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弁護士巨額横領事件検証委員会報告書(要約)全文紹介2

平成25年 5月 4日:初稿
○「弁護士巨額横領事件検証委員会報告書(要約)全文紹介1」を続けます。
 重要と思った箇所を太線或いは太下線にしています。
 元弁護士本人の
立替金というのは、民事・刑事を問わず、事件の依頼者・相手方・関係者・交通事故の被害者等に対して、賠償金・示談金・取立金・生活費等を立て替えて支払ったものであり、事件処理前の先行的立替支払い、事件の紹介責任、事件処理に対する保証人的責任等のため支払いをした。10年ぐらい前から支払い始め、多くなったのは5年位前である。人数にすると100人を超え、支払った金額は優に10億円を超える。
との供述は、不可思議と言わざるを得ず、
 元弁護士逮捕後岡山弁護士会有志は、
ただちに福川問題依頼者対応センターを立ち上げ、元弁護士への依頼者の事件処理に対応をした。元弁護士への依頼をしている継続案件等多彩で複雑な案件が対応センターに殺到し、420件(4月3日現在)に達した。うち330件を当会の弁護士に割り振りをした。また、当会は、当委員会を設置し、さらに当会の有志は債権者破産の申し立てに協力した。
とのことですが、岡山弁護士会としても
当会会員の従来の認識は、相当に浅薄であり、リアリズムに欠けていると評されるであろう。残念であるが、痛恨の思いと共に、自分たちの意識の転換と反省を迫られているというべきである。
と厳しく反省していることも重要です。

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2 紛議調停の申立
 この間の元弁護士に対する紛議調停の申立は10件であり、うち和解成立1件、和解による取下げ4件、調停不成立2件、弁護士資格喪失による終了3件である。

3 懲戒請求
 この間に元弁護士に対する懲戒の請求は8件であり、うち4件は、綱紀委員会において懲戒委員会の審査を求めない議決があり、4件は、審査中であったが弁護士資格喪失により終了している。

4 元勤務弁護士
 4名から事情聴取した。元弁護士からは事件を全面的に任されることはなく、金銭にタッチすることもなく、いずれも元弁護士の非行には気がつかなかった、ということであった。

5 非公式弁護士グループ
 ゴルフや飲食等で親しくしていた3名の弁護士から事情を聴取した。
 いずれの弁護士も、元弁護士の非行には気がつかなかった。多忙であることや最近ではがんの入院・治療があり、仕事が停滞していることは認識していたが、派手に遊興をするわけでもなく、投資や賭博の話もまったくなく、むしろ金銭的には安定しているとの認識であった、また、悩み事や依頼者とのトラブルの相談を受けたこともなかった、ということであった。

6 弁護人
(中略)

7 元事務員
(中略)

8 福川本人
 元弁護士本人の説明によると、要旨は以下のとおりである。
 立替金としていろいろな人に支払いをしたのが拡大・増殖して他人の預り金を流用するようになった。立替金というのは、民事・刑事を問わず、事件の依頼者・相手方・関係者・交通事故の被害者等に対して、賠償金・示談金・取立金・生活費等を立て替えて支払ったものであり、事件処理前の先行的立替支払い、事件の紹介責任、事件処理に対する保証人的責任等のため支払いをした。10年ぐらい前から支払い始め、多くなったのは5年位前である。人数にすると100人を超え、支払った金額は優に10億円を超える。他人の預り金を流用するつもりはなかったが、自分の財産である預金・生命保険等解約返戻金・銀行借入金・不動産処分代金・妻が蓄えていた老後のための預金等を全部注ぎ込んでもなお、立替金支払いも、預り金の返還も出来ないようになった。

