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司法修習生給費制維持の主張が世間一般に通る要件

平成22年 7月27日(火):初稿
○宇都宮会長の日弁連は、取組重要課題として、「司法修習給費制維持を!」に取り組んでいます。平成16年の裁判所法「改正」によって給費制廃止・貸与制導入が決められ、その施行期日が平成22年11月1日とされているためで、その根拠として、「法律家の仕事の公共性・公益性ゆえに国民が法律家を育てるのであり、給費制は法律家に対し公共心と使命感を求める制度」との点を上げています。

○例によって天の邪鬼の私は、「法律家の仕事の公共性・公益性」に疑問を感じます。勿論、「公共性・公益性」を否定はしませんが、法律家の仕事だけに「公共性・公益性」が存在するとは、到底、言えないではないかとの疑問です。先ず裁判官・検事は公務員ですが、公務員は裁判官・検事だけに限りません。裁判官・検事いずれも普通の公務員より高い給料を貰ってその職務に当たっていますが、裁判官・検事の仕事だけが「公共性・公益性」が強い公務と言えるのだろうか。争いの判断をする公務は裁判に限らず、悪人を捕まえる公務は検事だけに限りません。また法律家は、法曹3者だけに限りません。

○特に自由業の弁護士は、その仕事だけが特に「公共性・公益性」が強い断言できるのだろうかとの疑問があります。弁護士の仕事は特定のお客様から依頼を受けて、そのお客様の正当・適切な利益を実現することを、報酬を頂いてお手伝いするものです。殆どが私人間の争いであり、最終的には司法判断を仰ぐ即ち裁判官の判決を受ける仕事をしているものですが、この私人間争いの判断を求めることが、何故「公共性・公益性」が強い仕事と断言できるのか。法律を適用させる仕事がそれだけで「公共性・公益性」が高いとどうして言えるかと言う疑問です。繰り返しますが、法律家は法曹3者に限りません。

○法曹界の業界人は法律を適用する仕事はそれだけで「公共性・公益性」が高いものだと声高に言うけれども、世間一般は果たしてそのように見ているのだろうかといつも疑問を感じています。司法修習生は裁判官・検事・弁護士という「公共性・公益性」が高い仕事をするのだから給費制が当然との考えは、世間一般には通じないものであり、もし給費制を言うのであれば、それに見合う国家国民に対する具体的義務を課さないと世間一般には通じないのではと思っております。
テメーは給費制の恩恵を受けて温々とやってきたにも拘わらず今になってそんなことを言うとはとんでもない奴だという批判は甘んじて受けますが(^^;)。
以下、備忘録です。

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改正裁判所法が成立 司法修習生の給与を廃止
 司法修習生への給与を廃止し、貸与制へ転換する改正裁判所法が3日午前の参院本会議で可決、成立した。衆院での審議で自民、公明、民主の3党が2006年11月実施では周知期間が不足しているとして、4年間延期し、10年11月実施と修正した。  国は現在、司法修習生に年間約300万円を支給。国の厳しい財政事情を受け、同法では、司法修習生の申請があれば、無利息で貸し付け、法曹資格取得後に返還する「貸与制」を導入する。具体的な貸与額や返済の期限については、最高裁が決める。
2004/12/03 02:08

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司法修習生に対する貸与制について
1 司法修習生が修習に専念することができるようにするため、国(最高裁判所)が司法修習生に対し、その申請により、修習資金(仮称。以下同じ。)を貸与するものとする。
2 修習資金は、返還期限が経過するまでは無利息とする(返還期限を経過したときは、延滞利息を付すものとする。)。
3 貸与額については、司法修習生が修習に専念することができる水準の額とし、数段階の貸与月額を設定して、司法修習生が選択する額を貸与するものとし、扶養家族を有し住居を賃借している司法修習生は相応分を加算した額の貸与を受けることができるものとする。
4 修習資金の返還については、修習終了後数年間は返還を据え置き、その後10年間の年賦等による均等返還とするが、繰上返還も認めるものとする。
5 被貸与者が災害、傷病その他やむを得ない理由により修習資金を返還することが困難となったときは、その返還の期限を猶予することができるものとする。
6 被貸与者が死亡又は精神若しくは身体の故障により修習資金を返還することができなくなったときは、その全部又は一部の返還を免除することができるものとする。
7 司法修習生に対し、旅費を支給するものとする。
8 修習資金の貸与制は、平成18年秋から開始される新司法修習(新司法試験の合格者に対する修習)から導入するものとする。なお、貸与制の導入までに既に修習を開始した司法修習生については、経過措置として、給費制を継続するものとする。
9 貸与制の制度設計については、法律(裁判所法)上はその骨格を規定し、貸与額等の制度の詳細は最高裁判所規則で規定する。

以上:2,059文字

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