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自由と正義平成22年6月号戒告事例-危険な例2

平成22年 6月18日(金):初稿
○「自由と正義平成22年6月号戒告事例-危険な例1」を続けます。
弁護士稼業を続けているとときにお客様の債務に連帯保証を要求されることがありますが、お客様自身からこれを要請されることは先ずありません。あるのはお客様の相手方即ち債権者の方から要求される場合です。債務整理事件で債権者に一括では支払えないので分割支払を認めて頂きたいとお願いする場合、相手がプロの貸金業者ではなく、取引上の債務等或いは個人的貸付の場合など、お客様本人は信用できないので、弁護士さんが保証してくれるなら分割に応じますと言う方がたまにいます。

○多くの場合、冗談で言うのですが、中には本気で言う方が居ます。その時役に立つのが、弁護士職務基本規程です。
第25条(依頼者との金銭貸借等)
 弁護士は、特別の事情がない限り、依頼者と金銭の貸借をし、又は自己の債務について依頼者に保証を依頼し、若しくは依頼者の債務について保証をしてはならない。

この規程でもし「依頼者の債務について保証をして」しまうと商売出来なくなるものですからと、堂々と断ることが出来ます。

○お客様の債権者との間で分割支払の合意をさせたはよいが、そのお客様が分割金の支払を怠った場合、債権者が、代理人の弁護士に「弁護士さんの顔を立てて分割支払に応じたのだから、お客さんが支払わない以上、弁護士さんで何とかして下さいよ」と迫ってくることがたまにあります。勿論、弁護士は単なる代理人であり何らの責任はないと断りますが、中には執拗に責めてくる場合もあり、この場合も上記弁護士職務基本規程は断り口実の役に立ちます。

○ところがお客様が分割金の支払を怠り、債権者の夫から執拗な請求を受け、実際保証人になってしまった弁護士さんが居ました。しかもその弁護士さん、その保証債務を支払わず訴えを提起され、裁判所でも分割支払の和解を成立させ、その裁判上の和解の履行も怠って懲戒請求されました。その結果、上記職務基本規程違反と更に弁護士の品位を失ったとして「戒告」処分を受けました。正に踏んだり蹴ったりです。

○この依頼者との金銭貸借、自己又はお客様の債務保証禁止の趣旨は、そのような債権債務関係が生じるとお客様との間に力関係が生じて公平・公正な業務が出来なくなる可能性が生じることです。例えばお客様からお金を借りるとお客様に対し弱い立場になってその言いなりになる可能性があると説明されています。

○弁護士業務は基本的にサービス業ですが、本当にお客様に役立つサービスを提供するためには、お客様の耳に痛いアドバイスも必要になります。この本当にお客様に役立つサービスを提供するためには、お客様とサービス対価を超えた余計な金銭関係は持つべきではないとの趣旨と理解しています。
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