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弁護士懲戒:勝訴困難の民事訴訟提訴で戒告処分報道雑感

平成25年11月26日:初稿
○平成25年11月26日付ボ2ネタ経由で、以下の「弁護士懲戒:勝訴困難の民事訴訟提訴で戒告処分」との毎日新聞報道を知りました。
弁護士をやっていると勝訴は難しそうに思える民事訴訟の相談・受任要請を受けることは日常茶飯事にあります。
先生、私の事案で訴えを出して、勝てるでしょうか。」との質問に、
うーん、これは難しいですね。訴えを出しても弁護士費用が無駄になる可能性が大いにありますよ。
と回答する場面がしばしばあります。

○この回答に多くの方は諦めるのですが、中には
弁護士費用が無駄になっても構いません。兎に角、訴えを出して下さい。このまま泣き寝入りは何としても悔しいです。
なんと答えられることもあります。相手に何らかのプレッシャーを与えるために敗訴覚悟で、訴えを提起したいというものです。しかし、どう見ても通らない主張で、訴えを提起し、逆に濫訴を理由に弁護士も一緒に損害賠償請求をされる場合もありますので、このような相談・依頼は慎重に対処しなければなりません。

○「どう見ても負けそうな事件の相談に対する対処方法」に、以下の弁護士職務基本規程の一部を紹介しています。
第三節事件の受任時における規律
第29条(受任の際の説明等)
 弁護士は、事件を受任するに当たり、依頼者から得た情報に基づき、事件の見通し、処理の方法並びに弁護士報酬及び費用について、適切な説明をしなければならない。
2 弁護士は、事件について、依頼者に有利な結果となることを請け合い、又は保証してはならない。
3 弁護士は、依頼者の期待する結果が得られる見込みがないにもかかわらず、その見込みがあるように装って事件を受任してはならない。


○上記規定3項は「依頼者の期待する結果が得られる見込みがないにもかかわらず、その見込みがあるように装って」と「装って」の限定が付いています。では、「装って」なければ、即ち、主観的には「依頼者の期待する結果が得られる見込み」あると信じて、真実は、「依頼者の期待する結果が得られる見込みがない」事件を受任するのは許されるかというと、そうではありません。

○弁護士は法律のプロであり、「事件の見通し」について「適切な説明」をする注意義務があります。「事件の見通し」を誤ることは、この注意義務違反であり、時に弁護士過誤として損害賠償請求を受ける場合もあります。ですから、「事件の見通し」判断は慎重にしなければなりません。以下の報道にあるA弁護士は、「事件の見通し」判断が余りに甘いと言うことで懲戒処分まで受けています。

○かといって、「事件の見通し」の過度な慎重姿勢では、お客さまに頼りないと思われ、相談だけで受任に至らない場合も多くなります。私自身も興味ある題材で受任しても良いと思いながら、事件の難しい面を強調した説明で頼りないと思われ、他の弁護士に依頼されたことがあります。しかし、「弁護士は、事件について、依頼者に有利な結果となることを請け合い、又は保証してはならない。」との鉄則もあり、その調整が難しいところです。

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弁護士懲戒:勝訴困難の民事訴訟提訴で戒告処分
毎日新聞 2013年11月19日 21時25分


 奈良弁護士会は19日、勝訴の見込みのない民事訴訟を起こしたとして、同会所属のA弁護士を戒告の懲戒処分(7日付)にしたと発表した。

 発表によると、A弁護士の依頼人の男性は2004年、農地の小作権を巡り違約金を請求された訴訟で解決金を支払って和解したが、その後に和解内容を覆す資料があったとしてA弁護士に相談。「不当利得返還請求なら何とかなるかもしれない」という助言に従って11年10月に提訴したが、棄却された。

 弁護士会は、実際には和解内容を覆すのは極めて困難で、A弁護士が着手金額を決める際に約束した「特殊な研究」をした形跡もないと指摘。一連の行為は弁護士職務基本規程に反し、「弁護士の品位を失わせる非行に該当する」と判断した。

 弁護士会は着手金の額を明らかにしていない。村嶋弁護士は取材に「コメントできない」とした。【芝村侑美】


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