています。以下、その処分理由の要旨全文を紹介します。
被懲戒者は懲戒請求者の長男Aから懲戒請求者らへの求償金債権の代物弁済として懲戒請求者らが所有する不動産の譲渡を受けることについての示談交渉を受任し2013年2月14日不動産登記法所定の本人確認情報を作成することを目的として懲戒請求者と面談した。

被懲戒者は植物状態に準ずる状態が1年以上続いている旨の医師の診断書等の客観的証拠から懲戒請求者が当時事理弁識能力を欠いていることが明らかで、かつ75歳と高齢で長期間入院して寝たきりの状態であること等の説明を受けていたことから、法律専門家として懲戒請求者の意思能力に疑問を抱き。本人確認情報提供制度が専門識者に一定の公証機能を付与した制度であることを踏まえ、面談に当たって親切丁寧かつ慎重に本人確認すべきところ十数分間、本人確認から権利取得経過等の一連の事項について、テスト的な質問を除き全てイエスの答えを求める質問をしてまばたきで回答するという極めて形式的かつ表面的な方法で面談を行い、またAから受領した懲戒請求者の本人確認書類を懲戒請求者から交付を受けた旨の事実に反する記載を行うなどして本人確認情報を作成し、同月19日、上記不動産について代物弁済を原因とする所有権及び共有部分の移転登記を行った。

被懲戒者の上記」行為は弁護士法第56条第1項に定める弁護士としての品位を失うべき非行にする。
○75歳の父(懲戒請求者)Bとその長男Aの間の紛争で被懲戒者甲弁護士は、長男Aの父Bに対する求償金債権回収の示談交渉を依頼されて、BがAへの求償債務の支払に代えてA所有不動産を譲渡することになりました。

○甲弁護士は、その代物弁済を理由とする所有権移転登記手続のための不動産登記法所定本人確認情報を作成するためBと面談した際の本人確認の仕方が杜撰と評価されました。本人確認に関する不動産登記法第24条は以下の通りです。
第24条(登記官による本人確認)
 登記官は、登記の申請があった場合において、申請人となるべき者以外の者が申請していると疑うに足りる相当な理由があると認めるときは、次条の規定により当該申請を却下すべき場合を除き、申請人又はその代表者若しくは代理人に対し、出頭を求め、質問をし、又は文書の提示その他必要な情報の提供を求める方法により、当該申請人の申請の権限の有無を調査しなければならない。
2 登記官は、前項に規定する申請人又はその代表者若しくは代理人が遠隔の地に居住しているとき、その他相当と認めるときは、他の登記所の登記官に同項の調査を嘱託することができる。


○私は、登記手続は、全て提携している複数の司法書士に依頼し、弁護士として登記手続を代理申請したことは一度もありません。餅は餅屋の考えで、何事においても、それぞれの専門家にまかせるのが一番良いということと、何よりも、折角、登記手続のため司法書士という資格が認められているのだからその仕事を弁護士が奪うべきではないとの考えからです。

○ですから、登記手続での本人確認業務を行ったことはありません。私の場合、この登記手続は提携している司法書士に依頼しますが、このケースでは司法書士から本人確認が出来ないと報告されると思われます。司法書士は登記が専門で本人確認方法も大変厳しくなっているからです。この懲戒例では甲弁護士自身が本人確認を行っていますが、弁護士は登記手続の専門家でないところから、その確認方法が杜撰になったようです。

○意思能力に問題がある高齢者からの依頼は勿論、相手方になる場合も、慎重に判断する必要があります。このケースでは、Bが「植物状態に準ずる状態が1年以上続いている旨の医師の診断書等の客観的証拠」があったとのことで、そのような方と示談交渉する場合、先ずすべきことは成年後見ないし保佐開始決定申立をして、成年後見人ないし保佐人を相手に交渉する必要があることを依頼者Aに説明すべきでした。

○不思議なのは植物状態のBが甲弁護士に懲戒申立をしたことですが、Aの兄弟がBの成年後見人となって行った可能性があります。Bの財産を巡って子供達の間に対立があったと思われます。より慎重に対処すべき事案でした。
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