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弁護士巨額横領事件検証委員会報告書(要約)を読んで1

平成25年 5月 3日(金):初稿
○岡山弁護士会の弁護士が、交通事故損害賠償請求事件等の回収金等お客さまの預り金横領を繰り返し、横領額が10億円前後、被害者数300人に上る巨額横領事件に発展して逮捕され、岡山弁護士会から除名処分を受けたことについて、弁護士批判サイト「弁護士と闘う」でも度々取り上げられており、その動向を注目していました。

○その影響か、不正アクセスの被害を受けて岡山弁護士会HPがしばらく閉鎖されていましたが、平成25年4月30日復旧し、巨額横領事件についての会長談話検証委員会報告書(要約)が、公表されました。その報告書冒頭には、横領元弁護士は「起訴された刑事事件は、6年8ヶ月にわたり総額9億762万円を横領したというもので、社会や当会に与えた衝撃は大きいうえ、弁護士ならびに司法に対する信用を著しく失墜させた。」と記載されています。

○「弁護士と闘う」の平成25年4月27日「岡山弁護士会巨額詐欺横領事件・ヤカラの依頼人が悪いと弁護人はいうが」には、その刑事事件第1回期日での罪状認否として
多額の詐欺行為・横領行為は認める。反省している。弁護士に対する信頼を失わせたことについて申し訳ないと思っている。
弁護士登録後、毎年1億円程度の売り上げがあり2000万円から3000万円の実収入があった。毎月100万円程度の預金が出来た。妻には毎月50万円愛人には20万円の支払いができた。
平成12年依頼人から生活費を立て替えて欲しいとの要望があり立て替えたこの頃から立て替え払いを繰り返した。多額の立替をしたこともあったが民事訴訟で勝てば取り返せると思ったが敗訴になり金が入ってこないため次ぎの依頼者の和解金などを前の事件の立替え分に充当した。

と記載されています。

○この元弁護士は、登録番号からはおそらく私より1年先輩の司法修習31期です。罪状認否では「弁護士登録後、毎年1億円程度の売り上げがあり2000万円から3000万円の実収入があった。」とのことです。登録何年後から、「毎年1億円」もの売上があったか不明ですが、いずれにしても相当のやり手弁護士で商売上手であったことは確実です。報告書にも「元弁護士に対する会内での一般的認識は、民事介入暴力事案に強く、受任事件数はずば抜けて多く安定した経営をしているというものであった。」とあります。

○そのようなやり手弁護士が、何故、このような巨額横領事件を起こしたのか不思議で仕方なく、何かでヤクザに弱みを握られ、その弱みにつけ込まれて際限ない恐喝を受けていたのではとも推測しておりました。「弁護士と闘う」によると「いわゆる『ヤカラ』と呼ばれる人間が立て替えを求めてきて繰り返し応じた結果このような結果になった。」とあります。「ヤカラ」とは、関西地方では、ヤクザ関係者を指す言葉のようで、推測は的外れではなかったようです。

○しかし、報告書での本人説明は、「立替金としていろいろな人に支払いをしたのが拡大・増殖して他人の預り金を流用するようになった。立替金というのは、民事・刑事を問わず、事件の依頼者・相手方・関係者・交通事故の被害者等に対して、賠償金・示談金・取立金・生活費等を立て替えて支払ったものであり、事件処理前の先行的立替支払い、事件の紹介責任、事件処理に対する保証人的責任等のため支払いをした。」とあり、ちと合点のいかない面もあります。

○岡山弁護士会の報告書は、多くの部分を本件を見抜けず、対応が遅れ、被害が拡大した経緯の分析と制度上の壁があったとの自己弁護に費やしているように感じました。最も重要な被害者救済の方策について何ら触れていないのが残念なところで、この点は別コンテンツで私の感想を述べます。
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