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旧司法試験のような一発勝負の勝者-人間性劣る?

平成21年 9月13日(日):初稿
○法科大学院卒業者対象の新司法試験の合格者が4回目平成21年の合格率が27%にまで落ちたことに関して、平成21年9月11日朝日新聞社説で、「旧司法試験のような一発勝負の勝者ではなく、法科大学院から司法修習へというプロセスによって、人間性豊かで思考力を持った法律家を育てる。それがこの制度の理念だ。一部で法科大学院が予備校化しているとも言われる。そうであれば本末転倒だ。」と述べられていることに、流石に温厚な私も、ムッと来ました(^^)。

○「旧司法試験のような一発勝負」なんて言われると、旧司法試験合格者は、一発勝負の賭に勝ったギャンブラーのようにも感じます。 中には大学3年或いは4年次に正に一発勝負で合格された私のような凡人には比べるべくもない秀才の方々も居ますが、一発勝負で合格したからと言って賭に勝った訳ではなく、また人間性が豊かでない訳でもなく、ただ優秀だったから1回の試験で合格しただけです。それを、「一発勝負の勝者」なんて言われるのは腹立たしい限りです。

○旧司法試験合格者の殆どの方は、毎日10時間前後の受験勉強を、数年間以上継続し、平均5,6回は受験し、苦労に苦労の末合格しています。一回の試験で合格する即ち一発勝負で勝ったのではありません。試験内容も、5月の短答式試験で全体の1割程度に絞られ、その後7月に4日間程度かけての論文式試験で、更に4乃至5分の1程度に絞られ、その後更に9月下旬から10月上旬に10日間ほどかけての口述試験で、論文式試験合格者の1割程度の方が落とされ、10月半ばに至り、ようやく最終合格が決まります。試験期間は半年にも及ぶ長丁場であり、これをまるで時の運に勝ったかような一発勝負の勝者なんて言われるのは心外です。

○旧試験合格者は、一発勝負に賭ける技術的受験勉強ばかりでしているため、「人間性豊かで思考力を持った法律家」にはならない如く言われるのも心外です。確かに、私に関して言えば、「人間性豊かで思考力を持った法律家」ではなかったと言われても仕方が無い面もあります。私も、今で言えば三振経験者で、短答式試験で3回連続不合格になり、実質大学卒業3年目の26歳の時4回目の受験でようやく合格しました。

○これでも私の合格は、少しは早いほうであり、確かに人間性豊かな法律家ではありませんでしたが、その後の公私に渡る辛酸をなめる人生経験過程で何とか人並みに近くはなってきたと思っております。旧試験合格者の中には苦節10数年の受験勉強で10回以上試験を受け合格された方も多くいますが、苦労している分、一層人間的に大きくなった方も大勢おられます。

○確かにこれまでは、合格者数が少なく私自身も含めて、一種エリート扱いされてきたため、天狗になり、弁護士業も殿様商売で顧客サービス業との自覚に欠ける方も多く見られますが、それと「人間性豊かで思考力を持った法律家」かどうかは、別問題です。

○同社説は、「弁護士会と裁判所、検察庁の法曹三者は、法科大学院教育の充実について、連帯して責任を持っていることを改めて認識してもらいたい。」なんても記載していますが、なんで法科大学院教育の充実に弁護士会が責任を持たなければならないのか、全く理解に苦しみます。

○私は、法科大学院なんてお金のかかる面倒な制度は止め、単純に旧試験の合格者数を増やし、研修所教育は実務基礎教育に絞り、後は弁護士補のような資格を持たせて5年程度実務見習いをして最終試験に合格後に正式法曹資格を与えるようなシンプルな制度を理想と考えております。勿論、三振制度や、受験期間制限なんて全くの論外です。受験したい人は何回受けても良いじゃないですか、それを人生棒に振らせてはいけないなんて言って受験制限を課すのは余計なお世話もいいところです。
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