第4 本件告発の経過と当会の対応
1 当会の告発

 平成24年度になってから、9月ごろまでに8件の元弁護士に対する苦情が寄せられ、不審を感じて元弁護士を呼出して事情を聞いた。しかし、元弁護士は全く問題はない、と抗弁をした。会としてはそれ以上追及をする資料を持ち合わせていなかった。
 その後、平成15年の交通事故について、元弁護士は、長年にわたり、事件処理について依頼者に報告をせず、また、損害賠償金も交付しないで虚偽の説明をしているとの苦情があったので、裏付け調査をしたところ、元弁護士の説明は虚偽であり、手渡している判決書が変造である疑いが生じた。元弁護士を聴取したところ、元弁護士は、概ね以上の事実を認めた。同時に、紛議調停委員会に提出されていた示談書が依頼者に対し引き渡すべき金員をごまかすための偽造であることも認めた。
 会長は、綱紀委員会に対して懲戒の請求をし、さらに、被害拡大を防ぐため、岡山地方検察庁に公文書変造、私文書偽造事件で刑事告発をした。

2 その後の当会の対応
 元弁護士の逮捕後の事件依頼者の混乱と不首尾を避けるため、当会の有志はただちに福川問題依頼者対応センターを立ち上げ、元弁護士への依頼者の事件処理に対応をした。元弁護士への依頼をしている継続案件等多彩で複雑な案件が対応センターに殺到し、420件(4月3日現在)に達した。うち330件を当会の弁護士に割り振りをした。
 また、当会は、当委員会を設置し、さらに当会の有志は債権者破産の申し立てに協力した。

第5 非行の発見が出来ない原因
1 目的(見つける)意識の不在
(1) 従来の認識

 当委員会の調査の結果、元弁護士の非行を長期間にわたり発見できず、気がつかなかった原因として第一に指摘できるのは、われわれ弁護士の従来の考え方と意識の問題である。当会のような中規模弁護士会では、福川事件のような横領事件は極めて稀なことであり、日常的には想定し得なかったから、会長・副会長が会務を処理するにあたっても、明らかな証拠がない以上、会員が横領行為をしていると想定することはなかった。複数の苦情が集中しても、それをさらに追及をしてみるという意識はなかった。苦情に誤解や理解不足があればそれが解消するように説明をし、元弁護士に説明不足や事件処理の遅れがあれば、元弁護士にその旨を伝えて善処を求め、もし依頼者が望むなら、紛議調停委員会に申立をするように案内をしてそこで解決されればそれで十分であり、また、もし懲戒の請求をしたいと言われるのならその手続を紹介する、ということにとどまった。むしろ、会員の自由と独立を尊重し、個々の会員の事務処理や弁護活動には出来るだけ介入をしないことを原則としてきた。

(2) その沿革的根拠
 沿革的には次のように根拠のあることである。
 その1つ目は、弁護士法が個々の弁護士の業務の独立性・自立性を重んじて、弁護士会長に指導・監督の役割と権限を認めつつも、個別の弁護士業務に関して指導監督できるのは、特段の事情がある場合に限られるとしていることである。

 その2つ目は、弁護士は、依頼者と信頼関係によって結ばれ、専門性・独立性の高い、いわゆるプロフェッションとしての業とされ、人の悩み、苦しみ、秘密に接し、高度の学識を要する職業であり、その特徴は、専門性と同時に個々の弁護士自身が高い倫理と自主・自立した規律を有しているとされてきたことである。

 その3つ目は、個々の弁護士には守秘義務(弁護士法23条、刑法134条)があり、会長が個別の業務に介入をすると弁護士の守秘義務を侵すおそれが生じるからである。

 その4つ目は、会の目的は、外部からの侵害や攻撃に対抗して職業としての弁護士業務を守り、また、会員の利益も擁護し、相互に助け合うことであると考えられてきたことである。

(3) 福川事件の衝撃
 しかし、当会会員は、福川事件によって、自分たちの従来の意識が、自分たちの主観的意図を裏切り、逆に、元弁護士の非行の発見を遅らせたという現実を如実に突きつけられたといわなければならない。当会会員の従来の認識は、相当に浅薄であり、リアリズムに欠けていると評されるであろう。残念であるが、痛恨の思いと共に、自分たちの意識の転換と反省を迫られているというべきである。


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